初等教育ロイヤル
おとな小学生の初等教育ロイヤル(朗読劇バージョン)の千秋楽を観劇してきた。
初等教育ロイヤルは、勇者セイヤンとともに人気のある作品で、2016年に初演を迎えてから5回も再演されてきた。しかし、ある事情から再演がされない作品となっていたが、今回、朗読劇として復活をした。
私は朗読劇に少し苦手意識があり数回ほどしか行ったこと無いが、そんな私でも今回の作品を楽しむことができた。朗読劇と舞台が合体した様な演出がされており、後方ではアクトを担当する人がいて、前方では読み手がいるので、すんなり世界観に入り込め、私のように苦手意識ある人でも最後まで置いてけぼりにならずにとても観劇しやすかった。一方、朗読劇に慣れている方では、見る場所が多く忙しいと感じた。アクトの方を見てると、一瞬 読み手を見失うことがあった。(アクトにも、読み手にも名前が服に着いている)
今回の舞台も、とても気になる役者さんがたくさんいました。
まず初めに、この作品の脚本家であり、演出家であり、演者である加藤光大さんの才能が本当に素晴らしいと思った。光大さんが手掛ける作品は、殺陣があり、20代後半から30代前半に響くネタがあり、観劇者に問いかける描写がり、どの作品も同世代なら心に深く響くものある。
演技面もシリアスな役からコミカルな役まで広く演技を行い、出演するだけで舞台全体に安心感を与えてくれる。
終演後に、初等教育ロイヤルの台本にサインをもらった。その際に、少し話をさせて頂いたが、とても気さくな人だった。(ジャシリカの続きがまた見たいな~)
花塚廉太郎さんの演技もよかった。今回、花塚さんは読み手ではなくセリフ有りのアクトを行っていた。これまで何度も彼の演技を見てきたが、今回もやはり殺陣が非常に美しく、気迫のある演技がとても印象的だった。
これまでにさまざまな役者さんが演じる佐藤さんも見てきたが、坂倉花さんの佐藤さんは、弱々しい現実から目を背ける表現がうまく、最後に現実を受け入れて変わろうと一歩踏み出した姿がとても輝いて見えた。
橋本さんといえば、西本りみ さんイメージが強かったが、汐入あすか さんが演じる橋本さんもとてもよかった。西本りみ さんが演じる橋本さんは、6年生チームの面倒見がいいお姉ちゃんのような印象を抱かせてくれる演技でだったが、汐入あすか さんの橋本さんは、どちらかというと母性溢れる母親のような印象を抱かせる演技だった。
清水さんを演じた山﨑悠稀さんは、最近いろいろな舞台の配信で見る機会が多かったが、今回初めて生の演技を見ることができた。
今回、観劇するにあたり注目していた役者さん一人であった。大きい舞台で経験があるため、朗読劇にも関わらず、実際にその場で演技をしているかと錯覚をするぐらいインパクトがあった。次は、かっこいい役などを見てみたいと思った。
吉田さん役の三島京華さんは、初めて演技を見たが、とても高い印象を受けた。
アドリブが乱立している中で、三島さんは台本通りに正確に演技しており、役の性格とは裏腹に真面目な印象を受けた。一方で、三島さんの演技があまりにも憑依していたため、吉田さんの悪女感によって、一瞬嫌いになりかけてしまったが、一文字一文字に魂が込められており演技の熱量が伝わってきた。
石原美沙紀さんは様々な作品でずっと観てきました。
初等教育ロイヤルで、これまでに何度も石原美沙紀さんが演じる斎藤さんを見てきたが、観劇を重ねるごとに表現力が広がっているのを感じます。また、最近は他の劇団の舞台にも参加し、多くの経験を積んできたので、斎藤さんという一人の人間に厚みが生まれ、新たな一面を想像できるようになった。
そして、今回は最後に石原さんが登場する新たな展開になっており心が踊りました。
アクトを行っている9人のキャストさんも素晴らしかった。セリフが無く(たしか?)、読み手に合わせてアクトを行っていたにも関わらず、表現力が素晴らしく、何度も目を奪われてしまった。読み手の表現に合わせてアクトの仕方にしっかり違いがあり、それぞれが異なる役に見え、全く違和感がなかった。
2016年から何度も公演されている人気作品で何度も観劇してきましたが、どの公演回を見ても新鮮な気持ちになる不思議な作品です。配信もあるので、ぜひいろいろな人に見てほしいと思う。