革靴は2万5000円を境にしてモノが変わるのです。ええ。
わかりました、お客様。
革靴の選び方をアドバイスをしましょう。
まず、予算ってどのくらいですか?
えっ?
2万っ?
なにいっちゃってんですかぁ!
あ、いや、失礼しました。
申し訳ございません。
あのね、お客様。
もう5000円は見てください。
2万5000円を境にして、革靴のモノが変わるんです。
作りが変わる、あるいは質が変わるというのか。
ええ。
もちろん、5万10万の革靴でもいいんです。
しかしながら、5足までは廉価なものでいいでしょう。
おすすめは、2万5000円から、まあいって5万、がんばって6万くらいの革靴。
そのくらいの値段が現実的でしょう。
革靴は実用品ですし、履くとなったら履きこなすために3足は買ってローテーションしないといけませんから。
はい?
革靴は10万以上がいいと聞いた?
お客様。
失礼になりますが、その方は実家暮らしでしょ?
給料1ヶ月分を革靴に突っこんでも平気な方でしょ?
あのね、この店は、自立して仕事する大人の店です。
まずは定番の黒靴から、廉価なものから、1足ずつ何年もかけて揃えていけばいいです。
で、当店のオリジナル商品も買う。
いろいろありますから。
はい?
それはいいから、なんで2万5000円以上かって?
あのね、お客様。
新宿の伊勢丹メンズを基準にしました。
そこのB1に紳士靴売り場が、オリジナルの革靴を販売したのです。
それが2万5000円でした。
その2万5000円という価格が、私があちこちの店で500足を確めた中での良い革靴の底値。
あ、でも、もう何年も前の話ですね。
直近は確かめてないですけど。
それに昨今の物価高騰を考えると、ギリギリ2万5000円としておきますか。
え?
ホントに500足確かめたのって?
だって、週イチで5足確かめたとするでしょ。
とすると月に20足で、年間で240足、5年でって、あれ、やっぱ1000足は確かめたかな。
伊勢丹メンズ以外でも、銀座や新橋や上野の革靴専門店とか、池袋や渋谷の百貨店の革靴売り場、あるいは量販店の革靴コーナーを回って確めましたから。
で、結果。
2万5000円を境にして革靴のモノが変わる、と掴みました。
え?
その革靴のモノってなにかって?
ああぁ、そこなんですど。
なにから話していいのか。
そんな簡単な一言で済む話じゃあないんです。
まずは、お客様。
革靴の価格って何で決まるか知ってます?
材料となる革…、ですか。
以外にそこじゃないんです。
革靴の価格はね、職人の工賃で上下するんです。
そうなんです。
オーダーメイドの革靴となると、職人が手間をかけて作るから、価格が30万とか50万になります。
一番に手間がかかるのは “ ラスト “ という木型。
その人の足に合わせて、職人が細かくラストを削ったり、パテを塗って盛り付けたりして微調整する。
だから30万とか50万という値段になる。
高額にはなります。
その代わり、オーダーメイドの革靴は履き心地がいいし、リペアをして長く履けるので、相応の価格でしょう。
そういう私は、オーダーメイドの革靴までは手を出してないのですが…、聞いた話です。
とはいえです。
失礼ですけど、お客様、セレブですか?
それか、ファイヤーした億り人ですか?
ちがいますね、どう見たって。
毎日、仕事が終わったら、無駄に飲んだくれてるだけですよね?
どうせ、新NISAだって、この前の暴落でエライ目にあってんでしょって、それは私ではないですかぁ!
とにかくです。
最初は、2万5000円以上の革靴を3足ほど揃えるところからいきましょう。
2万5000円以上の革靴だったら本皮ですので、リペアをして長く履けますから。
磨けば風合いも出てきますので。
なんでそれができるかっていうと、30万や50万の革靴でも、3万や5万の革靴でも、使われている革の質には大差ないんです。
これも以外でしょう。
ええ。
ですから、お客様。
靴磨きするのに、当店オリジナル商品のブラシスタンドどうですか?
今でしたら特別価格の…、え?
いらない?
まあでも、私、思うんですけど。
高くても安くても革の質は変わらないっていう以外さ。
これを “イカ” で例えればです。
高級寿司屋の一貫2000円のイカでも、回転寿司の一貫200円のイカでも、使っているイカは大差がないという俗説と同じことかと。
なんで、イカが大好きな人は、回転寿司でたくさん食べたほうがお腹いっぱいになる。
え?
それはちがう?
ですから。
お客様。
イカで例えればって、今いいましたよね?
話を戻しましょう。
材料となる革に。
革は “ タンナー ” という業者が加工するんです。
生の革を “ タンニン ” という液体でなめすからタンナー。
このタンナーは、かなり大きな設備が必要。
ですので、タンナー業界も統合が進んで、現在は大手6社が世界のシェアを占めてます。
で、多くの革靴メーカーは、大手6社のタンナーから革を仕入れている。
それですので、30万50万の高級靴でも、3万5万の革靴でも、材料費はそこまで大差がない。
通の革靴好きとなると、革にも好みがあるようで「この靴のタンナーはどこですか?」と売り場で聞くらしいです。
まあでも、タンナーまでは気にしなくていいでしょう。
『革の質』は気にせずに『作りの質』を見る。
『いかに手間がかけられて作られているか』を見る、ということですか。
はい?
なんでしょう?
どうして革靴について知ってるかって?
はい。
『Begin』情報です。
『Begin』だったら間違いない情報でしょう。
いやだから、お客様。
ファッション誌の『Begin』ですよ。
沖縄のバンドの『Begin』じゃなくて。
あの3人は革靴は履かないでしょう、というよりも沖縄の青い海と砂浜に革靴は似合わない。
とにかくも、まとめるとです。
高級な革靴も、廉価な革靴も、皮の質はそうも差がない。
なので、いかに手間がかけられて作られているか、そこをチェックする。
では、革靴のどの部分が、2万5000円を境目にして変わるのか。
見るべきところは、足の指の付け根の部分。
そこの作りが変わるんです。
~続く~
世界一小さな革靴ショップ『西田』X支店
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