銅像に話しかける前の舞台裏
仕事か趣味かライフワークか
2019年から『どうぞう と』という活動をしています。この活動では、お金を稼げていないので仕事とはいえないけれど、趣味というほどお手軽にやってるわけでもなく、投稿の中ではライフワークという言い方をしています。
3ヶ月前に『続けることで仕事になるのか検証中』という投稿をしました。
まだまだ仕事には程遠いという事をご報告させていただくとともに、そんなタイミングで目にした「 #わたしの舞台裏 」というお題企画。
これぞ、表舞台を模索する『どうぞう と』の舞台裏を紹介するのにピッタリだ!と思い、いざ。
note を始めたのは2021年の年明けでした。なので、まだ1年経ってません。日々起きた出来事や、起こしたアレコレを綴るBlogとは違い、これまで、また、これからの作品をまとめていくページにしたいと考えて始めました。
スタートとして、20年前に東京から(ほぼ)歩いて沖縄まで渡り、ストリートミュージシャンのごとく、ストリートで『話し相手』をしてきた【話し相手JAPAN TOUR 2000】という自分企画の6ヶ月間の日記をまとめた連載を始めました。
この時の『話し相手』も、当然仕事にはなっていなかったのでライフワークでした。
脚本・演出はコメディアンがやっています。
毎年の確定申告の職業欄には、1992年から『コメディアン』と書いています。ただ現在、コメディアンとして生み出してる作品が見当たりません。コメディアンとして映像作品や舞台に出演するという仕事をしていません。いや、そもそもオファーが来てません。
2011年に、とあるシナリオ大賞を受賞してから、仕事が徐々に脚本・演出にフェードインしていきました。もちろんコメディアンをフェードアウトした覚えはないのですが、今では、仕事の8割、いや、9割・・・あれ?10割か?10割だ。2020年、2021年のエンタメ暗黒時代は、すべての仕事が脚本であったり演出であったりでした。
脚本や演出というのは出演者ではなくSTAFFというポジションになります。つまり裏方という呼ばれ方をします。
そうです、気づいたら表に出ていたコメディアンの仕事は、裏方になっていました。
ライフワークの『どうぞう と』
さて、まず『どうぞう と』ですが、簡単に言うと、銅像と二人芝居をするというものです。ちょくちょく三人芝居や、群像劇という場合もありますが、基本的には二人芝居です。
で、改めてseason 1の『どうぞう と』19作品を見てみたら、半分の作品で二人以上と芝居をしてました。
こちらは、府中の森公園にいた銅像です。
すごく気になったのが足でした。
これは・・・完全に、足つってるな。と
足がつった生徒、坂田くんの足を懸命に筋肉を伸ばしてます。
そんな時に、スグ近くに、もうひとり足がつった女子生徒の山田さんが助けを求めていました。
男子生徒の足には触れても問題は起きないのだけど、女子生徒だと、何かと問題があるので、女子の先生が来るまで励まして見守るしか出来ないというお芝居です。
また大阪の御堂筋にいた彼女(明子)は、朝、出かける前に非常に不機嫌でした。
というのも、お気に入りのTシャツをオカンが誤って乾燥機にかけてしまったからです。バトル中です。オカンはオカンで「そんな文句ばっかり言うんやったら、自分で洗濯しぃ」とキレてます。
オカンの気持ちも分からなくはないです。
最新の『どうぞう と』は、筋トレ女子が登場して
ダイエットと男は裏切るけど、筋トレは裏切らないから。
と、インナーマッスルを鍛える重要性を男にフラレた友人(彩香)に切々と説いています。
およそ30年前に『THE・NEWSPAPER』という社会風刺のコント集団に所属してた頃は、メンバー全員が男だったので、舞台上で女子の役をやることも多く、またフジテレビの朝の番組『どうーなってるの?!』や『こたえてちょーだい!』で再現VTRに出演させてもらってた時は、エロ親父やバカ親子の役が多く、また、ちょこちょこ動物役もやっていたので
抵抗なくやってます、というか、むしろ好きでやってます。
この『どうぞう と』は、脚本・演出はもちろんですが、現在は、撮影・編集も自分でやっているので、舞台裏の作業をやりながら、唯一の『コメディアン』的ライフワークとして、表舞台も同時にやっています。
少し前に、You Tubeで『モーニングルーティーン』という朝のお決まりの流れを見せるというのが流行りました。
その時に、銅像ルーティーンというのを撮影しました。
映像の流れで『どうぞう と』の舞台裏をご紹介します。
起きるシーンや顔洗うシーンは・・・なくていいですか?あ、もちろんいいですね。
という事で、衣装準備からお届けします。
撮影日の朝、いろいろなシチュエーションを想定して、衣装や小道具(メガネやカツラなど)を多めに持っていきます。
あらかじめロケハンした銅像の場所に到着。
ここは、府中の森公園です。
そして最初に行うのは銅像の掃除です。
バケツに水を汲んできます。
公園だと、たいてい水道があります。水道がない場合は、あらかじめ雑巾を濡らしておいたり厚手のウエットティッシュだったり。
もちろん、掃除どころか触れない銅像もあります
銅像に辿り着けないとか(@小平中央公園)
駅前のロータリーにある大きな銅像は
コメディアンを寄せ付けないオーラを放ってたり(@三鷹駅)
基本的に台座が高かったりして高所にある銅像は
さすがにハシゴや脚立を立てて上ってまでは、逆に怪しい(@大洗港)
そこは空気を読んでという事になります。
で、府中の森公園に戻りますが、この『どうぞう と』での主役は銅像ですから、彼(坂田くんと名付けました)が、キレイに見えるようにメイク(掃除)します。
銅像が立ってる場所、銅像の表情、タイトルや製作者(彫刻家の名前)が記されたプレートなどがあれば、それらを単体で撮影
インサート撮影といいます。
どの角度で見せるのが、一番いい銅像の表情を見せられるか、また、銅像との距離感が自然に見えるかがポイントです。
慎重かつ大胆にアングルを決めます。
銅像の単体での撮影やお芝居のイメージが決まって軽くリハーサルをした後、表の仕事に切り替わるタイミングが、衣装チェンジ
着替えです。
公園の場合は、たいていトイレですが、遠方での撮影の場合はレンタカーで行ったりするので、車内で着替えます。
この衣装なら、着替えてから撮影準備で良かった事に気づきます。
ただ、なんというか気持ちの切り替えというか舞台裏から表舞台に出るためのスイッチが必要で、そのスイッチが着替えなのかもしれません。
そして、撮影開始です。
この瞬間だけが『表』です。
撮影が終わったら、銅像に挨拶します。
くれぐれも、お体気をつけてお過ごしください。と伝えます。
そして、次の銅像に会いに移動です。
足、つったままですが。
この日は、近くに、もうひとつ銅像がいる現場(さくら通り広場)があったので、そちらに移動して到着したら、舞台裏モードにスイッチングです。
広場には6人の銅像たちがいました。
先ほどと同じように掃除から始まります。
敏感な部分も、そっと掃除します。
着替えは、トイレがなかったので仕方なく路上着替えです。
こういう時のために、ツナギ&インナータイツは必須です。
路上で普段着を脱いでいくと、ものすごく違和感あります。
ツナギから脱いでいくと絶妙な溶け込み感があります。
更にインナータイツを履いてると広場でトレーニングする人にも見えなくないのです。
最終的には、路上にいると違和感あるカッコになるんですが・・・
準備が整ったら撮影です。
キッズダンサーズたちに、カリスマ振付師が振り付け中というお芝居です。
撮影後は動画のチェックです。
動画チェック。
チェックしてる間、キッズたちは振り付けを確認しながらジッと待っててくれます。子どもなのに相当なプロ意識です。
チェックが問題なく終わると
キッズたちと握手して別れます。
そんな『どうぞう と』撮影のルーティンは、コチラで見ていただけます。
コチラでは、残念ながら朝起きるシーンから始まってしまいます。
撮影準備と風景の動画ではありますが、動画にしてアップしてる時点で、舞台裏という名の『表舞台』になってます。
段取り七分仕事三分
まだ仕事にはなっていない、ただのライフワークな『どうぞう と』は、今のところ撮影準備から編集を終えてYou Tubeにアップするまでの9割が舞台裏であり、かろうじて表現者としての表舞台があります。表と裏が背中合わせ、表裏一体の活動です。
そして表と裏の両方が同時進行してる事が、自分にとってのライフワークになってるのだと思うのです。
書きながら気づいてたというか、なんなら書く前から薄々感じてましたが、『裏方』というのは出演者側からの言い表し方であって、裏方をやってる人の中に、当然ながらそれぞれの舞台裏があり、表に出る部分があります。
今回のお題企画『わたしの舞台裏』とは、人それぞれの中にある準備の部分であって、その準備を『I'm ready』の状態にして闘いに向かう事が大事なのだと思います。
10年ほど前に『段取り七分仕事三分』という看板を見ました。どこかの建設会社の看板だったと思います。この看板を見た時は「もうちょっと仕事せんかい!」と思いましたが、今は、表現したい事の大半は準備なのだと感じています。
ただ、僕の場合、まだまだ『段取り三分仕事四分珈琲三分』なので、休憩しすぎなんですが。
舞台裏を表舞台に。
現在76作品の『どうぞう と』があります。100銅像まで24銅像ですが、これまでにロケハンで撮影してきた銅像の数は相当あります。
ロケハンしてきた銅像の一部です。
これまでに蓄えてきた舞台裏を表舞台に出せないかと考えています。準備の部分を見せるという意味ではなく、準備していたモノの中にも表現したい事が隠れていて、ある日突然、それが表に出てくる瞬間があります。
あ・・・あの銅像に話しかける時が来た〜ッ!
みたいな瞬間がたまりません。
話しかけたくなる100銅像
日本100名山という本があるように、日本100銅像の本を作ろうと思っています。そんな本のタイトルは、すでにあるんだろうと思って探したら、ちょっと違ってますが銅像を紹介する本は、いくつかありました。
ただ、それらの本は、戦国武将など歴史に名を残した偉人たちの銅像です。西郷隆盛、坂本龍馬像、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、武田信玄、上杉謙信、また、サイボーグ009、ドカベン、ゲゲゲの鬼太郎、亀有派出所勤務の両さん、キャプテン翼、最近ではワンピースや進撃の巨人など名作アニメのキャラクター銅像、志村けんさんの銅像は東村山にあり、渥美清さんというか寅さんとさくらの銅像は葛飾柴又にあります。
みんなが知ってる銅像紹介や銅像を巡る本です。
ただ、作りたい日本100銅像の本は、「なぜ、そこに?」と首をかしげてしまうような、名もなき銅像(実際には著名な芸術家や彫刻家の作品なのだが)が、駅前や公園、商店街の片隅、そして道路沿いにたたずんでいる銅像たちの本です。
日本100名山は、きっと「登りたくなる山々」を100紹介する本だと思うので、日本100銅像は『話しかけたくなる銅像たち』を100紹介する本に出来たらいいなと思っています。
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