2023年 天皇賞(春) 各馬血統考察
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京都競馬場と阪神競馬場の違い
今年の天皇賞(春)は、改修が終わったことで2020年以来の京都競馬場での開催です。予想するにあたって、まずは阪神芝3200mと京都芝3200mの違いについて触れたいと思います。各自でコース図を見ながら読んでもらえると理解しやすいかもしれません。
阪神芝3200m
ホームストレッチの2m程度の急坂を除けば、概ね全体は平坦であると言えます。加えて、1度目の急坂は隊列が定まってゆったり走っている場面で通過しますし、2度目の急坂は長距離戦らしくほぼ大勢が決した状態です。そのため、ホームストレッチの急坂の影響も小さいと考えられます。求められる能力は、上がりの速さではなく、バテ合いに耐えられる持久力です。
京都芝3200m
対して、京都芝3200mは高低差4mの坂を2度通過します。1度目はスタートしてすぐに坂を上ります。スタートして加速をつけなければならない局面で坂を上る必要があり、そこから消耗を抑えながらゆっくり坂を下る必要があります。そこからは平坦なわけですが、問題は2度目の急坂。ここは残り6F地点のレースの勝負所という局面です。阪神は平坦なので考えることは少ないですが、京都はここからまた4mの坂を上る必要があります。そこから坂を下り、京都独特の4コーナーを通過し、平坦のホームストレッチを駆け抜ける。そのため、求められる能力は、絶対的な上がりの速さとそれを繰り出せるだけのスタミナです。
以上のことから、阪神と京都の長距離戦は切り離す方がベターでしょう。
各馬血統考察
以下に出走登録17頭の血統考察を記載します。※netkeiba予想オッズ順
タイトルホルダー
父ドゥラメンテ(キングマンボ系)
母父Motiavtor(サドラーズウェルズ系)
全頭考察の前に京都と阪神の違いについて触れましたが、阪神開催の天皇賞(春)を制しているということは、今年の京都開催では嫌いたいと考えるのが自然です。キングマンボ系で馬券内に来た馬は過去にいないことも後押しになります。
この馬は、父ドゥラメンテが母方を引き出す種牡馬なので、母方の血統から3歳あたりまでは欧州瞬発力に富んだ馬だったイメージです(菊花賞など)。しかし、古馬になってからは一転スピード持続力で戦う馬に変化しました(レコード勝ちした宝塚記念など)。血統表を見ると、母父Motivatorの母系はGone Westを始めとする米国血統で構成されていることに気づきます。個人的な解釈ですが、年齢を経るにつれてこの米国要素が強く出てきているのではないかと考えています。何たって宝塚記念をレコード勝ちするくらいですから。ということは、逆に言えば京都芝3200mは合わないと評価するのが妥当です。血統的には切ります。人気するのは確実ですし、来たら諦めるくらいでいいと思います。
ジャスティンパレス
父ディープインパクト(ディープ系)
母父Royal Anthem(ヌレイエフ系)
ディープインパクトはスタミナがあり溜めも利き、上がりも使えるという点で天皇賞(春)には適している種牡馬です。母父のRoyal Anthemはヒシアマゾンを輩出したTheatricalの直仔。Theatrical産駒を見ると持続力に富んだ産駒が多い印象です。Royal Anthemはそこに米国血統なので更に持続力が特化された形です。母母父はロベルト系、母母母父はインリアリティ系なので、ディープインパクト産駒の中では米国的な持続力を強化されていると言えます。そのため、京都開催の天皇賞(春)には合わないと考えています。
ボルドグフーシュ
父スクリーンヒーロー(ロベルト系)
母父Layman(Lサンデー系)
ロベルト系の馬が来るのか来ないのかが取捨選択のキーだと思います。古くはライスシャワーやマヤノトップガンなどの好走が目につきますが、近年だと父のスクリーンヒーローやゴールドアクターなど凡走が目立ちます。特にこのSilver Hawkの直系は天皇賞(春)に適性なしと判断するのが妥当です。
牝系に目をやると、LaymanやWoodman、リファールなど瞬発力やスピードは補完されていますが、スタミナ面での推し材料がなく基本的には嫌いたい寄り。Le Fabuleuxの影響で早熟の可能性もありますし…。
シルヴァーソニック
父オルフェーヴル(Tサンデー系)
母父トニービン(グレイソヴリン系)
オルフェーヴルは瞬発力のある種牡馬で、そこにトニービンやリファールと続くので欧州瞬発力に優れていると思いきや、実際はそうではありません。平坦な競馬場であるサウジアラビアのレッドシーターフを勝ったように、どちらかというと阪神向きのバテ合いに強い馬だと考えています。母方のロイヤルスキーの影響かもしれません。ステイヤーズSを勝つようにスタミナは保証されていますが、京都適性からは少し外れていそうという評価です。
アスクビクターモア
父ディープインパクト(ディープ系)
母父Rainbow Quest(ブラッシンググルーム系)
ディープインパクト産駒で母父にRainbow Questでブラッシンググルーム系。血統からは欧州瞬発力に優れているような構成ですが、ダービーを好走しているように、どちらかと言うと持続力に方向性が向いているイメージです。母母父のNight Shiftや母母母父のロベルトの影響が強く出ていると考えています。血統の見た目自体はいいですが、脚質的に前に行くタイプですし、前走を見ると馬場が重くなるとどうなるか?など不安要素も多いです。
ディープボンド
父キズナ(ディープ系)
母父キングヘイロー(リファール系)
キズナにキングヘイローを合わせることで、リファールのクロスやHalo ≒ Sir Ivor ≒ Droneのニアリークロスで欧州瞬発力や素軽さが強調されそうな血統構成ですが、実際は強烈な持続力とスタミナに富んでいることは言うまでもありません。これは、母方のモガミヒメ以下の在来牝系らしさが出ています。ただ、その分上がりの絶対値には不安があり、ある程度淀の坂でカバーできるとしてもそこがネックとなるでしょう。改装後は更にスピードの絶対値が要求されるような雰囲気ですし…。坂を下るところから仕掛けてどうなるか。鞍上の騎乗にも注目したいところです。雨はプラスに働くでしょう。
マテンロウレオ
父ハーツクライ(Tサンデー系)
母父ブライアンズタイム(ロベルト系)
父のハーツクライ、母父ブライアンズタイムはともかく、牝系が速すぎるイメージです。Great Lady M.のラインなのでビリーヴやジャンダルムと同じだといえば伝わるかと思います。スピードはありますが、淀の坂を2回通過してそこからそのスピードを活かせるのか?と考えると難しいと思います。
ディープモンスター
父ディープインパクト(ディープ系)
母父Bellamy Road(ダンチヒ系)
父ディープインパクトは天皇賞(春)と相性がよく、そこにダンチヒ系のBellamy Road、豊富なスタミナを持つDixieland Bandと続きます。フェノーメノが連覇したようにダンチヒ系は相性がいいですし、スタミナの裏付けもある。戦績上中距離でも競馬ができる程度のスピードは持ち合わせていますし、現状狙ってみたい馬の1頭です。雨の影響は…うーん…。
ディアスティマ
父ディープインパクト(ディープ系)
母父Street Sense(ミスプロ系)
ディープインパクトに、母父のStreet Senseは持続力のあるMachiavellianや豊富なスタミナを持つDixieland Bandを持ちます。更にはブラッシンググルームといった相性のいい血統を持ち合わせているので狙いやすいと思います。ただ、脚質的に逃げて勝負をするのであまり血統の良さが活かされないとも思いますし、色々とちぐはぐ感があり。
ブレークアップ
父ノヴェリスト(スターリング系)
母父クロフネ(ヴァイスリージェント系)
父ノヴェリストはドイツ血統を代表する種牡馬で、欧州種牡馬にクロフネを合わせるのは昨今のトレンドの1つです(クロノジェネシス、ヴェラアズールなど)。欧州血統の弱点をクロフネが補完することで、日本の芝にも対応できるようになっていると考えられます。ブレークアップの場合、そこにドイツ血統であるキングズベストなので、血統上はドイツ血統の極みと言える構成です。ドイツ血統の一般的なイメージは重馬場巧者だと思いますが、実際はエイシンフラッシュやヴェラアズールなど高速決着にも対応できるだけのスピードや瞬発力は持ち合わせていますし、スタミナももちろんある。加えて、ノヴェリストの場合はニジンスキーなどの持続力系の血統も持ち合わせているので、かなり京都の天皇賞(春)には向いていると考えています。雨が降ったら評価は落とすと思いますが…。
サンレイポケット
父ジャングルポケット(グレイソヴリン系)
母父ワイルドラッシュ(ニアークティック系)
トニービンにワイルドラッシュ、そこにサンデーサイレンスなので実質ジャスタウェイみたいなものですが、能力の方向性は持続力です。サンデーサイレンスの影響で瞬発力も補完されていますが、それでもズブい印象です。牝系からスタミナもあるので距離はこなせると考えています。距離延長で良さが出てくるかも…?
アイアンバローズ
父オルフェーヴル(Tサンデー系)
母父Royal Anthem(ヌレイエフ系)
半きょうだいであるジャスティンパレスとほぼ同様の見解です。父がディープインパクトからオルフェーヴルになったことで、能力の方向性は瞬発力に向いていますが、それでも持続力系の馬な印象です。京都は合わないと考えます。
ヒュミドール
父オルフェーヴル(Tサンデー系)
母父チチカステナンゴ(グレイソヴリン系)
父オルフェーヴルは瞬発力に優れた種牡馬です。母のアヴェクトワはチチカステナンゴ × アドマイヤベガなのでグレイソヴリンをクロスした形。加えて、在来牝系なので能力の方向性は持続力に向いています。そのため上がりが掛かったほうが良いので、京都芝3200mは向かないでしょう。雨はプラスだと思います。
エンドロール
父ガルボ(Lサンデー系)
母父チチカステナンゴ(グレイソヴリン系)
父ガルボはマンハッタンカフェにニジンスキー系のジェネラスを持ちます。母父はチチカステナンゴでいかにもスピードのない欧州ステイヤー感のある血統ですが、母母のクレープシュゼットはアグネスタキオンにリアルシャダイなので、そこからスピードを補完している形。血統的には面白いですが、如何せん3勝クラスを勝ち上がったばかりなのでどこまでやれるのか?といった感じ。
アフリカンゴールド
父ステイゴールド(Tサンデー系)
母父Gone West(ミスプロ系)
ステイゴールドは京都開催の天皇賞(春)と相性のいい種牡馬として注目されていますが、母父のGone Westが気になります。デインヒルは相性のいい血統ですし、Sassafrasもスタミナに富んだ血統ですが、どちらにしろ前に行く馬なので過剰に評価することもないと思います。タイトルホルダーを潰してくれれば馬券的にはありがたいですが…。
トーセンカンビーナ
父ディープインパクト(ディープ系)
母父Hawk Wing(ミスプロ系)
2020年の天皇賞(春)の5着馬。母父Hawk Wingは欧州ミスプロ系で、そこにPeintre Celebreなので欧州的スピードとスタミナも十分にあると考えられます。Bay ExpressもWar Relicの系統なので高速決着には対応できるとは思いますが、勢いの落ちたディープ産駒をわざわざ買う必要はないと思います。雨が降ったらたぶんマイナス。
メロディーレーン
父オルフェーヴル(Tサンデー系)
母父Motivator(サドラーズウェルズ系)
タイトルホルダーの半きょうだいで、父がドゥラメンテからオルフェーヴルに。見解はタイトルホルダーと同様なので特に書くことはありません。オルフェーヴルに代わって瞬発力に能力の方向性が向いたくらい。とりあえずゆっくりと走り切ってくれればいいのではないでしょうか。
まとめ
この記事を公開する頃には枠順も出ていますし、印を打ってもよかったのですが、如何せん馬場状態が全く読めないので、現時点では保留します。
しっかりと、馬場を考慮して予想を組み上げたいと考えています。この記事が何かしら予想の参考になっていれば幸いです。
(追記 最終予想印)
◎ブレークアップ
○ディープモンスター
ワイド◎-○
予想よりも馬場状態が持ってくれたので、素直に考察通り評価した2頭で。
了