【歌詞和訳】Dream Theater - Wait for Sleep
歌詞本文+和訳
[Verse 1]
Standing by the window
窓の側に立ち
Eyes upon the moon
眼は月を捉える
Hoping that the memory
彼女は願うばかり
Will leave her spirit soon
記憶が魂からやがて消え去って行くのを
[Chorus 1]
She shuts the doors and lights and lays her body on the bed
ドアを閉め 灯を消し ベッドに身体を横たえる
Where images and words are running deep
イメージと言葉が深く流れる場所だ
She has too much pride to pull the sheets above her head
プライドが邪魔をして シーツで頭を隠せない
So quietly she lays and waits for sleep
ただ静かに横たわり 眠りを待つばかり
[Verse 2]
She stares at the ceiling and tries not to think
天井を見つめ 思考を断とうとする
And pictures the chains she's been trying to link again
そして一つ一つの像を 再び繋ぎ合わせようにも
But the feeling is gone
感情はどこか消えてしまった
[Chorus 2]
And water can't cover her memory
涙は記憶を覆い隠せない
And ashes can't answer her pain
灰は彼女の痛みに応えてあげられない
"God give me the power to take breath from a breeze
「神よ そよ風に漂う私の息を取り戻し
And call life from a cold metal frame"
冷ややかな金属の額縁から生命を取り戻す力を 与えたまえ」
[Outro]
In with the ashes
炎から舞い上がる灰と共にか
Or up with the smoke from the fire
それとも 舞い上がり去る煙と共にか
With wings up in heaven
天国への翼と共にか
Or here, lying in bed
それとも 此処、横たわるベッドの中でなのか
Palm of her hand to my head
私の頭を撫でる 彼女の手のひら
Now and forever curled
今も いつまでも くるまっている
In my heart and the heart of the world
私の心の中で 世界の中心で
ご注意
この和訳を作るにあたって、母親という強力な助っ人の力を借りました(海外出身・アメリカ育ち・高学歴・読書愛好家クラブ出身。ドリーム・シアターファンではない。ファンではないが故に見えるものもきっとありそう。ちなみにラブリエが自撮りしながら一人で熱唱している動画はちょっと好き)。おそらく整合性などは問題無いかと思います。
本当はさまざまな資料を読んだり、有識者のファンの方々のご意見も参考にしたかったのですが、今の私の持てるリソースには限界があり、可能な限りで作成しました。
何より、私自身が「作品の意味を調べて楽しめるようになりたい」という思いがあって作ったものです。
どうか、肩の力を抜いて、以下の考察もお楽しみください。
注釈(↓ここから考察モリモリです↓)
主人公の正体
バンドメンバー本人たちが、この主人公は「ジャケットイラストの女の子」であり、さらにその女の子は「リスナー」だと発言しています。
そう考えると、リスナーへのさまざまな思いが見えてきます。
イメージと言葉に身をうずめ、バンドの世界観に浸ってほしい
思考を断ち切ってほしい
リスナー自身にあったつらいことを思いやりたい
など、あくまで「リスナー中心」で世界観を作りたい、なども考えられます。
主人公の正体(別視点の考察)
母親はこの女の子を「ペットロスで苦しむ女の子」だと考察しました。
私もその考察は非常に説得力があるものだと思っていますが、亡くなったのは「人間」であるという説も捨て難いと考えます。
ここから先の項目は、ほぼ全てその理由をまとめています。
“Where images and words are running deep“
アルバムの表題の言葉が使われている、この曲の見どころになる一節です。
バンドメンバーはあくまで、主人公の女の子を「リスナー」と捉えれているため、「イメージと言葉が深く流れている場所にいざなってあげるね」という、メンバーからの思いやりとも捉えられます。
“She has too much pride to pull the sheets above her head”
私が最初に読んだ時に最も意味をとらえるのが難しかったのがここです。
ただ、「シーツをかぶる」という動作は「恐怖に怯えてやる行動」という意味が強いため、あくまで本人は「強い自分」を意識してのことだと考えられます。
「ペットロス説」で解釈する場合、心にぽっかりと穴が空いてしまったがゆえ、「ベッドに入ると色々と思い出してしまう」という状態を描写している可能性もあります。
“And pictures the chains she's been trying to link again But the feeling is gone”
頭の中に浮かぶ像は全てそのペットor家族との思い出です。
それを数珠繋ぎのように、一つ一つぞろぞろと思い出そうにも、大事なペットor家族を失ってしまったがゆえ、感情を失ってしまってしまい、「あまりつらつらと沢山は思い出せない」もしくは「思い出してもなんとも思わない」状態だと考えられます。
“And water can't cover her memory”
少し話は脱線しますが、“water”という言葉は、何かのメタファーとして使われるのをたまに目にします。
Dream Theaterの他の曲も、“water”という表現を使っています。
…ただ、いかんせん私は上記二つの曲の“water”の意味を突き止めることができませんでした。
Take the Timeに関しては、全文和訳にも挑戦しています。
よろしければご覧ください。
では、今回のWait for Sleepでは何のメタファーなのでしょう。
結論は、「涙」です。
「涙は(思い出すとつらい)記憶を覆い隠せない」という意味になるそうです。
“And ashes can't answer her pain”
前文の“And water can't cover her memory”と対句になっていますが、私は最初、水も灰も「風景描写の一種」だとばかり思っていました。
ただ、waterは涙、そしてashesは「遺灰」だそうです。
大切なペットor大切な人は今や遺灰になってしまったがゆえに、主人公の女の子の痛ましい状況に対して味方をしてあげられない、慰めてあげられない、という意味です。
"God give me the power to take breath from a breeze And call life from a cold metal frame"
“breath”は直訳では「息」ですが、「主人公自身の生命(力)」を指しています。
“call life”は、失ってしまったペットor人を生き返らせることを指します。
“a cold metal frame”は、「遺影が入っている額縁」のことです。
coldが使われているのは、「生命感」とは対比的に表現するためでしょう。
“Palm of her hand to my head“
主人公の女の子が、きっと大切なペットor人の遺影を触っているのであろうシーンです。
母親がこの曲の主題を「ペットロス」だと捉えた最大の根拠がここです。
さまざまな映画、ドラマなどの描写で「亡くなったペットor人の写真に触る」描写があると思いますが、
「人」の写真に触る→「頬」「唇」に触ることが多い
「ペット」の写真に触る→「頭」に触ることが多い
このように、人か動物かによって触る箇所に違いが出る、という非常に興味深い話を聞きました。
実際、筆者の家でも数年前まで犬を飼っておりました。
母親はその犬の写真をたまに指で触るのですが、触る場所は頭です。
“Now and forever curled“
curledの訳に苦労しました。
私はてっきり「(思い出orイメージと言葉が)渦巻いている」と捉えていました。
母親曰く、これは「遺影を抱き抱えてベッドの中でくるまっている」状態だそうです。
「ここのフレーズのせいで、余計にペットロスとしか思えない」と言っていました。
終わりに
いかがでしたか?
短い曲ということもあり、和訳+考察にさほど時間は取られないだろうと舐め腐っていましたが、今回も完膚なきまでに叩き潰されるレベルの、奥深くてドラマチックな歌詞でした。自分が生きているうちに全曲分作れるか不安になってきました。どうしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回作もぜひ読んでくださいね。