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一刻も早く『相対指標』から逃れたい。飽和時代のモンスターガール【東京女子図鑑】

あまりの面白さに夢中で主人公と戯れてしまい、
うっかり三部作にしてしまいました。

東京女子図鑑の感想と考察、最終回です。

初回は
・このドラマへの興味と経緯
・1997~2017という時代背景
・広告が描く価値観に物欲どころか人生踊らされてる主人公イラつく★

前回は
・そもそも「東京への憧れ」に共感する人?しない人?
・20代編はきっと都会の社会人の多くが体験する単なる黒歴史
・主人公の30代前半の認知の歪みに震撼
・主人公じゃなく私が真っ黒

を、書きました。

早い話が『そのRPGを降りなはれ』

ここから先、綾が私の年齢を超えていくので、
あまり息巻いても現実、あるあるなのかどうか?や、
その苦しみ、ウエメセでバカにできるか?が分かりません。
(こら、人をバカにするんじゃないよ)

ここまでのお話で特に恐怖感の高かった
"金持ちと不倫して一流の店や遊びを教わる"を経て、
覚えた一流を使ってどこに行くのかと思えば婚活。

婚活がダメなんではない。断じてない。
そーじゃなくて、「つるんでた仲間が子持ちになってたから焦って婚活」が、もう、視聴者の多くが膝カックンな気持ちになったと思います。

本当に、「イベントを発生させ」て、「アイテムを集め」て「パーティーが増え」るとレベルアップと思ってる感じマジRPG。

アドベンチャーっぽく楽しめてるうちは全然いいんですけど、
義務感でてきたら即おりる。すべてが人のシナリオだから。

結婚に舵を切る7話の"条件"がシュール

婚活を「自然な出会い」に頼らず『課金』にしてるとこはキャリア女子らしく時短で現代的。
おお、夢見がちな綾にしては落ち着いている!

と、思ったら、結婚相談所の担当さんとの有名なバトルでやっぱり爆笑させてくれます。

あ、有名っていうのは『30代女子にハードル下げろと言い切る結婚相談所の価値観が昭和で震える』というアレです。

30代・年収1000万・身長175cm

「これしか要求してない」「私は選ばれる側の人間」と思ってるの進研ゼミでみたやつ!

まさに2007年、平成19年って感じです。そう言えば2007年てリーマンショックの1年前だっけ? 当時はアリだったの?

スペックにこだわって飛散

つかそんなことよか『まだスペックにこだわるの?!』
昭和の3高みたいなこと言ってて『バブルか!』って突っ込んだわ。
(※バブルは平成です)

でも、結婚相談所で嫌な思いさせられてまで結婚したくねぇよ。…と婚活おりないところはガッツあるなと思う。

綾は「自分としてはたぶん"妥協"」し、
でも”友達に羨ましがられそう”なスペックの夫と結婚し、
豊洲のタワマンに引っ越しました、「悪くないでしょ」と言いながら。
…と思ったら随所でモラハラ発言してくる『家事は女の仕事』男。
で、あっさり離婚します。

さもありなん。
 だって結婚の条件に「結婚生活」は入ってなかった、「3高かよw」だったもん。

未だに「男からの扱われ方」のランクが下がりっぱなしなのです。
10年前の彼氏は家事やってくれてたよなぁ、あーイライラする笑

お待たせしました、私が打ちのめされる番です。

「あなたの番です」みたい…急にまたサイコホラー感w

綾は離婚後、
同世代女子が集まるお花のサークルで男を紹介されます。
そのお花のサークル、さらりとした代々木上原感を出していますが、
綾以外の女性は港区繋がり。全員お嬢様。

私も綾も打ちのめされたのが、
「綾さんに紹介したい人がいるのよ!」という話の顛末

綾は結婚はもういいかな、って言っているのに、その友達はさらりと男性を紹介してきます。
私は「ん?なんか女同士ちょっぴりメンドクサイ的な展開?」ぐらいに思って観ていました。

違うんです。

これ、分かった人はもうこの紹介の時点で分かってたと思うんですが、
『お友達(愛人)候補としていかが?』と、めちゃくちゃナチュラルに紹介されてることが判明!
(たぶん上からじゃない、それか天然ウエカラ)

本物の名家のご子息・ご令嬢同士の結婚って、
未だに政略結婚ぎみというか、お家柄を非常に気にしていて、
目に見えないお作法わかってる同士じゃないと色々勉強するのも教えるのも面倒…というのはなんか、聞いたことあるし何となく知ってました。

なので、仮面夫婦的に当たり前のように子猫と燕がいる、みたいなのも「…?うーん?致し方ないのかな??違和感しかないけど100%他人事だし」
と思ってました。

で!も!な!
男の人に愛人にしてやるよって言われるのの100倍の衝撃、
女が女を「お友達(愛人)にどうか」という世界。

なによりも打ちのめされたのは、イジメの気配とかじゃないんです。
あのお嬢様たち、純度100%の爽やかな笑顔
「紹介したい人がいるの」「○○さん?うん、私もいいと思うよ」
って言ってデートに行かせてる。

例えば、
そのサークル内で虐められてるっぽいポジションで、
でも「私、どうしてもこの港区コミュニティを手放せない」とかって、逃げ出せずに執着してるんなら、まあそういう扱われ方されても、分からんではないです。

そうじゃない。
「暗黙の了解」っていうイジメの世界じゃなくて「自然の摂理」ぐらいの勢い。
庶民なんだから、当然結婚できるなんて思ってないよね?あなたお金持ちと遊びたいでしょ?ってこと?
女が女を愛人に差し出す世界線ってどんな地平なの?

たぶん、「それおかしいだろ!怖すぎるわ!」ってことじゃなくて、
あるんだよね?この世界は…日本のどこかに…っていうか東京に。
と思わされてしまう虚無感。

そりゃ下々の者(私)たちが仕事を持って出産育児なんて望みにくい政治も出来上がりますわな。
(そういえば、8話ぐらいでそういう「子供を産まない組」の会話も出てきます、あれもつい納得しそうになるので本当にツライ)

知らんかった、こんな世界は知らんかった…怖いわ、すさまじい。
このドラマのすべてを通して初めて、私は綾以外のものにボーゼンとしました。まじで打ちのめされた。東京怖い。


私が必死で手に入れてきたもの…ってなに?

私には男や友達を使って上昇しようという思考筋肉がないので(上昇??)、
友達といて階級を実感するなんてことは基本的に経験せずに来ました。
障らぬ神にたたりなし、港区界隈には絶対ムリして近づかんとこうと思いました。(上京したての頃に1回連れてかれたけど、身が持たんと思った)

この感想と考察の冒頭で、「2話までしか観られない」と言った友人の言葉が、ドラマから飛び出して私に追い打ちをかけてきました。

曰く、
「生まれながらの東京育ちには一生かなわない」
「必死で手に入れてきたものが、生まれながら持ってますって言われたらもう、なんだこれってなる」

ぅええ?!だいぶ身近にいたな?!RPG参戦組?!

私は恐れおののき、え、なんて声かけよう?と考えました。

その子、実家はそれなりに大きいですし、お嬢さんです。
彼女が手に入れてきたキャリアとか、どう見ても今後も役に立ちそうなキャリアです。おしゃれで可愛くて収入もたぶん日本の20代平均より高く、モテる子です。

「必死で手に入れてきたもの」で「生まれながら持ってるって言われたもの」って何だったんだろう…?
そもそも…敵わないって…何と戦ってるの?RPGだから敵とかボスとかエンカウントするのかな・・・ラスボス?
とてもじゃないけどメッセージアプリでは聞けなかったので、会ったときに直接、澄んだ目で問いかけたいと思います。

マジか!再度打ちのめされた最終回

綾は、最後の最後まで私たちをハラハラさせる追い討ちをかけてきます。

欲しいものは次々増えていく。と。

マジでか!失ってきたものを数えて寝ろ!

この一言は事前に予習してから見ているにも関わらず、やっぱり衝撃的だしモヤモヤさせてくれます。

ただ、このドラマの最後の最後に綾が選んでいる男性は、
昔から、綾のどうしようもない自慢だか相談だかを聞きながら、苦言を呈してくれていた元職場の先輩。
20代の頃から、女子会にすっと馴染んでいた、友達みたいな先輩男性です。 

何となくホッとするチョイスです。
…と、言うしかない事件でいま全ワタシ震撼しています。
つまり、綾は友達婚みたいなパートナーを選んだってことですね?

初めましての方へ解説です。
私、15年来の友人だった年上男性となんだかんだあり、その人と友達婚しようと目論んでいる者です。

ドラマの最後の最後で、綾が、今の私とほぼ同じ選択を突き付けてきたのです。震えるしかない!!
だって、…だって!(震えている)
1~10までずっと気の毒な子として見下してきた真っ黒な深淵が、覗き込んでくるどころの騒ぎではありません。
真っ赤な口を開けて食いついてきた。最後の最後に、まさかの私?!

マジかよ!!www

これが昨日から真っ黒な感想と考察を露呈してきたオチです。
本当に「マジかよ」(語彙)
これが本当のサイコホラーです。うわーうわーマジかー。
(本当にちょっと1時間ぐらい落ち込みました)

もう一度言う、RPGを降りよう。『一刻も早く相対指標を逃れたい』

震えがおさまってきました。
そうだわ、私、綾とは種類違うけど妖怪女だったw
自覚あったわ。何をいまさらw(ご興味ある方はマガジンへどうぞ御辞儀)

さっきの友達の「生まれながらの東京の子にはかなわない」の発言じゃありませんが、いったい何と戦っているのか、敵わなかったら何を失うのか、
このドラマを見て「チリっ」と何かがひっかかった私たちは、少し立ち止まって見つめてみろ、というドラマなのかなと思いました。

私にだってあります、営業の同期が大量の新規件数を上げてきた時、
年下の子が上司として着任してきた時、主に仕事面での競争では激しい焦燥感に駆られながら走り続けてきました。

でもなぁ、人生にそれ持ち込んだら早々に詰む、てか死ぬ。
よくやってるわ、やってる人。
自分指標、絶対指標を持って、捨てると拾うがハッキリしてないといつか絶対に爆発すると思う。

上昇志向はいい事なんですが、
誰のための上昇なのかがハッキリしていないと、やっぱり右往左往しますよね。
だって綾、「人から羨ましがられる人になりたい」夢、最終回の時たぶん覚えてなかったですよねw

だいたい、東京だって世界の最新じゃないものいっぱいあるやん、
東京の上流階級ですら、世界のブルーブラッド勢からみたら田舎貴族やん?!
たぶん本人たちそれ分かってるぞ?だから大きな顔せん人が多いんやぞ。
キリなんてないないない。

って思っていたので、
30代半ばでうっかり東京本社辞令を受けてしまった私は、
今でも7万円台の家賃で、三茶よりも郊外に住んでいます。
家賃高いよ東京!同じぐらいの条件で名古屋の家賃2/3ぞ?!

※ブルーブラッド=日焼けしない貴族階級のため、血管が青く透けて見えることからこう呼ばれる。世界の超上流階級。石油王とかではなく、文明を作ってきたヨーロッパの王族やその末裔たちのこと。数多くの事業を手掛け、莫大な権利収入(不労所得)を持ち、政・経の両界に顔がきく(っていう認識ですが、私調べなので、詳しくはググってください)

それに、物質的なもの以外は、東京じゃなくても得られる時代になってくるし、物質的な満足度よりも、価値の高いものが現れ始めていると思う。

だって、今やってる仕事、例の感染症の流行以後、「実家からできるな」って気付いた方多くないですか?
このバカ高い家賃って、一部はオフィスに通いやすいために支払ってますよね。いや、もちろんもう実家に帰ろうとは思わないけど。
もう少し交通の便が悪くても良い、もう少しキッチンが広くて住み心地がよくて、自宅内に仕事部屋つくれるトコに引っ越そうかなあ。って価値観が変わってきてますよね。

東京に住むことに対する憧れや羨望は、きっとここから30年ぐらいかけてまた変わる。新たな200年の幕開けと言われる年なのですから。

そして私は、今の男と恵比寿ガーデンプレイスを散歩しながら、
ドラマの中で"奥座敷"と呼ばれていたロブション(綾にとっての物質的な憧れ)を横目に
『これなんだろうね』『入れるのかな?』『なんか洋館?』『会員制のサロンとか?』『電気ついてる?潰れてない?』と会話した田舎カップルです。

関西の中流お嬢を気取ってますが、東京から見れば全て田舎者です。
全然ヨユーで東京で生きてられます、ロブション知らなくてもw (←それはロブションに失礼)

この話を、さっきのリアルRPG組の友達にしてみようかな。
それで退く子だったら縁が切れていくだろうし、そっかーそれでもいいのかーのべさん幸せそうだし、と思ってくれれば嬉しいです。

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