北九州記念・小倉2歳ステークスコース論
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また、この2重賞は使用する条件が全く同じなため、コース論を統合しています。ご了承ください。
北九州記念/小倉2歳ステークス(小倉・芝・1200m)
コースデータ
・右回り
・スタートから3コーナーまで 479m
・最終直線 293m
・高低差 3.0m
・直線坂 平坦
・3,4コーナーはスパイラルカーブ
特徴
・スタート地点は2コーナーと向こう正面の合流地点のあたり
・スタートして最初の1Fで下り、3,4コーナーの中間あたりで若干の下り
・4コーナー途中から最後まで平坦
・スパイラルカーブ採用コースのため、コーナリングで速度が落ちづらい
このコースを使用するOP以上の競争
G3
北九州記念(3上・ハンデ)
小倉2歳ステークス(2歳)
オープン
北九州短距離ステークス(4上)
フェニックス賞(2歳)
ひまわり賞(2歳・九州産駒限定)
コース考察
○傾向が変化しやすい
「補正込み」とは、当該コースが最大18頭立てで開催される、即ち7・8枠の出走頭数が1~6枠に比べて多くなることを踏まえ、1~6枠の出走頭数とほぼ同じになるように一定の係数を掛けた後の数字であることを意味する。
今回の場合、7枠に73%程度、8枠に68%の補正をかけている。
全体としては外目の枠にやや偏っているような結果となっているが、AコースとBコースで細かく掘り下げると、大雑把に括らない方がよいのではないかと考えられる結果になった。
Aコース
補正は7枠73%、8枠70%。
Aコース時は外枠の他1・2枠も成績が良い。というより3・4枠の成績が他と比べて伸び悩んでいるという方が正しいか。
このあたりは内枠や外枠と比べて揉まれるリスクを背負う枠ではあるので成績が伸び悩むことそのものは理解できるが、同様に揉まれるリスクを背負いやすい5・6枠は勝率こそ伸び悩んでいるものの馬券内には一定数入れている。
あえて言うならば、小倉に限らず「多頭数の短距離」全体の傾向として3・4枠は成績が他と比べて落ち込んでおり、戦いづらいということであろう。
生き生きとした内は活かしづらく、外に活路を求めようにも外の馬も多くなってしまいやすいので理解しやすいところではありそう。
一方で好調なのは、その生き生きとした内ラチを目一杯活かせる1・2枠と、外の好位~中団からスムーズな外差しを決めやすい7・8枠ということになる。
Bコース
補正は7枠75%、8枠68%。
Bコースでも外目が有利な傾向自体は変わっていないが、その内情には変化が見られる。
具体的には、5・6枠が優勢になった分7・8枠のそれが薄れ、1・2枠が大きく不利になったことである。
1枠は勝率こそ高いが馬券内率はかなり低い。
考えられるのは、まず単純に強い馬が順当に勝っていること。20年ひまわり賞のヨカヨカが最も分かりやすい例で、0.6差での圧勝は枠がどこであっても関係なかったと言える。
もう一つ考えられるのは、外差し傾向が強くなりすぎた結果騎手の意識が外々に向いてしまい、ぽっかりと空いた内に飛び込んで勝ったというもの。例としては22年北九州記念のボンボヤージで、まさにここに書いたような展開そのものであった。
ただ基本的には傷んだ馬場を走らされるリスクを負わされるので、不利になりやすい枠であるという認識で問題ないであろう。
7.8枠の有利が薄れた理由は単純で、外を回しすぎて距離ロスが大きくなりすぎてしまうからであると思われる。
東京芝1600mや1800mなどで見られた傾向と同一で、仮柵が外に設置されるにつれ外枠の馬はより外々を通らざるを得なくなるケースが増え、結果的に走行距離が長くなってしまう不利を受けるのである。
その分比較的走行距離が短く済み、内枠が受けてしまう傷んだ馬場を走るリスクも抑えられる中枠が最も成績を上げていると考えられる。
○状況の見極めが重要
枠も難解であったが脚質傾向も難解であり、全体の傾向と細かく見ていった傾向がずれており大枠でとらえるのが危険なコース。
今回はAコース/Bコースという区分でのみ検討していくが、他の視点から見てみるとまた違った傾向が出てくるかもしれない。
全体としては、序盤からスピードの出しやすいコースな上直線が短いということもあり、位置を取れることは絶対。
ただし、先入観やイメージと実際の結果がずれている感じがある。
Aコース
Aコースは比較的能力で左右される傾向が強く出ている。
先述の通り位置を取れること自体は重要なのだが、Bコースに比べて重要視されず、寧ろ最低限のポジショニングさえできれば最後に捲る余地が残されている。
原因としては、馬場状態が変化していく中で内での粘りより差しが通りやすい環境に変化していくことや、比較的整備された馬場を走れることで速度が付きすぎてしまった結果過度なハイペースを刻んでしまうことなどが考えられるが、色々な要素が複合的に絡み合っていそう。
とにかく、差しても十分に勝負できる状況下であるため、追走能力と上がりを使える能力の両方が問われる。
Bコース
Bコースになると、Aコースと比べて差しが通りづらくなり、ローカルの短距離らしさが強くなる。
差しが通りづらくなるのは、外差しが難しくなるからであろう。
枠のところでも少し触れたが、外への意識が強くなるあまり出走馬の大半が外に進路を求めることがあり、結果として差し有利な馬場であってもその恩恵を享受しきれないということが起こる。また単純に馬場の綺麗な外を通ることにより距離ロスが大きくなってしまうが、適性距離の短い馬にとってはその僅かな差が大きく響いてきたりもするだろう。
そういった要素が積み重なった結果、Aコースと比較してポジショニング能力の問われやすい条件に変化している、という見方はできそう。
逃げや先行が決まりやすいというよりは、後ろが差し切れないという見方をする方が自然。
荒れた馬場への対応力も求められるが、直線に向いた時に残りの距離をどれだけスムーズに運べるかも重要になりやすく、当然前にいる馬が少ない方が楽になりやすいことから、逃げ馬や先行馬が成績を残しているという考え方もできる。
過去の北九州記念・小倉2歳ステークスラップ推移
北九州記念
小倉2歳ステークス
北九州記念・小倉2歳ステークス共に短距離レースということもあり、序盤にハイペースで飛ばして徐々に減速していく、典型的な前傾ラップを刻んでいる。
ただし古馬戦と2歳戦ということで、全体的な速度面の違いは当然ある。
北九州記念は古馬重賞な上減速を促すコースギミックがないため、前半が32秒台で推移することも珍しくない。
ただしその時々でペースの遅速は変化する。例えば22年はテン3F33.2で推移しボンボヤージ・タイセイビジョン・ナムラクレアと比較的差し決着であったが、21年はテン3F32.8で推移しながらヨカヨカ・ファストフォース・モズスーパーフレアと先行勢で決着した。これは馬場状態が影響し、22年は33.2がハイペースであったのに対し、21年は32.8でも前が残れる程度のペースであったというのは言うまでもないだろう。
一方の小倉2歳ステークスにおいては、能力差の大きいレースということもあり能力検定要素が強く出ている。
Bコースの先行有利も手伝い、しっかりと前々で競馬できる馬でなければ勝てないレース質になっている。
馬場が重くなってもこの傾向が堅持されているので、2歳戦らしいといえるだろう。
まとめ
コースとしては繊細で、ちょっとした状況の変化でどの馬に恩恵をもたらしうるかが刻々と変化する。それは枠もそうだし、位置取りの部分でももちろんそう。それだけに解読が難しいといえるが、当たった時のリターンは大きくなり得る。
また小倉はスピードを持っている馬が有利と十把一絡げに語られがちだが、どういう方向性のスピードかは吟味が必要だろう。
北九州記念はハンデ戦ということもあり、より難解。
先行勢であればどの程度の強度のレースまで耐えられるのか、差し勢ならそれが届きうる馬場状態なのか、考えなければならないことが多い。
その分10~20倍くらいのオッズ帯でも平然と突っ込んでくるし、直近10年で3桁オッズの馬も2頭馬券内に来ているレースであり、配当面での妙味は大きい。
お世辞にも自信があるなどとは言ってはいけないが、ホームラン狙いで強気に振り回す価値は十分にあるレースといえるだろう。
小倉2歳ステークスは能力面が強く反映される分、北九州記念ほど派手な荒れ方をするレースではない。
新馬戦・未勝利戦で見せた各々のパフォーマンスを素直に信じてよさそう。
文責:もじゃ