カタルシスと音楽
皆さんは歌うことはお好きですか?
歌った後はスッキリし、ストレスが発散されたと感じる方が多いのではないでしょうか。
歌うことだけではなく、大きな声を出すことや話すことも時には気分がスッキリしますね。
さらに歌の歌詞には感情を表現する言葉などが登場しますが、そのような歌詞を歌うことで場合によっては心の中に閉まってた、出さないようにしていた気持ちが表現され開放されると考えられています。
このように感情が外に表出され心が開放されることを「カタルシス効果」といいます。
カタルシスとは精神の浄化作用という意味で使用される医療・哲学・心理学用語です。
心の中にあるわだかまりなどが何らかのきっかけにより一気に解消されることを指します。
古代哲学者アリストテレスが展開した言葉になり、さらに彼は
「音楽にはカタルシス効果がある」
と残しています。
さらに古代エジプト人も音楽の力を出産の場などで使用していた記録が残っており、音楽を「魂の薬」と呼んでいました。
このように人類は時代、国を越え音楽の力に助けられてきた歴史があることが分かっています。
そして音楽療法の現場ではこのカタルシス効果を狙ったセッションが行われています。
現代ではカタルシス効果が医学的に検証されており、
カラオケなどで歌うとストレス発散になるのはコルチゾールというストレスホルモンが減少するためと言われています。
また歌うことは幸せホルモン、快楽ホルモンが分泌されるため気分が高揚することも実証されています。
歌う際に深い呼吸をするため、副交感神経が働きリラックス効果も期待できます。
歌うことの他には運動することでもカタルシス効果を得られます。
音楽療法のセッションでは身体活動に音楽を使用しますが、
そのことは歌うだけ、体を動かすだけでは得られない効果に繋がるのではないでしょうか。
運動時に音楽を使用することは疲労から気をそらし、より筋肉を動かしやすくする効果があることが分かっています。
そして「話す」ことにも効果があります。
音楽療法の現場では懐かしい曲を使用することにより
音楽の持つ記憶想起を促す作用を計画的に応用し、写真の活用や質問などでご利用者様の発話を促しています。
個々の発言やご利用者様同士での発言をグループ全体で共有していくことでコミュニケーションを取りやすい雰囲気、場を作ることが出来ます。
懐かしい曲を聞いて昔を思い出して笑顔になる、涙がこぼれるなどもカタルシス効果です。
悲しいことを思い出さないよう明るい曲だけをセッションで使うのではなく、時には悲しみを感じることで心が浄化されるような曲を使用するのも良いかもしれません。