親子でも!大人同士でも! 振り返り(リフレクション)で人生を豊かに ~IDに見るコミュニケーションのヒント~
皆さん、こんにちは!
リープのマナです。
リープ株式会社は、インストラクショナルデザイン(ID)という教育理論に基づいて、企業の人材育成や教育の仕組みづくりをサポートしている会社で、2022年からSDGs活動の一環として「こども食堂の支援」を開始し、現在はSWITCH社が運営する「TSUNAGU食堂」に参加しています。
このページに来訪いただいた方の中には、実際に、TSUNAGU食堂に参加したことがきっかけでこちらをご覧いただいている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
年に1度、実際にTSUNAGU食堂をリープメンバーが訪問して、活動に参加しているのですが、今年11月に訪問した際に親子の対話や振り返りにフォーカスしたワークを行いましたので、そちらに関連して、親子でも大人同士でも活用できる学びやコミュニケーションのヒントをご紹介したいと思います。
■TSUNAGU食堂について、詳しくはこちらをご覧ください
■昨年の様子はこちらから
※今年の様子は後日記事をアップいたしますのでお楽しみに!
◆ 学びにおける振り返り(リフレクション)の重要性 ~経験学習モデル~
大人も子どももたくさんの経験を重ねて成長をしていきますが、ただただ経験を積むだけではもったいないということをご存知ですか?
人材育成の分野では、振り返り(リフレクション)が大切だと言われています。
振り返りは、自分が体験したことや過去に起こった出来事を多角的に分析し、その経験における自分への影響や得た教訓など、今後同じような状況に直面したときによりよく対処するための「知」を見出そうとする方法論です。
学びを促進するためには以下の4つのステップを繰り返すことが重要だと言われており、これを『経験学習モデル』と呼びます。
ただ「具体的経験」を繰り返すばかりで、他の3つのステップを飛ばしてしまっていては、失敗は繰り返してしまいますし、成功は再現することが出来ません。
言葉だけを聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、このサイクルを子どもの内から回せるようになると、自分だけでどんどんと学ぶことが出来るようになります。
とはいえ、いきなりお子さんに「振り返りが大事だからやってみよう!」と投げかけても、最初は「楽しかった」「嬉しかった」というような単純な感想しか出てこないかと思いますので、是非お母さん・お父さんから「うまくいったこと・失敗してしまったこと」(内省的観察)と「そこから得た自分の特性(性格や得意なこと・苦手なことなど)への気づき」(抽象的概念化)を促す投げかけをしてあげましょう。
ではその観点で親子のコミュニケーションを考えたときに、一番大切なことは何かというと「親御さんが話し過ぎない」ということです。
例えば授業参観で、お子さんが手を挙げたけど上手く話せなかったとき、ついおうちに帰ってからあれやこれやと言いたくなってしまうと思います。
ですが、いきなり一方的に親御さんの意見を伝えてしまうと、本人が内省するタイミングがなくなってしまいますので、一旦ぐっとこらえて、まずは「今日の授業参観はどうだった?」と聞いてみてください。
また反対に、お子さんが上手く発表が出来たとき、おうちに帰ってからもちろん褒めてあげると思うのですが、ただ褒めるだけでなく、お子さん自身の感想を聞いて、振り返りを促してあげましょう。
まずはお子さんに考えてもらうこと、そしてその考えを言語化すること、その積み重ねがお子さんの「考える力」「経験を次に活かす力」を育みます。
■こちらのモデルを部下育成の観点で解説しているのはこちら
◆ お子さんの思考を促す質問をしてみましょう!
先ほど経験学習モデルについてご紹介した時に「『内省的観察』と『抽象的概念化』を促す投げかけをしてあげましょう。」とお伝えをしましたが、
\そんなこと言われても何て投げかければいいの!?/
そう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
たとえば、感情や気持ちを表現させたり、自己効力感や自信を育てる質問、次への学びや成長につながる質問には以下のようなものがあります。
「どんなところが一番面白かった?(楽しかった?つらかった?)」
「どうしてこれをやってみようと思ったの?」
「一番自分でよくできたと思うところはどこ?」
「どんなところを褒めてほしいと思う?」
「次はどんなことを(どんなふうに)やってみたい?」
この記事の後半では、「お子さんが絵を描いた」という場面を例に、質問の事例集を掲載しておりますので(【付録】お子さんの思考を促すための質問事例)、そちらもぜひご覧いただければと思います!
◆ 自由な発想は承認から!
お子さんが自由に考え、自由に発言するために大事なのは受け入れること、つまり「承認」が必要です。
余談ですが、私は小学生の頃、とあるアイドルが好きで、母に内緒でこっそりとファンレターを送ったことがありました。
一緒に手作りのビーズキーホルダーを同封したところ、その事務所はプレゼントが禁止だったようで、自宅に返送されてしまい、あっさりと母にばれてしまいました。
その後、母にこっぴどく怒られ、泣きながら駅のゴミ箱に手紙を捨てた記憶があります。
もちろん無断でそのような行動をした私がいけないのですが、子どもの私としては「無断で封書を送ったこと」を怒られただけでなく、「アイドルへの好きという気持ち」そのものを否定された気がして、ひどく落ち込みました。
それ以来、否定されるのが怖くて、母親に好きな芸能人の話だけはいまだに出来ずにいます。
(親子関係は悪くありませんので、ご安心ください!笑)
少し暗い話になってしまいましたが、
やはり「自由に発言して良いんだ」「自由に表現して良いんだ」とお子さんが思えるためには、否定をしないこと、そして認めてあげることがとても大切だということを実感していただけたのではないでしょうか?
■親子の会話における「承認」についてご紹介しているのはこちら
親子のコミュニケーションの中で、「叱る」「褒める」という結果に対してのフィードバックだけでなく、振り返り(リフレクション)を取り入れて、一緒に新しい発見、知を得てみてください!
お子さんの発想から、きっと多くの笑顔や新しい未来のヒントを発見できますよ!
◆ 【付録】お子さんの思考を促すための質問事例
2024年11月のTSUNAGU食堂のワークでは、「今年の思い出」「好きなもの」について、お子さんに絵を描いてもらいました!
その場面を想定して、絵を描いた後のお子さんへの質問の切り口をいくつかご紹介します。
「絵」の部分をその他の創作物や体験などに置き換えられる質問もあるかと思いますので、ご参考になりましたら幸いです!
① 想像力や創造力を引き出す質問
「もしこの絵の中に入れるとしたら、どんな冒険ができそう?」
「この絵の続きを描くとしたら、何が起こりそう?」
「この絵の中に誰か一人、友達を招待するとしたら誰にする?」
② 感情や気持ちを表現させる質問
「これを描いていて、一番ワクワクしたところはどこ?」
「この絵の中のキャラクターは、どんな気持ちだと思う?」
「完成したとき、どんな気分だった?」
③ 自分の価値観や好きなものを深掘りする質問
「どうしてこれを描こうと思ったの?」
「この中で一番気に入っている部分はどこ?」
「他にも好きなテーマがあるとしたら、何を描いてみたい?」
④ 学びや成長に繋がる質問
「次に描くとしたら、もう少し工夫したいところはある?」
「一番難しかったところはどこだった?」
「新しい描き方やテクニックを使ってみるなら、何を試してみたい?」
⑤ 問題解決力を育む質問
「もしこの絵が魔法の世界だったら、何を変えられると思う?」
「この絵のキャラクターが困っていたら、どうやって助けてあげる?」
「この色や形が変わったら、どんなストーリーが始まると思う?」
⑥ 楽しさや喜びを共有する質問
「描いてみて、どんなところが一番面白かった?」
「見ている人が楽しめるポイントはどこだと思う?」
「この絵を見た人に、どんな気持ちになってほしい?」
⑦ 自己効力感や自信を育てる質問
「この絵を描いて、一番自分でよくできたと思うところはどこ?」
「この作品を見たら、何て褒めてほしい?」
「他の人にこの絵のどんなところを見てほしい?」
◆ 【おまけ】リープメンバーの子どもの頃の思い出
子ども食堂での取り組みに関連して、リープメンバーに子どもの頃の思い出を聞いてみました!
是非、今後のお出かけや思い出づくりの参考としてご覧ください。