【10/17 国際ガールズ・デー記念イベントレポート】私たちはなんだってできる!-夢中になれる仕事の探し方-
Lean In Tokyoでは、10/17に、10/11の国際ガールズ・デーを記念して、オンラインイベントを開催しました!
今回のテーマは「私たちはなんだってできる!-夢中になれる仕事の探し方-」。
ゲストに、産婦人科医としてご活躍後、現在スタンフォード大学でMBA留学されている中安杏奈さん、総合商社にて航空機リース事業に従事し、現在アイルランドの事業会社に出向中の小野瀬若葉さん、フランスのパリ天文台にて、宇宙開発に携わるエンジニアとしてご活躍中の小仲美奈さんをお迎えして、様々なお話をお伺いしました。
ゲストプロフィール
第1部:ゲスト紹介
まずは、ゲストの方それぞれの人となりを探るべく、今のお仕事や、そこに行きつくまでの経緯などをインタビューしてみました!
■中安杏奈さん
「やらない後悔をいつかするなら、今やってみよう」
Q:なぜ医者の道を、そしてその中でも産婦人科の道を選んだのですか?
中安 杏奈(以下、中安):自分が小さい頃に診てくれていた女性の小児科の先生に憧れたことがきっかけです。頭が良くて優しくて格好良い先生で、同じように人の役に立ちたいなと思いました。医者の中でも産婦人科医の道を選んだきっかけは、学生実習で色々な科を回った時に、産婦人科でお産に立ち会った経験でした。家族でも友達でもない一人の女性の出産に、感動して涙が止まらなかったのです。産婦人科医は、人生の始まりの瞬間に関わることができ、手術もやりがいがあって、学術的にも興味深く、そして女性の一生を色々な側面からサポートすることのできる素敵な仕事だなと思い、その道に進もうと決心しました。
Q:今は、産婦人科医を休職してMBA留学されていますが、MBA留学が選択肢に入ったきっかけは何ですか?
中安:学生時代に、同窓の先輩医師でMBA留学をされた恩師に出会ったことがきっかけです。医師として医療に関わる方法は、自分が医学部生として見えている世界だけではないんだということに気付かされ、以来MBA留学はずっと頭の片隅にありました。実際に産婦人科医として働き始め、医療の様々な課題がより鮮明に見えてくる中で長期的に自分がやりたいことを考えた時に、学生の頃から憧れていたMBA留学に挑戦し病院の外からも医療に関わってみたいという気持ちが大きくなっていきました。
Q:医者としてMBA留学をするのは、やはり王道の医者の道ではないですよね。実際にチャレンジングな道に進む決断ができたのはなぜですか?
中安:妹の「いつまでも『いつか留学したい』と言ってられないよ」という一言に背中を押されました。
今大学院2年目なのですが、留学したのは医者4年目、後期研修中の時でした。でも実は、医者としては決して切りの良いタイミングではなくて。医療の世界に関わっている方なら「変なタイミングで留学しているな」と思われるかもしれません(笑)。自分自身も、目の前で誰かの役に立っているというやりがいを感じるようになり、さらに医者としてのスキルアップもしていきたいと思っていたタイミングでした。
それでも留学に踏み切れたのは、妹の一言をきっかけに、「行かない後悔をいつかするのだったら、タイミングが正しくなかったとしても、行ってみたい」とMBA留学のチャレンジへの思いがどんどん強くなったからです。
■小野瀬若葉さん
「駐在員の妻になるしかないと本気で思っていた」
Q:総合商社に勤め、現在はアイルランドでご活躍中ですが、現在の道を歩まれるまでに、背中を押された経験はありますか。
小野瀬 若葉(以下、小野瀬):自分自身の母の言葉と、FacebookのCOOの シェリル・サンドバーグが書いた『LEAN INー女性、仕事、リーダーへの意欲ー』という本から大きく影響を受けました。
幼少期をインドネシアとアメリカで過ごしたことから、「将来も海外で生活したい」と漠然と考えていました。ただ大学時代は、女性として海外に行くためには「駐在員の妻になるしかない」と本気で思っていました。そんな時に、母から「自分の力で行けばいいじゃない」と言われたこと、そして『LEAN IN』を読んだことで考え方が大きく変わりました。
『LEAN IN』を読んで、自己実現をし続ける偉大な人にでも、弱みがあって、様々な困難を乗り越えながら、もがいてきた過去があると知り、「自分にもできるんじゃないか」と勇気づけられました。また、同書は、”What would you do if you weren’t afraid?(もし恐れるものがなかったら、何をしますか?)”という問いを読者に投げかけるのですか、私も自分自身に問うた時に、「自分の力で海外に行きたい」「世の中に価値を生み出し続けたい」という強い思いが自分の中に眠っていたことに気付いたのです。
Q:総合商社の道を進んだ決め手は何ですか?そして実際に働いてどうですか?
小野瀬:事業領域を絞らず、世界中にビジネスの種を見つける総合商社の仕事が面白いと思ったことや、そこで働いている人たちが、自分の仕事に誇りを持っていることに惹かれたことが決め手です。現在は、アイルランドの事業会社に出向し、航空機リース事業に従事しています。自分1人の裁量で大きなビジネスを動かすという大変さとやりがいを日々感じながら、ずっと憧れてきた、ヨーロッパで働くという夢を追いかけられているな、という実感を得ることができています。
■小仲美奈さん
「宇宙に携わるためなら、どんなことにも挑戦した」
Q:学生時代から今まで、一貫して宇宙業界に携わってこられていますが、いつ頃から宇宙を意識し始めたのですか?
小仲 美奈(以下、小仲):幼少期からずっと宇宙が大好きでした。本格的に意識し始めたきっかけは、10歳の時に、一般公募されていた月探査機「かぐや」の名前に、自分が応募したものが採用されたことです。その際に、JAXAから貰った記念バッジと証明書を実際に手にして、初めて「宇宙」という、現実味を帯びない壮大な夢が一歩現実に近付いたと実感したことを今でも覚えています。
Q:それからはどのような学生生活、そして遍歴を重ねてきたのですか?
小仲:宇宙に携わる上で必要だと思うものであれば、一見関係なさそうなことでもチャレンジしてきたと思います。世界中で宇宙開発に携わるためには、英語はもちろん、知見を広げなければいけないと思い、高校、大学時代はアメリカに、大学院時代にはオランダとドイツに留学しました。
また、東北大学では、エンジニアになるためにはチームワークが必要なので、「鳥人間コンテスト」(※自作の人力飛行機の滞空距離・滞空時間を競う競技会)に挑戦するチームに入り、40人で人力飛行機を作っていました。「週8日」と言われるくらいハードで、身を粉にして取り組んでいました。ただ、宇宙飛行士になるためには、嫌なことにも、気の合わない人にも立ち向かっていかなければならないので、自分の限界にチャレンジするような辛いことも、自分で納得しながら、結果的に楽しんでいました。
卒業後、JAXAで人工衛星のシステムエンジニアとして勤務した後、2021年10月に、念願叶ってパリ天文台で、新たなキャリアの一歩を踏み出しました。今の仕事では、今までになかった観測装置を新しく作るという、0→1で新たなものを生み出す仕事に携わることができて、とてもチャレンジングで楽しいです。
第2部:座談会
第2部では、事前に募集したゲストの方々への質問をもとに、①行動を起こせる原動力/やりたいことの見つけ方②親や周囲の人からの影響③各業界のWomen Empowermentの必要性の3つをテーマに設定し、ゲストの方々にお話を伺いました!
■行動を起こせる原動力/やりたいことの見つけ方
Q:なぜ、そんなに行動を起こせるのですか?そしてやりたいことはどのように見つかっていくのでしょうか?
小仲:「とりあえずやってみる!」が私のモットーでもあります。何から行動を始めたらいいかわからなくても、キーワードで検索して、出てきたものにとりあえず応募する。落ちたとしても、そこから得られるものは何かしらあるので、受かるまで応募し続ける。1つ受かれば、その経験から、また次にやりたいこと、新たな可能性が自然と広がっていくんです。大切なのは、「楽しむこと」そして「あまり気にしないこと」です。
小野瀬:好奇心旺盛に、目の前のことを楽しむこと」です。実は私は、つい最近まで、名前の付いた専門的な職業や、明確な夢がないことに悩んでいました。そんな時にコーチングを受ける機会があり、キャリア形成においては、①明確な目標から逆算する「逆算型(山登り型)」と、②目の前のことを積み上げていった結果、振り返れば道ができているという「積み上げ型(川下り型)」があることを知りました。それ以来、明確な夢がなくても、自分の興味をそそられることは必ずどこかにあって、「意志のある先に自然と流れ着くものだ」というマインドセットに変わり、「あれこれ心配せず、目の前のことを楽しんで良いんだ」と思うようにしています。
中安:医者という仕事は、若葉さん(小野瀬)が仰る「名前の付いた職業」に入ると思うのですが、その中でも選択肢や働き方はたくさんにあって、私自身も長期的に何がしたいかは模索中です。ただ、これまでやりたいことを見つけるために心がけてきたことは、お二人と同じように「とりあえずやってみる」こと。
「今の自分には難しいのでは…」と思うことにも、興味があれば、とりあえず全てに挑戦してきました。特に、周りがやっているのを見て羨ましくなるくらい強い気持ちがあることなら、挑戦してみるべきではないかと思っています。実際にやってみることで、今まで見えていなかった世界が広がり、さらに新しく何かやりたいことが見えてくることも多いです。
小仲:杏奈さん(中安)が仰った「羨ましい」からくる一種の「焦り」も、私の行動を起こす原動力のひとつかもしれません。海外で博士を取るという夢を、今回8年越しに叶えることができましたが、周りが、自分と同じ夢を叶え始めているのを横目に見て、「羨ましい」が「焦り」に変わり、自分で自分を崖から落とすような、大きな行動に移すことができましたのだと思います。
■親や周囲の人からの影響
Q:親や周囲からどんな影響を受けてきましたか?
中安:両親は、自分がやりたいことは何でも否定せずに応援してくれました。特に母から「やりたいことをしたいのであれば、やらなければならないことは責任もってやりなさい」と言われてきたことには影響を受けています。部活をしながらも受験勉強は全力でやる、大学院の受験準備をしながらも研修医としても手は抜かない、などあらゆることに妥協せずに取り組むための後押しになりました。
大学時代に、医学部に限らず、他学部の友人をたくさん作ったことも大きいです。自分とは違う分野で頑張る友人と話すことで、違う視点からの意見を取り入れることができて、自分の世界が広がってきたような気がします。
小野瀬:親からは「できるよ」と鼓舞され続けていましたが、私はすぐ自己否定してしまい、自己実現をしている人が大きく見えて、自分に自信がなかったんです。そんな時に、前述の『LEAN IN』を読んで、煌びやかな経歴を持つ著者のシェリル・サンドバーグですら、人間的な悩みがあって、失敗もたくさんしてきたことを知り、「もしかしたら自分にもできるかもしれない」と思えるようになりました。身近にいるロールモデルから、弱い一面を含めた様々な話を実際に聞くことも、効果的なのではないでしょうか。
小仲:私は、本から影響を受けました。偉人伝が大好きで、特にアメリア・イアハートや、マリ・キュリーのような、挑戦している女性の偉人伝をたくさん読んで勇気づけられていました。私の夢は、周囲の人になかなか理解してもらえなかったんです。「宇宙なんて、あなたには無理だよ」とずっと言われ続けてきました。それでも、宇宙への揺るぎない思いが、自分を掻き立たせてくれたので、あまり気にしていませんでした。どんなに否定され続けても、行動力と実績で証明することで、周りの態度もだんだん変わってくるんです。
■各業界のWomen Empowermentの必要性
Q:それぞれの業界における、Women Empowermentへの必要性や取り組みなどを教えてください。
小野瀬:総合商社では、古い文化はありつつも、変化は着実に起きています。社内でジェンダー間における無意識のバイアスや、インポスター症候群(※自己を過小評価してしまう傾向のことで、女性はその傾向が男性よりも強いと言われている。)に関するワークショップが開かれるなど、徐々に認知度が上がっていることは嬉しく思います。このような問題意識が浸透して、男女ともにempowerされる環境になっていったらいいなと願っています。
中安:医療業界は、ジェンダーギャップが非常に大きい業界です。
「女性だから、女医だから」という心無い言葉を何度も受けてきました。すぐに大きな変化を起こすことは難しいかもしれないですが、同世代の志を同じくする方々と協力して、医療界に少しずつ変化をもたらしていきたいと思っています。
小仲:宇宙業界も、かなりジェンダーギャップがあります。私がWomen Empowermentに関してやっている活動は、宇宙で活躍したい女性のエンパワーメントを目指す国連宇宙本部の取り組みである、「Space4Women」のメンターとして、ロシア、マレーシア、オーストラリアの女子学生にメンタリングすることです。女性が少ない分野では、「そこにいるだけ」で既にロールモデルに実はなっているのかもしれないですね。私は、「男化した女性」ではない視点で、宇宙業界に憧れを抱く若い女性たちのロールモデルになっていきたいです。
■最後に、イベント参加者に向けて、メッセージをお願いします!
小野瀬:今回のイベントのタイトルでもある、「私たちはなんだってできる!」は本当だと思っています。どうか自分を過小評価しないで、何だって挑戦していってください。挑戦して失うものなんてほとんどないのだから!
中安:大切にしていただきたいことが3つあります。1つ目は、やりたいこと・興味のあることにはとりあえず挑戦すること。2つ目は、人との繋がりを大事にして、自分と違う世界の人とも積極的に関わること。そして3つ目は、やりたいことは口に出すこと。自己暗示のためにも、人から助けてもらうためにも、口に出すことを恐れないで欲しいと思います。
私もこの3つを心掛けて、これからも頑張っていきます!
小仲:気になるものには、とりあえず応募して!キーワード検索でヒットすることに何個も応募して、1個でも受かれば、そこからどんどん派生して、必ず世界が広がっていきます!
尚、今回のイベントでは、ゲストの皆さまに1冊ずつおすすめの本を選んでいただき、当日参加していただいた方から3名に抽選でお送りするプレゼント企画を実施しました!3名にご紹介いただいた本は以下の通りです。ご興味のある方は是非読んでみてください!
・中安杏奈さんおすすめ本
ゴールドマン・サックス流 女性社員の育て方、教えます キャシー 松井 (著)
本について一言「女性プロフェッショナルとして、どういう姿勢で働けば良いのか、励みになります!」
・小野瀬若葉さんおすすめ本
LEAN IN シェリル・サンドバーグ (著), 川本 裕子 (その他), 村井 章子 (翻訳)
本について一言「人生観を大きく変えてくれるだけでなく、色々な研究に基づいたデータも織り込まれていて、あっと驚く発見もあるかも!」
・小仲美奈さんおすすめ本
人生は20代で決まる メグ・ジェイ (著), 小西 敦子 (翻訳)
本について一言おすすめ理由「いつでもできると後回しにしないで、でも焦らずあなたのペースで行動起こしていこう。と背中を押してくれる一冊です!」
今後もLean In Tokyoではイベントを開催予定ですので、ご興味あるテーマがございましたら、ぜひご参加ください!