【セフレとの婚活 完結編】《9/30~10/1:A面》混乱の坩堝・メンヘラモードの迷宮①
ちょっと待って、そんなことってある?
オジサンが動揺してる。
プロポーズの回答期日9月30日 25時。
「うやむやは絶対イヤです!連絡をください!」
そうLINEを入れて、通常の電話10回。
LINE電話9回目でやっと文章で反応してきた彼の、
叩きつけるような断り文句に私は絶句しました。
私「そこ⁈いまさら⁈重要箇所が急すぎる!」
B「今さらもクソもこれからずっとだろ」
私「ビックリしすぎて頭が回んない」
B「俺もだよ、まさかなあ…」
オジサンが…動揺してる…どうりであの後、期日過ぎても何も連絡してこないわけだ…。傷つけたんだ私、この人のこと。
どうしよう、でも、だって、どうしようもない。
嘘をつけば良かったんだろうか、でも、どこでどう発覚するか分からないこと、どうすればよかったんだろうか。
比喩じゃなく震える指先で「そうじゃなかったら結婚してたってこと?」と苦労して送ると、「そうなるな」と一言返ってきました。
本当に血の気が引きました。
時を遡ること13年前。
私が仲が良かったのは、彼ではなく、彼のご兄弟でした。
ご兄弟なので便宜上『B´』さんとします。
B´さんと私は、わりと無邪気にセックスをしたことがありました。
遠方からみんなが集まり泊まる家だったB´さんの家に、私も泊まることがあったので、何らかのきっかけでそうなりました(もうきっかけ忘れた…)。
同性のごきょうだいがおいでの皆様、大変申し訳ございません。
もう「うーわー」となっておいでかもしれませんね、エゲツない話でスミマセン。ちなみに私には弟しかおりません。
申し訳ないが、そんなこと、日常ではほぼ忘れて過ごしています。
いや、申し訳なくもないぐらい。
B´さんの方も、大した思い出ではないと思います。
波風がまるで無かったので。
そんなこともあったね、ぐらいじゃないかなー。
そこから5年ほど経って、B´さんは溺愛する彼女ができ、結婚しました。
みんなでそれはもう盛大に祝福しました。
そして、そこからさらに5年ほど経って、
今度はBさんの方が私に連絡をくれるようになりました。
頻繁にやりとりを重ねてさらに2年が経過したころ、
私とBさんが同時期に首都圏に引っ越す偶然が重なりました。
予定調和のようにセフレになり、デートを重ね、私が結婚の話を持ち出しました。
それで今に至ります。時計は冒頭の話の前、9/30のお昼まで進めましょう。
9月30日お昼ごろ。
BさんからLINEが届いていました。
『将来どこに住みたい?専業になりたいとかある?』
その3日前に断られる覚悟をしていた私は、息が止まりかけました。
真剣に考える気あったんだ!当日だけど。めっちゃ今さらだけど。
嘘、びっくり、嬉しいんですけど。
この時「…私、一生自力の収入が欲しい話、結構してたと思うけど」という違和感を、私はスルーしました。
『住むとこはあんまり深く考えてない。何があっても動きやすいように。海外含めて。』
『専業主婦は絶対に嫌。ただ、乳児保育が見つからない期間があったらどうにもならない可能性があるってのは一緒に乗り越えてね?』
比較的早めに次の返事が届きます。
『俺もどこでもいい。働きたいなら働いててほしいかな。B´とはエッチしてる?』
さらりと投げ込まれた爆弾のような問いかけに、今度は本気で息を止めました。
え?
何これ。どういう意味?なんで現在進行形?
倫理的にも物理的(距離)にも、現在進行形なわけなくない?
なんで今聞くの?
それ重要なの?
答えたくない、答えなきゃいけない?
B´さん、兄弟に女性履歴をバラされるのって何かしらのハラスメントじゃない?
ていうか知りたいそれ?むしろ知りたくなくない?
でもこの兄弟めちゃくちゃ仲いいしな。
何かの拍子で知ってるのかしら。
だとしたら、私が大事な局面で嘘をつくか正直に話すかの問いなの?
パニックになりながら、私は数分で覚悟を決めました。
嘘をついて後悔するよりは、正直に言った方がマシ。
意を決し、そしてB´さんの尊厳を最大限尊重しながら、
私は『そういう事実はある』旨、『そんな昔の話出されて驚くし、あなたがたに気を遣うので困る。』などを返信しました。
そしてここから連絡が途絶えました。
今思えば、彼はこの時点で血の気が引く思いをしていたのでしょう。
本当にヤキモキして、
「何で1か月後まで引っ張って、まだ期日過ぎようとしてるんだろう?」とイライラして、
待たされる私の気持ちとか1㎜も考えてくれないんだろうか?とイライラして、
友人たちには『まだ結婚決まってないのにマリッジブルー始まりそうな気持ち笑』と連絡していました。
昼間の”詳細な質問”から、
おそらくワクワクして待ってくれていた友達が、
1人、また1人と「ゴメン明日早いから寝ちゃうけど、吉報祈ってる!」と言いながら離脱していきます。
そして、25時過ぎ、冒頭です。
何回も何回もコール音を聞き、「相手が応答しません」というメッセージを確認し、
一度ブツッと切られたのをきっかけに「あ、今スマホの前にいるんだな」と私は沈黙しました。
そして叩きつけるように送られてきたメッセージがコチラ。
「〇〇(B´本名)とやった女と結婚は考えられません」
私は悲鳴を上げました。
これが悲鳴!っていう音を自分が出すのを聞きました。
この文章の冷たさ。今までにあった文章の丸みや思いやりがごっそり消えた、叩きつけるようなLINE。
3日前の諦め→昼のテンション再アップ→午後から夜にかけての不安が大爆発して一気に混乱。
取り返しのつかないことになっている、という絶望だけが押し寄せてきます。
その後(冒頭のやり取りで)「俺もだよ(頭が回らない)、まさかなあ」という文章を読んで、
彼が怒っているんじゃなくて、動揺して、傷ついているんだということを私は悟りました。
B「〇〇(B´本名)とやった女と結婚は考えられません」
私「そこ⁈いまさら⁈重要箇所が急すぎる!」
B「今さらもクソもこれからずっとだろ」
私「ビックリしすぎて頭が回んない」
B「俺もだよ、まさかなあ…」
私「嘘つきとおせばよかったの…どっかでバレる羽目になるならちゃんと言って後悔する方がマシだって思ったんだよ」
B「〇〇(私の元カレ)や〇〇(元セフレ)ならまだいいけど兄弟は無理よ」
やめて!そんな全然関係ない名前、今出すことないじゃん…。
私「1年間ヤッといてそこが地雷だとは思えんかった…私には同性のきょうだいいないから想像できない」
私「薄々勘づいてたけど、ヤるだけなら流せることだったの?そういう意味で今さら?って驚いたんだけど」
B「〇〇(B´)とはしてないと思ってた」
私「でも質問しようと思ったのは何で?」
B「結婚するにあたって重要だった。一番重要だから聞かないでおこうかと思ったけど、モヤモヤしたままじゃ無理だった」
私「じゃあ、13年前の私がB’さんと何もなかったら結婚してたってこと?」
B「そうなるね」
溜め息しか出ません。
そして、あれだけ頑張ってきた結婚への道のり、
たったこれだけ(これだけとか言ったらBさん大炎上だろうけど)のことで、
自分で閉ざしてしまったことに本当に絶望しました。
私「そうなんだ…。重要なのは頭ではわかったけど納得いかない…。ごめん、嫌な思いさせてるんだろうからごめんなんだけど、13年も前のことでって私は今まだ思ってる」
つい縋るような言葉になった私にBさんは再度怒ります。
B「年数じゃねえよ。同性の姉妹兄弟がいるやつに聞いてみろ」
たいていの事は気にしないBさんがこれだけ怒っていること、
怒るほど傷ついていること、
強いと思っていた「私のオジサン」を私自信で傷つけたことに、
私はおおいに狼狽えました。
傷つけてゴメンということ、
意味を分かろうとしなくてごめん、
嫌な思いをさせることだっていう想像力が働かなくってゴメン、と繰り返し謝りました。
ちゃんと周りに聞いてみる。
許せってことじゃなくて、申し訳ないって思ってるって伝われば良いと思ってる。だって電話は取ってくれないんでしょう。
B「今は無理」
私「うん、私もまだ動揺してる。落ち着いたら一度、お昼に会う時間をください」
これが、
「それはない、絶対ないwは"無い"とつくづく思った34の秋」から始まった『セフレとの婚活大作戦』の終焉でした。