君の自転車の後ろに乗ったし、あの頃の未来に僕らは立ってる
卒業ソング街に溢れる時期ですね。
ちなみに今日は20年近く前の夏のお話を書きますw
いや、このアカウント、あまりにも爽やかさと無縁の男女の絡みを、面白がって書き始めたもんだから、
何か1つぐらい「何もこじらせてない」頃の思い出も綴ってみようかと…。
遡ったら学生服まで遡らないとありませんでしたので、
我ながらキラッキラの、秘蔵の年代物を蔵出しします。需要はともかく。
本日は、私のエゲツない『30代女子会報告用エントリー』がお好みの方にはスミマセン。
大変爽やかな、ゼロ年代の女子高生のお話です。
よろしければコメントか引用エントリーで、『キラキラした青春の思い出』教えて下さい。自分だけのキラキラしたやつ。
幸せを撒き散らしてお互いにキュンとしてみるのはどうだろう、春の風にのって。花粉とともに。ふぇクシュっ
20世紀末、ゆずさんの「夏色」がリリースされ、爆発的ヒットしました。
FMからもTVでもしょっちゅう流れてくるこの曲を聞いたり、友達と大声で歌ったりしていました。
「ああ、高校生になったらこんな恋愛したいな~!彼氏とチャリ2人乗りで下校とかしたい~!」
とみんなで叫んでいたこの当時、私たちは中学生でした。
スクールカーストでいうとど真ん中ぐらいの、良くも悪くも目立たない、自分としては顔に自信は持っていない、普通の、フッツーのよいこ。
90年代のりぼんと月9育ちで、
高校生になったら、大人になったら、自分にだって素敵な恋愛の1つや2つ…って謎に夢見てました。
◆◆◆◆◆
時はちょっぴり流れて21世紀最初の年。
いざ高校生になると、別に大して変わらない自分に気付きます。
ふむ、いきなり恋愛できる自分にはならないな、と笑
そうして2年生になった夏、
お祭りの委員が一緒になった先輩を好きになりました。
きっかけはもうね、顔です。爽やか。カッコいい。
個人的には「ちょ待って、校内イチ※カッコ良くない?!(※全学年約1000名)」と思ってましたが、
女子の先輩曰く「うちのクラスのNo.3」とのことで、当時の流行りの顔って程ではなかったんですかね。
複雑なモテ要素ありますしね、学生時代って。
性格とか体育の成績とかクラス内の発言権とか部活とか。
最初は単なる「憧れの好き」ぐらいだったと思うんですが、
友達にも打ち明けてしまうと、より「恋だ」と爆走するモードに入ります。
許されたい。恋に恋するお年頃ですやん。
女子の先輩にも打ち明け(というか駄々洩れだったと思う…)、
周りの女の子たちは「えーどうなんのどうすんのキャー」みたいな状態になっていきました。もちろん私本人もです。
私は当時、恋愛方面にはさっぱり自信がありませんで、グイグイ行くのが怖かったのですが。
先輩は大変優しい方かつ、大人な態度でしたので、自然にいろいろ話せるようになりました。
まー、今にして思えば、どんなに可愛い女の子でも「自分に自信がある」子なんて殆どいなかったですよね。
みんな一緒だった。みんな自分自身のことで必死でした。
きっとみんな心底では自信過剰で、だからこそカッコ悪くなりたくなくて自信過少だった。
高校時代って何で1学年違うと超大人に感じたんでしょう。
特にこの先輩は、当時の先生とかから見ても「高校生にしては大人びた子」だっただろうなぁと今では思います。
ジャンルで言うなら、サブカル系…(?)でした。いや?うーん?
少なくともヤンチャ系じゃありませんでした。
一世一代の勇気を振り絞ってメールアドレスを聞けた時には、
さらっと聞いたつもりでしたが、告白するぐらいに勇気がいりました。
メアド聞いてきた後は、女子同士キャアキャア盛り上がりました。
お祭りが終わって、みんなで打ち上げに行った日。
渋る親を拝み倒し、同席する同級生はお互いに名前を出して安全性を主張し、夜の外出許可を得ました(健全)。
学生御用達の食べ放題焼肉で、先輩も後輩も大集合して、ウーロン茶やコーラで乾杯です(健全)。
そうです、酒もタバコも夜遊びもない、健全なよいこの優等生たちだったからこそ、遊びでの夜の外出は「ちょっぴり特別」でした。
思えばそういう「滅多にない特別感」が大胆(?)にさせてくれたのかもしれません。
解散前に、みんなでプリクラ撮りに行こう!と先輩たちが提案しました。
未成年だけで夜にゲーセンなんて、あれは何時ぐらいだったのでしょう。
今じゃお店側にも時間制限がありますが…。
焼肉屋からゲームセンターまでの道のりは、
自転車通学組にはあっという間ですが、電車組は徒歩移動しかなく、歩くには遠い、中途半端な距離でした。
「誰か乗る人~!」
自転車の2人乗りに関する規制は、当時まだ厳しくはありませんでした。
ヒットソングの歌詞に盛り込まれる程度に、まだユルユルの時期でした。
先輩たちが「チャリ組~、電車組乗せてやれー。」「私空いてんでー」とやっていました。
私の好きな先輩は自転車。私は徒歩です。
幸い、先輩たちには自転車組が多い。
女子の先輩たちに遠慮しなくてもよさそうなのを見て、私は即決で覚悟を決めました。
「断られたらこっぱずかしい」よりも
「こんなチャンス2度と来ない!」が勝った。
私は、先輩がまだ後ろに人を乗せていないことを確かめ、駆け寄りました。
先輩の自転車の前かごにポンっと荷物を乗せながら、
「乗せてくーださいっ」
よー言うたな!マジで!
想像してください。
クラスにいた、スクールカーストの真ん中もど真ん中、
ちょっと名前も覚えてるかどうか…みたいなあの子。
暗くはないがおとなしい、普段男子とはあんまり喋らない、あの子。
が、先輩に、彼氏ではないイケメンの先輩に、チャリの2ケツを申請する場面を。想像、して下さい。
男性陣、逆でも良いです。
自分が憧れているマドンナ級上位No.3の女子の先輩に、「後ろ乗りますか」って聞くところ、想像して下さい。
なお、「そんなんフツー」とか言えるモテ上位者は今お呼びではありません。
すげえ勇気振り絞っとるやん?!
我ながらよく言った。マジで。少なくとも、学校帰りじゃ絶対言えない。
先輩は「ええよー」だか何だかアッサリ言ってくれて、
私は「わーい」だか何だか、できる限りアッサリを装って、後ろにまたがりました。
先輩が「待っててもしゃーない、もう行っとこか」と出発した時、
後ろから聞こえてきた、女子たちの「えっ」「きゃーー」の声。
若干の優越感。
いや、そんなことより、先輩!!みんなで一緒にじゃないの?2人で行っちゃうの?!
先輩の背中が!目の前に!!憧れの先輩と2人乗り!!きゃー!ぎゃー!ぎゃーーー!もう!一生ゲーセン到着せんでいい!
ファミレスからゲーセンまでの道すがら、郊外ならではの大きなショッピングモールの横を通り抜けていきます。
そのショッピングモールの映画館のポスターの1つ、
先輩が某有名ヒット映画の話題で話しかけてきました。
「あれ、もう見た?」
「まだです。先輩、もう見はりました?」
「いや、まだ見てないねん」
「先輩、明日の振り替え休日、何か予定あります?」
「いや?」
「一緒に見に行きませんか?」
「ええよ、何時にしよ?」
よーぉーお言うたな!!マジで!!
(2回目)
きっとこの時、世界最強に何でもできる気分だったに違いない。
ちなみに私、その時点でその映画、既にお母さんと見てましたw
この圧倒的青春を前に、このぐらいの嘘は許されたい。
ショッピングモール前のスタート地点なんてこうですよ。
「下持つん怖いから、肩つかまってていーですか?」
「ええよ、あそこ道ガターンてなるトコ平気?」
「え、わからへん…」
「よっしゃ、回り道しよか」
きゃーっ!きゃあーーーっ!(ジタバタジタバタ)
たった5分ほどの自転車の2人乗りですが、
2人きりでゲームセンターに向かう暗い夜道。
彼氏彼女ではなかったけれど、
長い長い下り坂でもなかったけど、
大好きな先輩の自転車の後ろに乗って、
夏のぬるい夜風を浴びて走ったあの一瞬は、
間違いなく中学生の私が憧れた「夏色」の世界でした。
なお、この映画デートのあと、告白してフラれました笑
が、マジで大人な先輩でして、
この日のプリクラの2ショットが残ってますし、
この後もメールの相手はしてくれました。
そして、徐々にどちらからともなく、フェードアウトしていきました。
今思えば、「大胆」の範囲のなんてちょびっとで可愛らしいこと…(遠い目)。
◆◆◆
この話の「思い出として」良いところは、
付き合って → 何かあって(または何も無さすぎて) → 別れる、
という若い頃特有のあるあるを犯していないところ。
だからこそ「二人乗り」の距離がクライマックス。
マジで粉飾なしにキラッキラで、眩しく輝く、青春の思い出として胸の奥底に今も飾ることができています。
飾ったままにしておきたいので、
もはやこの御仁には会いたくありません笑
書けば書く程、細部が思い出されてきて久しぶりにキュン…とできました。
2人乗りの相手を探しているシーンの描写で、
抜かりなく人の恋愛もアシストした、という事まで思い出しました。笑。
いやホント、書いててよみがえる、記憶の先輩マジで優しかったこと…。
思い出ですから美化されてると思いきや、
美化どころか何度思い出しても私の想像力を超えます。
私の方は、こうやって文字起こししてみると、
「自信がない」て言ってる齢の頃から、自分でグイグイ行ってますね笑。
誰かに何とかしてもらおうっていう頭ないですねこの子。
自信はなかったですよ、本当に自信なかったし、
故に相手に配慮する余裕ってモンもなかったです笑。
よく嫌な顔をせずに(?)最後まで相手してくれたな~この先輩…
と、本当に思ってる。
何かホント、絶食系男子28歳が相手して下さってたんじゃないかなって…思うぐらい…。いやホント。
この人を好きだった時に「グイグイ行ってもめっちゃくちゃ恥ずかしい思いするのは一瞬なんだ」と思えるようになったかもしれません。
その後すくすくと肉食に成長した私の、女子高生時代の可愛い思い出です。
…20年前かと思うと、眩しすぎて立ち眩みが激しいですw
卒業生のみなさん、大変な1年でしたね。お疲れ様でした。
ご卒業、おめでとうございます。
このお話は高校のお祭りの後の話なので、
高校生の皆さんは「テメェこのクソババア、お前の学生時代にコロナ禍はなかったろう」と思うかもしれません。
文化祭、体育祭、修学旅行、課外授業、部活動の大きな大会、競技会、発表会…いろいろなイベントが自粛の名のもとに制限されてしまって、
寂しかったり悔しかったと感じる人も多かったでしょう。
それに比べりゃ1つの行事なのですが、
ここで描いた2001年は9月11日にアメリカで大規模テロが発生した年で、
当時高2の私は、修学旅行が「直前で中止」になりました。
(親が学校に積み立てくれてきた修学旅行費が、何割かキャンセル料に消えたぐらい「直前」でした。)
みんな何やかんやあります。
「だから我慢しろ」っていうことでもありません。
人の痛みに少し共感できる大人になれると、良いなぁと思います。
学生の皆さんだけじゃなくて、私たち全員がそうなれると良いのですが。
平凡な人生と思う中にも、
一瞬ぐらいはドラマのように、J-POPのように美しい時が訪れます。
既にあった人は、心にそっとしまっておいて下さい。
まだの人は、訪れた時に、それを美しい瞬間だと分かる感性でいて下さい。
大人になるにつれ、その思い出は自分をちょっと和ませたり、支えたりしてくれると思います。明るい未来を、お祈りいたします。
ってなところで、
卒業生のみなさん以外にも明るい未来を祈念いたしまして、解散!