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21卒、22卒、23卒が全滅した自社の採用の振り返り

なんともショッキングな書き出しになってしまったが、ようやくこの数年の採用の改善ポイントを言語化できたような気がする。

私は自己紹介でお伝えしているが、人と組織づくりのコンサルティング会社にコンサルタントとして15年勤めている。


実はここ数年の新卒採用があまり上手くいっておらず、求める人物像において、【事業コミットが強い人】という要素を付け加えた途端、その意に反して離職率や成長が鈍化した感覚が強くなってしまったのだ。

というかタイトルの通り、21卒〜23卒に採用した計9名の新卒がそれぞれ1年で全員辞めた。
ちなみに20名以下の組織なので、これはもうかなりヤバイことなのだ。

今回の件は離職要因にフォーカスするのではなく、
採用時に感じでいた違和感について語ろうと思う。

事の発端は中小企業のコンサルティングという仕事内容の打ち出しを強めた採用にシフトするということだった。

意図はうちの会社の社風や人の魅力を動機にする学生よりも、事業内容へのコミットが強い学生の方が、これからの会社の成長や現状の組織の成熟度からしても適しているのではないかということだった。

私も当時はなるほど!と納得していた。

ただこの期間この採用した子たちは先述した通りもれなく1年で辞めてしまった。
(もちろん受け入れ体制など課題は山盛りあった)

なぜこのような結末になったのか自分なりに採用を振り返ったところ、
そもそもの母集団を形成する学生のタイプが大きく変わったことが挙げられる。

まず学生たちのアピールポイントとして意思伝達力(自分の考えを相手に伝える力)や論理的表現力(筋道を立てて表現する力)といったスキルを発揮したいと思っている子が増えた。

上記のスキルは確かにコンサルタントとしては素晴らしい能力なのだが、
中小企業の組織コンサルタントが関わるのは、メインは40代〜60代の経営者たちであり、もっと言えば、新卒にとっては自分たちと同世代から親世代、下手すればじいちゃん世代までの幅広い年齢層に対応できる、【圧倒的な好感力】の方がMUSTだったのだ。

また少々乱暴な結論づけだが、先述した論理的表現力を強みと認識している子たちのパーソナリティにおいては慎重性が非常に高いということも共通していた。

これはコンサルタントという職種にもつイメージの解像度をあげられなかった反省だ。

コンサルタント=スバリ!を指摘するといったイメージが強く、自己評価においてそのイメージに当てはまりそうな強みを持ってはいたが、実際のその泥臭さを表現できていなかった。

また【人と組織】のコンサルタントにおいては、考え方のセオリーはあれど、【明確な解】はない。

なので、ロジカルさよりも感性だし、論じて説得する力よりも、ワクワクで牽引したり巻き込む力の方が、成果に繋がる。

なんなら営業とコンサルタントを分業していないので、営業ができないとコンサルタントとしてデビューすることも出来ない体制だった。
(これが最も離職に直結していた)

遅筋(持久力)と速筋(瞬発力)だとしたら、新卒に求めるのは速筋(瞬発力)で、年次を重ねる中でのスキルは経験という場数を踏んだ回数で後発的に身に着けていける。

それでいうと明らかに速筋が弱く遅筋に自信があるタイプが増えてしまった。

それだけではなく、【人と組織のコンサルティング】
という事業においても、経験のMUSTにおいて、
何かしら部活動やコミュニティにおいて役を持ち、チーム作りの葛藤をした経験がある。
としていた意図はリーダーの視点を持ち所属する組織に当事者として関わった経験からの強みや仕事観を掴むことだった。

これも社内の共通認識の中でいつの間にか意図を見失い、人と関わることやコミュニケーションにおいての悩みを抱えた経験がある、 にいつの間にか変わっていってしまった。
その結果、コミュニケーションに苦手意識を持ち、克服したいという動機を持つ子が増えた。

解像度が低いまま、コンサルティング事業の打ち出しを強化したことで、
実態の仕事内容に発揮する強みを持つ子が遠ざかり
・慎重性が高い
・ロジカル
 →極端に言い換えれば、頭でっかちで正解がないことにフットワーク軽く動けない。

そして必須経験の意図の認識の齟齬が生まれ、
・人と関わることが苦手だから克服したい
→本質的に根っこに暗さを感じるタイプが増えた

能力や人柄が悪いということではなく、求める人物像とリアルな仕事内容にミスマッチが生まれてしまった。

これは仕事内容の打ち出し強化という戦略が間違っていたわけではなく、戦術がよくなかったと思っている。(話が長くなるので今回は割愛する)

なんならシンプルだが求める人物像のアップデートその意図の共通認識が社内のキーマンで取れていなかった。

これは人と組織づくりのコンサルディング会社においては致命的だったし、この経験はこれからの組織運営における大きな教訓でもあり、リアルな失敗体験としてお客様に価値として還元すべきことでもある。

改めて求める人物像においては
①素養(性格、性質)→後天的に変容しづらい要素
②強み(能力、知識)→これまで積み重ねてきた自分にとっての自信の根拠
③考え方(経験を通じて得た物事に対する姿勢や価値観)→仕事観の土台となる考え方

①から③のMUST(必ず必要)とWANT(あったらいいな)を区別し、社内で共通認識をすり合わせること、そして何よりも組織の成熟度やビジョンによっても毎年見直すことが本当に大切だと心の底から実感した。

ちなみにこの経験から新卒採用そのものを見直し、組織として教訓で終わらず進化させていくために10年ぶりに新卒採用を2年見送った。

また見送った2年の影響は数年先に良くも悪くもでてしまうものがある。
そんなこともいつかこのnoteに書いていきたい。

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