函館スプリントステークスコース論
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函館スプリントステークス(函館・芝・1200m)
コースデータ
・右回り
・スタートから3コーナーまで 約490m
・最終直線 262.1m(A・Bコース)
・高低差 3.5m
・最終直線坂 下り→平坦
特徴
・スタート地点は2コーナー奥のポケット
・スタート直後から向こう正面、3コーナーまで上り
・4コーナーで若干の下り
・直線は途中まで下り、最後は平坦
このコースを使用するOP以上の競争
G3
函館スプリントS(3上)
函館2歳S(2歳)
OP
青函S(3上)
コース考察
○馬場の傷み方に注意
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![](https://assets.st-note.com/img/1686072374962-4A66CEoigd.png)
Aコース
![](https://assets.st-note.com/img/1686072696085-fuZ6TlpExr.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1686072892840-LdfIepWhLc.png)
Bコース
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![](https://assets.st-note.com/img/1686072934351-y85qAkfbi2.png)
Bコースに関してはデータの母数が少ないので参考程度。
全体として見れば、内・中・外どこからでも満遍なく来ており、コースそのものによる内外の有利不利は特段見られない。
ただし開催時期、つまり函館開催が始まってからどれくらい時間が経ったか、馬場の傷み方がどれくらい進行したかという部分は枠の有利不利と密接にかかわってくる。
ほぼ想像通りとは思うが、最初のうちは内枠有利だが内ラチ沿いの馬場から傷みが進行していくため外枠有利にシフトしていく。
AコースからBコースに切り替わることで再度内枠が有利になるが、その後は函館開催の終わりまで基本的にBコースのままなので外枠有利にやはりシフトする。
これに洋芝の耐久性の問題、つまり馬場の進行が早く進みやすいということも重なることで、基本一年に一度、6週間程度連続で行われる函館開催の中で目まぐるしく有利不利が変化していくのが特徴的。
ある週では内枠が有利だったのに次の週にはもう内枠では戦いづらくなっていることも珍しくない。
なので、枠だけを見て良し悪しに囚われるのではなく、馬場の傷み方・開催時期との組み合わせで、リアルタイムに考える必要がある。
○「超」先行有利な足切りコース
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他のコースではほぼみられないような異質な傾向。
函館の特異性が現れている。
東京を筆頭とした直線が長く広々としたコースの場合、中団以降から進めても差し脚を発揮しきる機会が存在するため、位置取り能力が必ずしも重要ではない場合がある。
対して直線が短くスケールの小さいコースの場合はその逆で、末脚が武器になる馬はその武器を使う前にレースが終わってしまっている場合があり、能力を十分に発揮しきれない。
その後者の性質、つまりは前に出せるだけで勝負が決まってしまうような極端なコースとなっているのが函館競馬場という舞台。
上のグラフで、作戦を採った母数が少ない逃げ・先行と母数の多い差し・追い込みが馬券内割合で拮抗しているのがその最たる証拠である。
加えて、差してくる馬に対しても前々の位置を取ることが要求されており、全体の半分より後ろでしか競馬できない馬には極めて厳しいコースとなってしまっている。
このような極端な性質を生み出している原因こそが、函館競馬場という舞台の本質。
「惰性で通過できない上りの向こう正面」「小回りでスピードを乗せづらいコーナー」「平坦で短い直線」という要素が、異常なまでの先行有利を生み出している。
これらの性質を個別に有していること自体は珍しくなく、例えば向こう正面の上りは京都でも見られるし、小回りコースは各地に点在している。平坦で短い直線というのも小倉や札幌が当てはまるが、この3つの性質を兼ね備えているのは函館のみ。
そういう意味では、函館は他の9場とは少し切り離して考えた方がよいかもしれない。
また、今は芝について述べているが、この性質自体はダートも同じ(むしろ日本の中央競馬10場全てに共通する、芝コースの内側にダートコースが設置されている性質の影響でより顕著に現れているかもしれない)。つまりダートでも同様に先行できるということ自体が勝敗を決定づける大きな武器になりうる。
芝ダート問わず函館競馬のレースを考える時には、何よりまずより前々の位置を取れるか、という部分に着目すべきだろう。
過去の函館スプリントステークスラップ推移
![](https://assets.st-note.com/img/1686160137978-VoMxCCMchb.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1686158986025-VPDdTarMxH.png)
21年は東京五輪による変則日程のため札幌で開催。
19年を除き短距離らしく前傾ラップ。ただし先述の通り函館競馬場の向こう正面はずっと上りなので、必ずしも強烈なハイペースで流れるというわけでもない。
19年に関しては7頭立てになり、あまり短距離レースらしくない内容となったので考慮しなくてよい。
コースのセオリー通り、函館開催の9年中6年で逃げ・先行馬が勝ちを収めている。
特に逃げ馬は半分が馬券内に入ってきており、先行有利なコースの開幕週という恩恵をフルに活かしているだろう。
21年ダイメイフジのような人気薄でも上位に食い込んで来られているあたり、影響は無視できない。
一方で差し・追い込み馬は基本的に厳しい。
15年のような条件が揃えば台頭する可能性はあるものの、あまり現実的とは言えない。
前後半で2秒以上差がついてもなお差し切れないことの方が圧倒的に多いと考えると、基本的に狙いづらいと言わざるを得ない。舞台が差し馬向きではないので仕方ないところではある。
主観
コース的にも函館スプリントステークスという重賞として考えた時にも、基本的には積極的に出していける馬、出遅れの懸念があまりない馬に絞って狙うことになる。
また馬場の傷み方についてはよく検討しておくこと。場合によっては先行して内ラチを頼ることが大きなマイナスに働く。
逆に、このコースで差して勝った馬はその後のレースでも活躍する可能性があるので、後々に向けてチェックしておく際の参考にはなるかもしれない。
とはいえ短距離で位置取り能力が乏しい=テンが使えないことはそれ自体が致命的な弱点になることも珍しくないので、過信すべきではないが。
函館スプリントステークスに関して補足するならば、洋芝で行われるレースではあるものの近年は比較的時計が出やすい傾向にあり、必ずしも洋芝適性が問われない印象。
少なくともコース形状的にも札幌のそれとは全く別物として考える方が無難。札幌で好走しているからと言って、洋芝適性が高いのでという安易な考えはすべきではない。
文責:もじゃ