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アプリで出会って、恋をして【3】
アプリを登録すると、共通の趣味や価値観の人と繋がりやすいようにコミュニティに入ることが出来る。
私とハレさんは多くの所で共通点があった。
二人とも音楽が好き。
言語の勉強が好き。
職種は違えど英語を使う環境で仕事をしている。などなど…。
けれど主に会うまでのやり取りでは、音楽の話で盛り上がった。
親の影響で好きなジャンルは80年代の洋曲。
同年代でこの趣味の人と、話すチャンスは今まで無かったし、逆にイマドキの流行に乗れなかったから周りとそのトピックで話せた事は無かった。
それはハレさんにとっても同じ事だったようで。
「この話題で盛り上がれたのって久しぶり…というか同世代では初めて。」
と、アプリのメッセージでハレさんは言った。
全くもって同感である。
共通の趣味を持つことがこんなにも大事な事なんだと、私は今更ながら知った。
この年まで今まで誰もいなかった訳では無いけど、振り返ってみると、実はそんな初歩的な所を通ったことは無かった気がする。
そう考えてみると、実は自然と同じクラス、同じ職場、同じ環境で出会う事って、何か根本的にお互いの輪郭を形どることは無いのかもしれないと思った。
何がスキ。キライ。
シンプルな問いかけがお互いを繋げて行くという点は私にとってとても新鮮だったのは事実。
その会話自体を私達は楽しんだのだ。
今でも二人で音楽アプリの共有アルバムにはお互いの好きな曲を入れ合っている。
殆どが親世代が聞いたら自分の青春を思い出す曲ばかりだろう。
二人の家のスピーカーから流れる懐かしいメロディは、世代を越えて今、私達の青春ソングとなっている。