kanzendokushu量子力学メモ
この記事は、「完全独習量子力学 前期量子論からゲージ場の量子論まで (KS物理専門書)」の私によるメモ書きです。
メモからだけでは内容を理解することができないと思います。
ぜひ本を買って読んでみてください。
私と一緒に、読み進めてみたいという方は、Twitter @K54766006 までご連絡ください。
第I部 前期量子論
第1章 粒子と波動の二重性
1.1 エネルギー量子の発見
産業 金属 温度 パトロンからの援助
空洞放射の研究とエネルギー量子
キルヒホフの法則:吸収/放出 同じ(熱力学)シュテファン・ボルツマンの法則:全放射密度∝T^4(電磁気学と熱力学)
放射密度とスペクトル分布の研究
ヴィーンの遷移則
ヴィーンのエネルギー分布則
プランクの登場
プランクのエネルギー分布則:高温極限でヴィーンの公式、低温極限でレイリー・ジーンズの公式
エネルギーの離散化(エネルギー量子) ε=hν=ℏω
1.2 ブラウン運動論 - 原子の実在性の証明
ブラウン運動
ファント・ホックの法則 浸透圧勾配力のつり合い ストークスの抵抗力 フィックの法則 ➩ アインシュタインの拡散係数
拡散方程式
分散のT,η,a依存性
ジャン・ぺランによるコロイド実験によってブラウン運動の理論が検証された。原子の実在性が証明された。
1.3 光量子論と光電効果
光量子論:光電効果の理論
光電効果はマクスウェルの電磁波理論では説明不可能だった。
アインシュタインの光量子仮説(プランクのエネルギー量子仮説の発展)
1.4 特殊相対性理論とコンプトン散乱・電子波
特殊相対性理論の2つの原理:特殊相対性原理、光速度不変の原理
時間の同時性、ローレンツ収縮、時間の遅れ
ガリレイ変換 → ローレンツ変換
質量欠損
コンプトン散乱 散乱公式は場の量子論のところでも導出する。
電子の波動性
光が粒子なら電子は波 ド・ブロイ波
ブラッグの反射
ボーアの角運動量量子化条件
1.5 原子構造論
ボーア模型:Ⅰ. 定常状態では古典、Ⅱ. 遷移でhν、Ⅲ. 対応原理(放射は粒子の運動で説明)
中心力と遠心力の釣り合いで、ボーア半径、エネルギースペクトル、リュドベリ定数
フランク・ヘルツの実験:電圧かけて、励起に必要なエネルギーわかる
1.6 粒子と波動の二重性 - エネルギーの揺らぎ
統計力学と熱力学の公式から式1.6.14が導かれ、ここから、独立変数の選び方に応じたいろいろな熱力学的揺らぎを計算できる。
格子全体のエネルギーの揺らぎは、<(ΔE)^2>=hνE+(第2項)
第1項は古典的粒子のボルツマン気体に出てくる項で、第2項は古典波動的描像のレイリー・ジーンズ分布から出てくる項である。このことからも波動と粒子の二重性が認識される。
第II部 量子力学
第2章 行列力学と波動力学
2.1 行列力学と波動力学の基本
ハイゼンベルクの行列力学における運動方程式は
$$
iℏ\frac{dO}{dt}=[O,H]
$$
シュレーディンガーの波動力学における基本方程式は
$$
iℏ\frac{dψ}{dt}=Hψ
$$
x↦x, p↦ℏ/i ∂/∂x とすれば、正準交換関係式 [x,p]=iℏ を満たし、両理論が同等であることがわかる。
2.2 波動力学とハミルトン・ヤコビ方程式
幾何光学↔古典力学
波動光学↔波動力学
作用Sの変分からオイラーラグランジュ方程式が導かれる。
ラグランジアンLの全微分の式と比較することで、ハミルトンヤコビ方程式が導かれる。
ハミルトンヤコビ方程式においてハミルトニアンが全エネルギーに等しい場合、作用Sはモーペルテュイの作用W(pをqで積分したもの)引くEtで表される。
(古典的)光学的な波動方程式は
$$
∆φ-\frac{1}{u^2}\frac{d^2φ}{dt^2}=∆φ+\frac{4π^2}{λ^2}=0
$$
この波動振幅φに対応する波動力学の量としてΨを位置づける。
そうして、λをドブロイ波の関係式によってエネルギー表示すれば、シュレーディンガーの波動方程式が導かれる。
Ψのことを波動関数と呼ぶ。波動関数は対応論的には
$$
ψ=e^{i\frac{S}{h}}=e^{i\frac{W-Et}{h}}
$$
となるはずで、これを用いると時間依存するシュレーディンガー方程式がえられる。
$$
iℏ\frac{∂ψ}{∂t}=Hψ
$$
ただし、ここでのHは1粒子のハミルトニアンである。
2.3 行列力学とハミルトニアン
ハイゼンベルクの行列力学の基本方程式は、古典のハミルトン方程式およびポアッソン括弧式との対応によって導かれる。
$$
\frac{dF}{dt}=Σ{~}+\frac{∂F}{∂t}=[F,H]+\frac{∂F}{∂t}
$$
量子ポアッソン括弧を $${uv-vu=iℏ[u,v]}$$
とすれば、ハイゼンベルクの運動方程式 $$iℏ\frac{dF}{dt}=[F,H]$$
が得られる。
第3章 量子力学の一般的定式化
<量子力学の基本的な構成要素>
1. 状態を表すヒルベルト空間の状態ベクトル
2. 観測量を表すエルミート演算子
3. 波動関数の確率解釈
c数:積の順序交換可能(classic)
q数:積の順序交換不可能(quantum)
3.1 量子力学的学的状態と重ね合わせの原理
ヒルベルト空間は、以下の7つの性質をもつ。
1. ケットベクトルによって張られる線形空間
2. ベクトルの重ね合わせの原理が成り立つ
3. ケットベクトルに双対なブラベクトルが存在し、これは双対なH空間を張る。
4. 複素数値を返す内積演算が定義されている。(計量空間)
5. 正定値ノルム空間
6. 可算無限個の正規直交系が定義されてていて、これを基底として任意のベクトルを展開出来る。
7. ベクトル|n>は完全系を張る。 Σ|n><n|=I(パーセヴァルの等式)
以上のことは、離散的な状態で量子力学的状態が表現できる場合には完全に正しい。より一般的には、連続無限な基底を考える必要がある。
3.2 エルミート演算子の固有値と固有関数
$${\hat A \ket ψ \in H}$$ が満たされるような集合$${D(\hat A)}$$を考えると都合がよく、その集合$${D(\hat A)}$$はHにおいて稠密で、$${\hat A}$$が閉じていると特に都合がよい。連続性が保障されたりするので。
$${\hat A=\sum λ_n \ket n \bra n }$$
連続スペクトル
固有値が連続スペクトルになっている場合
$${\hat B=\int dλ λ\ket n \bra n }$$
後は、クロネッカーのデルタをディラックのデルタに置き換えるような操作をする。
3.3 シュレーディンガー描像とハイゼンベルク描像 - 変換理論
シュレーディンガー描像とハイゼンベルク描像は、ディラックの変換理論から見れば同値である。
ハミルトニアンを生成元とする時間発展群によって相互に関係づけられる。
運動量演算子 $${\hat p =\frac{ℏ}{i}∇}$$ はシュレーディンガー表示である。
これを行列表示すると、
$${\bra q \hat p_j\ket q=\frac{ℏ}{i}\frac{∂}{∂q_j}δ^f(q-q')}$$ となる。ただし、fは空間の次元であり、f重積分していることを意味する。
波動関数$${ψ(x)}$$の状態ベクトル$${\ket x}$$によるx表示は$${ψ(x)=\bra x \ket\psi}$$ と定義する。
p表示もできる。
$${\ket p}$$ を $${\ket q}$$ で展開するときはフーリエ変換に基づく。
内積は $${\bra ξ \ket ξ=\int d^f x_j ξ(x)η(x)}$$ と定義する。
シュレーディンガー描像とハイゼンベルク描像の関係
シュレーディンガー描像:演算子は時間に依存せず、状態のほうが時間発展する。
ハイゼンベルク描像:状態は時間に依存せず、演算子のほうが時間発展する。状態ケットが初期状態から時間発展演算子によって時間発展すると考えれば、演算子の側に時間依存因子をもってくることができる。
時間依存する演算子を時間で微分して、シュレーディンガー方程式を用いることで、ハイゼンベルクの運動方程式を導ける。
つまり、シュレーディンガーの波動方程式とハイゼンベルクの行列力学は時間発展演算子(ユニタリ変換)によって関係づけられるのだ。
これらのほかに、摂動計算のためによく用いられる相互作用表示というものもある。クーロン散乱の節でやる。
3.4 オブザーバブルの測定と確率解釈
「測定」は本質的に古典力学とは異なる。
「確率解釈」と「観測公理(波束の収束)」の2つの仮定を置く。
期待値の式~
分散の式~
3.5 不確定性原理
略
哲学 略
小澤の不等式:不確定性原理による揺らぎと測定による攪乱とを明確に区別
3.6 経路積分による量子化
経路積分量子化もシュレーディンガーやハイゼンベルクの流儀と同等である。
$${t_i}$$に$${x_i}$$が観測結果として得られ、$${t_f}$$には$${x_f}$$が得られる確率振幅は、$${\braket{{x_f,t_f}|{x_i,t_i}}}$$である。
これをシュレーディンガー表示すると、$${\braket {{x_f}| e^{-i\hat Ht} |{x_i}}}$$となる。
この形で表されるものを熱核という。
つ づ く
第4章 量子力学の初等的応用
第5章 スピンの発見
第6章 量子統計
第7章 ディラック方程式
第III部 相対論的場の量子論 155ページ
第8章 素粒子の場の量子化
第9章 量子電気力学と経路積分による量子化
第10章 くりこみ理論
第IV部 非可換ゲージ場の量子論 249ページ
第11章 非可換ゲージ場理論
第12章 電弱相互作用
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?