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曲想詩集 ( no.1 )

アルバム
the Chieftains  

"The wide world over"



                アルバム No7
  ” Shenandoah ”

摩天楼の夜景 

シェナンドウ河のリバーサイドホテル

美しい背に そっと右手をかざし

君の 細く白い手を 私の掌にのせる 軽やかに

漆黒のドレスがこれまで似合うとは思わなかった

緩やかなリズム  ブルースに合わせて 

黒い革靴と赤いヒールが寄り添いながらゆるりと床を舞う

耳元に頬を寄せれば 
香しくも懐かしい馥郁とした匂い

今さらいうまでもない
言葉を語りかけたけれど…… 

瞳を見つめれば 茶がかった眼が心なしか 
光り輝いている

昔の曲だよ

なんと 快い曲だこと……  
言わせてもらえますか
亡くなった母を憶い出すわ

河は満々と水をたたえ
滔々と 
流れてやまぬ  

藤島武二より

  


                                                                                  アルバム no2 

" The foggy dew "

北風に吹きさらされた不毛の丘を岬へと歩む
人の生や死 愛や情について 
茫洋と想いをはりめぐらせながら

海鳥はリアス式の絶壁から
海原へと羽をひろげるーーー
悠々と 空を泳ぐ

足下に突き出た石灰色の岩に 
腰をおろし
潮の匂い さわやかだ  
頬をつんざく冷気  
鼻頭が痛む

黒雲は恐ろしく足早に  
頭上を背後へと流れて跳び行けば
海が光り輝きはじめる 
淡い紫 白い金

金の縞が目を痛める
深く目を閉ずれば 風笛の音
孤高なる風と不思議に交わりながら
時に大きく 時に囁きながら・・・・・
再び私は 断崖を歩み始める

魂の響き それは心の奥深く 勇気を与える
神の声  ヘラか 果たしてゼウスではないだろうか?

汝は何を私に望む気かね  
矢に打たれたいのか

あなたは何を私に授けて下さるおつもりか?
カリプソに会いたい

共鳴すれば いつのまにやら夕暮れ

大海の際に沈み込む陽は 
青々した空と巻き上がる雲とに 
金剛と高貴な赤紫を葡萄酒色の海原に残して
                      (2003.5記)

旧中川 水辺の景




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