チーム三浦由唯菜(札幌国際大)、Ladies Alberta Open 準優勝〜実力はジュニアの域を飛び越えた!?

チーム三浦由唯菜(札幌国際大)のスキップである三浦が北海道スポーツ賞を受賞したというニュースが入ってきた。この賞は一生に一度の受賞という決まりのようで、それがこの賞の勝ちを高めているのだろう。選考理由になった大会が2023年の世界ジュニアカーリング選手権だという。このチームが2024ー25シーズンの大目標にしている大会でもあるが、金メダルをラストロックで逃した、その忘れ物を獲りにいくことをあらためて感じたことになればいい。

三浦は受賞について、

「前回大会(2023年)の準優勝から、今回は優勝を目指したい」

あの悔しさを忘れてはいないようだ。そして、

「今回の受賞について、純粋にうれしいです。この賞に恥じないように、人間的にも成長していきたいと思います。今まで育ててくれた両親への恩返しになったかなと思います。」

と、殊勝なコメントも残している。一切浮かれた様子もなく、両親にも感謝を述べてさらなる成長を見据えている。11月のカナダ遠征は絶好の成長機会となるだろう。1月からはユニバーシティゲームズ、アジア大会、そして世界ジュニア選手権、と続けざまに目標の大会が開催されるが、そこを意識した文章も載っていた。

“各大会では、異なるメンバーとチームを組むため、チームの個性を引き出すためのコミュニケーションを意識して臨むとのこと。”

チームの個性を引き出す、とはメンバーの実力を最大限に発揮させることが大命題だろう。今回の遠征のメンバーは、世界ジュニア選手権のそれになる。札幌国際大学のチームメイトと密にコミュニケーションがとれるかが課題となる。第2次カナダ遠征の初戦は一般の大会で、チーム別ランキングは15位を筆頭に強敵揃いの中で、そのチーム力が試されることになった。

The Ladies Alberta Open 2024(November 8 - 11, 2024, Okotoks Curling Club, Okotoks, Alberta, Canada)

・Draw2
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)🔨
1012 0001 | 5
0100 1100 | 3
Kellie Stiksma(AB🇨🇦・140位)

・Draw4
Nicky Kaufman(AB🇨🇦・68位)🔨
0110 501x | 8
0001 020x | 3
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)

・Draw6
Suhyeon Kim(KOR🇰🇷・69位)
0012 000x | 3
1200 022x | 7
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)🔨

・Draw7
Vanessa McConnell(AB🇨🇦・224位)🔨
0020 0100 | 3
0101 1031  | 7
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)

・Draw QF
Michelle Hartwell(AB🇨🇦・93位)🔨
2020 0003 0 | 7
0101 2210 1 | 8
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)

・Draw SF
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)
0010 42xx | 7
0101 00xx | 2
Nicky Kaufman(AB🇨🇦・68位)🔨

・Draw CF
Kayla Skrlik(AB🇨🇦・15位)🔨
0101 0302 | 7
0020 1030 | 6
三浦由唯菜(JPN🇯🇵・95位)

決勝戦のリンク↓↓

トリプルノックアウトの大会で惜しくも準優勝だった。決勝は7エンドでビッグエンドをとって1点リードを奪ってチーム別ランキング15位のTeam Skrlikを追いつめた。このチームのランキングはカナダのチームとしては上から5番目、すぐ下には日本の北海道銀行、中部電力、フォルティウス、が続く順番となっている。日本選手権の常連と実力が変わらないチームと1点差の攻防を繰り広げたということは、実力はジュニアの域を飛び越えつつあるのかもしれない。

決勝戦は常に石がハウスに貯まる展開で、作戦の選択を迷う場面が多かった。Team Skrlikはランキング15位だけあってショットは正確で、相手に常にプレッシャーをかける展開に持ち込んでいた。チーム三浦が潰れて一方的なスコアになってもおかしくなかったが、フォース・三浦とサード・敦賀のショットで打開できるエンドもあり、またアイスリーディングもお互いに長けていたので、YouTubeで見ていても緊迫感があってタフなゲームだった。シニアとジュニアの格の差が感じられず、がっぷり四つの好ゲームだった。

今回の順番は、

池田ー佐久間ー敦賀(V)ー三浦(S)

だったが、最初のゲームだけは松永をサードに入れ、あとは上記のメンバーで戦っている。9月の遠征では一般の大会は松永、ジュニアの大会は敦賀、と大会の格付けで分けていた印象もあったが、今回は一般の大会でありながら敦賀を多く起用した。いよいよチームの序列が決まってきたのか?

三浦と敦賀はそれぞれジュニアチームのスキップとして競い合ったライバル関係で、三浦のチームが対戦成績をリードしていた。決勝戦のYouTube 中継の中で、この2人がどんな関係性。もってプレーしているのかは興味深かったが、大学2年のスキップと大学1年のバイススキップにしては、かなりの貫禄すら感じた。

敦賀の言葉数が多く、三浦のそばに寄ると常に話しかけ身体を動かしながら会話をリードしていた印象だが、それに対して三浦は落ちついて受け止めている様子だった。ただ、プレーに関しては、たとえば三浦が投擲を行うときはハックに行く前に、

「このラインは曲がらない」「ここは曲がるからね」

と情報をしっかり与え、投擲を終えたあとはバイススキップとしてハウスで指示を出す敦賀に情報を与えてスキップワークを助けている印象も持った。投げ手と指示役が正反対のコールをするとスイーパーが困るものだが、チーム三浦に限ってはその齟齬が起きる確率が低そうだ。

さらに、セカンド・佐久間がウエイトジャッジを正確に行いながらスキップワークを行う2人と連携がとれるので、ミスコミュニケーションが少ない印象を持つ。ただ、リード・池田に対して三浦が

「掃くの早いぞ」

とスイープの注意もしていたのはご愛嬌というべきか……。

このチームでは三浦が全てを掌握しながらもメンバーの個性を引き出してうまくまとめている感があり、スキップとしての三浦が行うチームの個性を高めるコミュニケーションはできているとみる。チームのランキングは20ランク上がって75位と上昇気配が感じられる。遠征第2戦も一般の大会に出るが、チームの熟成が増してきている現状ならばさらなる好成績も期待できそうだ。

(敬称略)。

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