リハビリテーション科 専門医試験
令和6年度の専門医試験が終わり無事合格したので忘備録として、また、これから試験を受ける方に参考になれば。
この記事の対象:リハビリテーション科後期研修1-3年目の先生方
出願等は学会の指示に従えば問題ないので、レポート、筆記試験、口頭試問、Tipsについて記載します。
基本的に課金無しでおおよその内容がカバー出来るように記載します。最後に投げ銭的な感じでTipsとして課金ゾーンを設けておくので、記事が参考になった方はご支援いただけると嬉しいです。
レポート
いわゆる30症例 + SEA
領域1:脳血管、領域2:運動器、領域3:脊損、領域4:神経筋疾患、領域5:切断、領域6:小児疾患、領域7:リウマチ、領域8:内部障害、領域9:その他。
領域3:脊損、領域5:切断、領域6:小児、領域7:リウマチについては1症例以上、それ以外の残りの5カテゴリーは3症例以上の記載が必要です。
記載内容に関しては、令和7年度の試験から点数化されるという噂もありますが、確定はしていませんね。
記載内容に関しては、まず自分なりのテンプレートを作ってしまいましょう。具体的には、記載の手引きを参考に。 学会誌The Japanese Journal of Rehabilitation MedicineのVol61, No.8に最新版の記載の手引きが収録されています。来年度以降の受験者は、そちらを参考にした方が良いでしょう。
https://www.jarm.or.jp/member/system/document/member_system_JJRM46-7-404-405.pdf
[診断名]、[現病歴]、[既往歴]、[社会的背景]一戸建てに居住、アプローチに段差4段、要介護3で訪問看護が週に…。トイレは。入院前のADLは入浴以外は自立。[現症・評価]身長、体重、意識、vital…。BRS4、SIASm、基本動作、歩行、握力(右/左):/kg。MMSE点(月日)。Kohs立方体テストIQ(月日)。TMTA秒、B秒(月日)。RSST:回、FT:…。[検査]頭部MRI、CT、 心電図…。[問題点]、[治療計画]、[経過・最終結果]、[考察]。
個人的にお勧めは、脳血管疾患で4例程度を一気に仕上げてしまえば、書き方のルーチンが作れて1本30分程度で作成できるようになると思います。あと、ICF の項目に従い記載をするは必須です。手引きを参照すると、参考文献も入れろとありますが、割と文字数的にカツカツなので余裕があれば入れる感じですかね。
研修病院が近くにあればいいんですが、そうじゃない先生は、1年目5本、2年目10本、3年目15本で書くとちょうど良いかな。領域3:脊損、領域5:切断、領域6:小児、領域7:リウマチはレポートに適した症例はすぐに書いてしまう。地味に神経筋疾患も施設で偏りがあると思うので、早めに症例の目星はつけておいてもいいかもしれないです。
筆記試験
150問を3時間で回答します。難易度としては、学生の頃の進級に関わる大きな科目(生理学や解剖学)のテストといった感じです。
やるべきはまず過去問題集。そして、直近の過去問3-5年分程度。問題集を解いて選択肢の深掘りをある程度しておくと、直近の過去問が急に解けるようになる印象。大体、100問程度は過去問と類似、もしくは関連した問題が出題されるので、しっかりそれを抑えること。一部(特に解剖生理)は1990年代の問題の改変もあり、余裕があれば遡っておいて損は無かったかなと。新作問題は難しく、令和6年度でいうと、「悪性関節リウマチのステロイド加療について」みたいな過去問にも記載が無く、実臨床でも回復期だとあまり扱わない疾患なので、難問に感じました。ただ、国家試験と同じ5択なので、選択肢をある程度削ると点数には繋がるのではないでしょうか。
上記の問題集は、試験会場でも参考に読んでいる先生が多かったです。解説がさっぱりしていますが、不足部分を自分で調べると丁度いいです。
こっちの問題集は、解剖生理の問題数が多く収録されており、私は解剖生理だけは解き直しました。
解剖生理に関しては、1990年代の試験は難問かつ良問が多く、純粋なリハ医の知識の獲得として上記はとても良い問題集でした。もし、医局や先輩が持っているようであれば、参考にしても良いかもしれませんね。
おそらく今後は、試験勉強はTipsに記載する内容が中心になっていくので、よりハイレベルな点数争いになりそうです。完全にゲームチェンジャーの登場で、国試のMedu4を思い出しましたね。
過去問は、令和4年度までは学会の専門医のページに回答とともに記載されています。令和5年度は、学会誌The Japanese Journal of Rehabilitation MedicineのVol61, No4に載ってます。(学会誌のオンライン化に伴うものでしょうが、気がついたのは試験直前でした)。PDFなのにOCRが上手くいかず、問題検索が結構厄介でした。
口頭試問
ABの2セッションで、各30分ずつの計1時間。前半15分はその場での症例を提示されての諮問、後半15分は自身が提出したレポートから。試験官は2名ずつ。学会の教育講演を拝聴したことのある先生が試験官で、その先生の得意分野には突っ込まないように回答しようと心がけました。
口頭試問の領域は受験票の配布の時に指定されます。令和6年度は領域1:脳血管障害と、領域2:運動器が指定されました。ここで指定された以外の領域の症例レポートが口頭試問されることになります。
A:右放線冠梗塞の男性
回復期の主治医として答えてください。
診察で必要な評価、昼夜リズムが逆転した際の対策方法、短下肢装具の作成を嫌って言われたらどうする、家屋評価で評価すべき点、介護保険サービスで何を調整しますか。
B:大腿骨頸部骨折の女性
回復期の主治医として答えてください。
診察で必要な評価、せん妄への対策方法、術部が腫脹を来たしているけど考えられる病態は、患者さんの家族に対して退院後の想像される生活を説明して、介護保険サービスで何を調整しますか。
前半15分に関しては、回復期で主治医を行なっていれば、日々の業務で対応、説明する内容なので問題ないかと思います。試験官もある程度誘導してくれるので、誘導に乗ること。あと、とにかく羅列する事が点数に繋がるので、思い浮かんだことは言ってしまった方が良いです。おそらく、間違っていても減点はなくて、基本的に加点方式の採点の印象でした。
症例レポートに関しては、レポートの部分部分を確認されます。どうしてこの検査したの、他に適応になる検査ある、本人にはどういうふうに説明した、他の評価方法知ってる。といった感じで、個々に返答していく形になります。例えば、義足の症例は足部の選択に関してしっかり根拠を持って説明できること。例になりますが、SACHで仮義足作って、本義足でエネ畜に上げたとしたら、1日の歩行量、歩く環境が平地中心で多軸足部までは不要と判断した。位は答えられた方が良いです。
SEAに関しては、AB両方の諮問で質問させるので、自身の感情の言語化は対策しておいて損はなかったです。
口頭試問全体は、かなり穏やかな雰囲気で、試験官も「リラックスして落ち着いて頑張りましょう」と、声をかけてくれます。答えに詰まっても、責め立てる感じはなく、どうにかこちらの答えを引き出そうとしてくれた印象です。
まとめ
上記内容になります。思い出し次第追記していこうかなと。来年以降の専門医試験を受ける受験者の方の参考になれば幸いです。
完全に愚痴なのですが、このNoteを作成しようとを思ったきっかけは、本年の合格者がWebに「義足の部分とかわかんなくて答えられなかったけど、合格した」といった内容の記事です。そんな適当な人間に専門医のValueを毀損されるのであれば、先に書いてやる。
Tipsには個人的に気になったこと、あまり堂々とは言えない内容を小出しに書いてます。この記事が参考になって、投げ銭でもするかと思えた先生は是非課金いただければ幸いです。
Tips
とにかく会場がエアコンが効いて寒くて仕方が無かったので、上着はあった方が良いです。
筆記試験の日は私服でも問題なし。面接は関東圏が午前、地方が午後に分かれている様。何故か私服で面接受験している方もいましたが、9割以上の人はフォーマルな格好でした。
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