クイーンステークスコース論

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クイーンステークス(札幌・芝・1800m)

コースデータ

・右回り/洋芝
・スタートから1コーナーまで 約180m
・最終直線 266.1m(Aコース時)
・高低差 0.6m
・直線坂 平坦

特徴

・スタンド前直線の途中がスタート地点
・一周を通してほぼ平坦なコース
・1,2コーナー、3,4コーナー共にローカルにしては緩やかな弧を描いており、コーナリングは容易

このコースを使用するOP以上の競争

G3
クイーンステークス(3上・牝)
札幌2歳ステークス(2歳)

オープン
コスモス賞(2歳)


コース考察

○中枠は不利

 札幌芝1800m・補正込み枠順別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・14頭)
札幌芝1800m・補正込み枠順別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・14頭)

 「補正込み」とは、当該コースが最大14頭立てで開催される、即ち1・2枠の出走頭数が3~8枠に比べて少なくなることを踏まえ、3~8枠の出走頭数とほぼ同じになるように一定の係数を掛けた後の数字であることを意味する。
 今回の場合、1,2枠共に200%の補正をかけている。

 フルゲート14頭で絶対に1,2枠に2頭入らないこともあり、そもそも内枠の母数が極端に少ない。今回はフルゲートのみにデータを絞っているが、1勝クラス以上の全頭数を対象にした補正なしデータでも内枠の数字は決して他の枠に後れを取っていないことから、データの偏りを無視した本質は内が有利であると断じてしまってよい。
 そもそも比較的大回りな一周コースで内が不利になるケースというのがあまり考えづらいのだが。

 次点で外枠が有利になる。これは立ち回りやすさ故だろう。
 札幌競馬場は直線こそ他のローカル同様短いが、緩やかな3,4コーナーで速度をじわじわと乗せて外からロングスパートを仕掛けることができるという特徴がある。そのため、内外両方から挟まれて身動きの取れなくなるリスクを背負う中枠よりは自然な流れで外から動いていくことのできる外枠の方が好成績となっていると推測できる。
 中枠は立ち回りが難しいというのは、一周コースの宿命ともいえる。

○先行有利に騙されるな!

札幌芝1800m・全頭脚質分布(2018年~・1勝クラス以上・14頭)
札幌芝1800m・馬券内脚質分布(2018年~・1勝クラス以上・14頭)
内側の円が馬券内・外側の円が総数

 データ上は先行有利、次点で差しも通るという感じになっているが、はっきり言ってあまり当てにならない。

 札幌競馬場はすでに述べた通り、芝ダート共にコーナーが緩やかという特徴を有する。これがレースにどのような影響を与えるかというと、後ろの馬が減速せずにコーナリングできることで、早めに前を捕らえるということが起こる。
 データ上はその一部も先行としてカウントされてしまうため、先行有利があまり当てにならないというわけである。

 本質的には東京や阪神に近い、個体ごとの純粋な能力差が素直に出やすいコースであるといえ、それらのコースでは往々にして序中盤に控えて脚を溜め、後半に速度を出す競馬が通用しやすい特性がある。
 札幌競馬場はローカル競馬場でありながらその性質を有しているという点で独特であり、札幌では一度ローカルという認識を捨て、中山以外の主場3場で予想する感覚で臨んだ方がよいかもしれない。


過去のクイーンステークスラップ推移

 牝馬限定戦は混合戦に比べてペースに一貫性がなくバラバラになりやすい傾向はあるが、一周を通してほぼ平坦でペースに干渉してこないという札幌競馬場の特性も相まって、輪をかけてバラバラになっている。

 例えばディーエスクライが玉砕逃げを敢行した18年は序盤のペースが上がり中盤で落ち着いた一方、ローザノワールのテンから押していく動きに騙されスローになった23年は序盤遅い代わりに中盤にかけてじわじわと速くなっている。
 このように出走メンバー等によって大きくレース質が変化しうるので、傾向も何もない。


まとめ

 一周コースが基本的に抱える「内・外有利+中不利」は抱えているものの、それ以外の部分では極端な偏りはなく、ローカルの競馬場でありながら実情は東京や阪神など実力が結果に反映されやすい。
 これは芝1800mに限った話ではなく、札幌競馬場の基本的な個性。
 よって予想の際には、あまり難しく考えすぎずに高い能力を発揮できる状態にありそうな馬を選択するのがベター。

 クイーンSも概ねその認識で問題ないが、牝馬故に発揮できる能力にブレがあるところは気を付けたい。


文責:もじゃ

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