Vol.9 アイデンティティを取り戻すためのジェンダー平等
Magandang araw(こんにちは)、Tomiです!
一昨年の冬休みに、日本に一時帰国した際、世界史の先生に、日本の高校の教科書では、フィリピンについて何がどれぐらい載っているのかを聞いてみました。学校によって使っている教科書はさまざまなので、全ての教科書や学校がそうではありませんが、私が聞いたのは2つ。
マゼランのフィリピン上陸と、日本がフィリピンを植民地にした、この二点でした。
以前、英語でいうShe/Heなどのpronouns(代名詞)にあたるタガログ語は、性別に関係なくsiyaの一つだという話を書きましたが、スペイン統治以前のフィリピンは、実はジェンダー平等だったと言われています(詳しくは、イスラムの地域をのぞいて見たとき、不平等だったと言うには足らない状況だったそうです)。コミュニティでは女性が男性と同様のパワーを持ち、家庭内外両方において、女性のやることや意見は男性と同様に重要視されており、男性も家庭内の仕事を当たり前に共有していたそうです。
スペインはカトリックとともに、家父長制と性別役割分業を持ち込んで、300年以上続いた統治は、カトリックによって憲法と国を作り、ジェンダー不平等はsocial philosophyとして根付いていったそうです。聖書では、男性(アダム)が先に生まれたことが重視され、聖書が否定している同性愛や中絶はなかなか認められません。リプロについて語られる時には、中絶は違法なので除外されるし、避妊については合法化したいまでも、宗教上の理由で否定的です。
「Tomi、数字だけで見れば確かにフィリピンはジェンダー平等の先進国と言えるけど、フィリピンのリプロの状況は、最も保守的なサウジと同じぐらい遅れているんだよ。」と先生は言っていました。
それでも、聖書を肯定的に、フェミニストの視点で読みすすめるアクティビストたちがいて、バックラッシュと戦いながら、女性やLGBTQIA+の人権を獲得しようとするフィリピンの歩みは止まりません。
ジェンダー平等を実現することは、フィリピン人としてのアイデンティティを取り戻すこと!そんなフィリピンのアクティビストたちのエネルギーを感じます。
(この記事は2021年2月に執筆されたものです)