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福建土楼の泊まり方
みなさま、中国のビザ免除が発表されましたね。
時は満ちた…そう、中国に行くべき時です。
万里の長城、兵馬俑と並ぶ中国特色建築物といえばここ、福建土楼に行きましょうという記事です。
福建土楼へのアクセスと宿泊
福建土楼はその知名度のわりにアクセスが便利ではない。基本的にツアーで厦門から直接訪れてしまうのが楽だが、この記事をわざわざ読みに来るような方が求めている情報はそんな抜け道ではないだろう。ということで個人で福建土楼に行く方法と(筆者の独断と偏見で選んだ)訪れるべき土楼群を紹介したいと思う。
個人での福建土楼へのアクセスは大きく二方向からとなる。
北側の龍岩(龙岩)市からと、東側の漳州市、厦門(厦门)市からとなる。
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また福建土楼が集中してるエリアも大きく二つに分けられ、龙岩市永定区にある永定景区(下地図で高北土楼群以西)と漳州市南靖县にある南靖景区となる。
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具体的なアクセス方法としては
①龙岩客运站→土楼汽车站
②龙岩客运站→高头汽车站
③龙岩客运站→永定汽车站→土楼・高头汽车站
④厦门→书洋・高头・土楼汽车站
⑤漳州→书洋・高头・土楼汽车站
⑥(漳州・南靖站)→南靖汽车中心站→书洋汽车站
最も一般的なアクセス方法は①であろうか。龙岩へは広東省、福建省、江西省方面から高速鉄道が走っている。龙岩の駅には隣接したバスターミナルが存在するが、土楼方面へのバスは3㎞ほど離れた市内中心部の龙岩客运站から発車する。
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龙岩から直接土楼汽车站に向かうバスの本数は2024年8月において1日4本10∼15元である。
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この土楼汽车站に隣接する永定土楼群が最もメジャーで、観光地化された土楼になる。ここの土楼群のメインは何といっても振成楼である。「土楼王子」の別名を持つ最も典型的な円形土楼と説明すればよいだろうか。なお筆者はあまりにも観光地化されすぎてて嫌なので行っていない。
またこの土楼汽车站周辺には客待ちをしているタクシー・バイクタクシー(たまに英語が喋れる方も)がいるので、他の土楼に向かう際にも、とりあえずここに立ち寄ることで公共交通機関では行きづらい土楼群に向かう起点となる。
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この永定土楼群は最も観光地化されているということで、外国人も宿泊できる土楼がいくつか存在する。
これは环兴楼という円形土楼内の永定土楼香叙·腾讯天涯明月刀沉浸式剧场民宿という民宿。
こちらは升恒楼という方形土楼内の读旅永定土楼·升恒楼世遗民宿。
こちらは阳临楼という方形土楼内の永定土楼阳临客栈。
永定土楼群と並んで最もメジャーな土楼群である高北土楼群へは高头汽车站が便利である。筆者は高头汽车站から龙岩方面への帰りのバスに乗車した(ルート③)が、龙岩行きのバスは満席が続出していたため、ここから乗車予定の方は早めにチケットを抑えておいた方がよさそうだ。
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高北土楼群の目玉は「土楼王・承啓楼」である。1709年建造という古さや、四重の円形土楼など派手な土楼である。この土楼にある民宿にはどうやら外国人は宿泊できなさそうだが、隣の侨福楼では宿泊できそうだ。
続いて東側の南靖景区のお話である。南靖景区の入口へは书洋客运站が便利である。书洋客运站を中心として観光用巡回バスが各土楼群へ向けて発車しているようだ。またこの地域を観光するのであればタクシーを時間単位でチャーターしてしまうのも便利だ。訪問したい土楼群に目星を付けておき、バスターミナルで声をかけてきたタクシーの運転手と交渉すれば、簡単な観光案内とともにめぐってくれる。さらに景区として観光地化されていない村々にも小さな土楼が立っているのが見えることもよくある。名のある土楼だけでなく、そのような小さな土楼を巡ってみるのも楽しいかもしれない。
南靖景区の北側に位置する云水谣古镇も大型の土楼が何軒もたつ見所たっぷりな土楼群である。と言いつつここも筆者は行っていないが。ここの景区のことはあまりよく分からないが、福兴楼-土楼民宿という方形土楼内の民宿は宿泊できそうだ。
また福谦楼の茶人小站3福谦楼1906土楼民宿でも外国人観光客を受け入れているようだ。
そして最後に実際に筆者が宿泊した土楼はこちら。南靖景区南側にある田螺坑土楼群の文昌楼である。この土楼は建設が60年代と非常に新しいが、その分ここで生活している方々がまだまだいるので、土楼での実際の生活を眺めながら宿泊することができる。
なお中国における外国人宿泊可能状況は日々変化する。上に挙げた宿に関しても、口コミなども確認しながら最新情報の取得に務めて欲しい。
ではここからは実際の訪問の様子を写真をまじえながら紹介していきたいと思う。
前回、海南島から中国本土への鉄道連絡船に乗船したお話を紹介した。
この記事のあと、筆者は湛江、茂名、広州、潮州を経由して龍岩に降り立った。
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まずは市内の龙岩客运站に移動して土楼汽车站までのチケットを買う。幸いにも午後1時半のバスが空いていたので席を押さえたのち、昼食のために周りをふらふらと歩きまわる。
中国では市や県の中心部のバスターミナルの周囲にはたいてい簡易食堂が並んでいるので、そのうちの1軒、ホールのおばちゃんの押しが強い店に入る。
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定食的なので1食13元、キッチンの方に巨大なゴキブリが歩いて行ったのが見えたが、ここは見なかったふりである。中国の地方都市の衛生観念はそんなものである、気にしていてはおちおち旅もできない。
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食事をしている間にバスの発車時間が迫ってきたので、ターミナルまで戻る。龙岩客运站から土楼汽车站までおおよそ2時間半ほどである。それにしては乗車券が10元というのは安い。
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連日の街歩きの疲れからか、バス車内では爆睡してしまい、気づいたら土楼汽车站まであと少しのところであった。4時ごろの永定土楼群到着は通常ならばそのまま宿に直行するような時間であるが、筆者はこのまま30㎞以上山奥の田螺坑土楼群まで辿り着かないと今夜の宿がない。
幸い土楼汽车站周辺にはそんな客を見越して、バイクタクシーが何台も待機していたので、そのうち一人に声をかける。
とりあえず土楼汽车站から田螺坑土楼群までいくらかかるか聞くと100元とのことであった。かなり割高な気がするが、事前情報でもこの区間の移動は100元と聞いていたので、おそらくカルテル的な統一料金を導入しているのであろう。そろそろ暗くなりつつあり、また雨も降ってきたので、最初に声をかけた運転手に決めた。
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バイクタクシーというのは東南アジアでは何回も乗ったが、中国では初めてである。タクシーより割安なので一人旅では少しお得感もある。
永定土楼から30分ほど揺られると、福建土楼(南靖)景区-游客服务中心という建物に連れていかれた。国道沿いのここから南北に分かれた山道の先に南靖景区の各土楼群があるため、チケットは一括してここで売っているようだ。
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入場券は確か90元であったが、学生料金というものも存在する。私は一応日本の大学の学生証だけは持っていたので、ダメもとで有効か聞くと、ニベもなく断られてしまった。中国の観光地の半分くらいは日本の学生証の漢字の大学名だけ確認してOKが出るのだが…。
入場券を買ってゲートを抜けてから、さらに山道を30分ほど走ると、ようやく本日の目的地が見えてきた。
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田螺坑土楼群は1つの方形土楼・步云楼とその周囲を囲むように4つの円形土楼・和昌楼、瑞云楼、振昌楼、文昌楼が立ち並び、最も美しい土楼建築群や四菜一湯などと呼ばれる。
だが筆者から見ると、この土楼群はまさに要塞群。20世紀後半まで械闘を繰り返していたという福建の戦闘的な人々にふさわしい、機能的な暴力性を存分に発揮した建造物に見える。特に本日の宿がある文昌楼(中央左奥)は建造が1966年とのことだが、これはつまりその時代まで近隣の村々との間で土地や水利権、あるいは財産などを巡って暴力の応酬が続いていたことを意味する。
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到着時には暗くなりつつあったので、バイクタクシーの運ちゃんに案内を頼んで、宿まで連れて行ってもらう。
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文昌楼に入り、入り口横にいた壮年の男性に声をかけて二言三言話したところで、運ちゃんからこの男性が文昌楼のボスだから、あとは彼の言うことを聞きなと言って帰って行ってしまった。
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ボスに挨拶すると、よく来たな、今日は君だけだぜ、客用の部屋ならどれでも好きなとこ使っていいぜと。それなら一番上の階がいいっすと伝えると、ニヤッと笑って連れて行ってくれた。
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部屋までの階段や廊下のそこここには生活の匂いが充満しているのがよい。永定土楼群などではもはや土楼内で生活している人はほぼいないが、ここまで来ると、住民の生活がメインであり、余った部屋を観光客に貸し出しているという雰囲気になる。わざわざここまで来た甲斐があったというものだ。
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部屋は普通に小綺麗であり、水回りが1階まで行かないとないことを除けば、まったく宿泊には困らないレベルに整えられている。
荷物を置いて階下に降りると、先ほどのボスがお茶はいるかね?と声をかけてくる。これが福建流の飲み方さと杯を渡してくれる。
中央の蓋のついた容器に茶葉が入っており、時々お湯を溢れるほど加えて、十分に茶を出してから、小さい杯に入れて一息に飲み干す。何杯も飲むうちに少しずつ味が変わってくるのが分かるのだ。うまいだろと目線で聞いてくるボスの流し目が、色っぽくてカッコいい。
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そのうち真横でおばちゃんが鶏を絞め始めたので、ボスに断ってからそちらも見学する。今夜の晩御飯用よ笑いながら羽を毟っていく様は手際がいい。
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同じ建物内でも台所は各家庭?世帯?ごとに専用のものがあるようだ。筆者の泊まる民宿を経営している家族の台所から声がかかって、メニューを渡されたので、夕飯を注文する。
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食事後は周りの土楼も見学する。泊まっていない土楼の階上には上がれないが、1階部分だけでは十分に楽しい。
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どの土楼にも先祖を祭る祭壇があり、それぞれの土楼の違いがあるのが面白い。
方形土楼は外から見るよりも中は圧迫感がある。
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朝起きると一面の雲海であった。集落から少し歩いた展望台から見下ろす土楼は美しい。
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また丁寧に開墾された斜面の段々畑の景観も素晴らしい。
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この集落には小さな売店が1軒あるのみで、食品などはふもとの村から売りに来る人がいる。肉屋はバイクの後ろにつけたかご一杯に肉を詰め込んで朝一番に村に上がってきた。
野菜売りは車にその日とれたての野菜を満載して、遅れて上がってきた。
土楼に限らないが、中国の地方の村のこのような日々の暮らしを垣間見れるのは本当に楽しい。
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泊まっていた文昌楼に戻ると、朝ごはんが出来ていた。中国という国はどんな小さな村に行っても、美味しい食事にありつけるのがありがたい。
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満足いくまで田螺坑土楼群の集落内を歩き回った後、行きと同じくバイクタクシーを頼み、寄り道をしながら永定土楼群まで戻った。途中で立ち寄ったのは河坑土楼群とその北にある石桥村という小さな集落である。
どちらもあまり観光地の雰囲気を感じさせず、かといってよそ者にぶしつけな視線を向けるでもなく、生活の場にお邪魔させてもらった。きっちり整備されている土楼群もいいが、このような過剰でない土楼を訪れるのもいいものである。
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その後、高头汽车站よりバスで永定汽车站を経由し、龙岩市内まで移動したのち、最終の高速鉄道に乗って福州市まで移動して、今回の福建滞在を終えた。
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最後に宣伝です。2024年8月に開催されたコミックマーケットC104にて頒布しました、中国南西部雲南省∼四川省の同人写真集を委託販売していただいています。興味のある方はぜひお手に取ってみてください。
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ではでは読者の皆様もよき旅を。