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【国際ニュースを分かりやすく解説!】米共和ヘイリー氏、南北戦争を巡り奴隷制に言及せず、非難される


何が起きたのか

1. 南北戦争の原因について問われ、奴隷制度について言及しなかった

ニッキー・ヘイリー氏は、ニューハンプシャー州でのタウンホールミーティングで、南北戦争の原因について質問された際に、最初に「政府の運営方法」「自由、人々ができることとできないこと」が原因であると述べ、奴隷制について言及しませんでした。ヘイリー氏のこの回答は、質問者や他の政治家から驚きをもって受け止められ、厳しく批判されました​​​​。

2. 批判を受け、発言を訂正

翌日、同州のラジオ局のインタビューで、彼女は「南北戦争は奴隷制についてのものだった」と述べました。この訂正にもかかわらず、依然としてヘイリー氏への批判が続いています。

なぜ非難されたのか①: 奴隷制とその後の黒人差別の歴史

1. そもそも、南北戦争とはどんな出来事だったのか

南北戦争(1861-1865)の主な原因の一つは奴隷制の問題でした。この時期、アメリカは急速に拡大しており、新しい州が連邦に加わる際の奴隷制の扱いについての意見が分かれていました。北部諸州は主に工業化しており、奴隷制を支持せず、それに対し南部諸州は農業経済に依存し、奴隷制を経済的・社会的に重要視していました。特に、綿花を中心とする農業は奴隷労働に大きく依存していました。1850年代に入ると、奴隷制に関する政治的な議論はさらに激化し、国は分裂の危機に瀕しました。1860年のエイブラハム・リンカーンの選出は、奴隷制度の拡大に反対する北部の姿勢を象徴し、これにより南部は脱退を決意し、戦争へと突入しました。

南北戦争の結果、アメリカ合衆国は大きく変貌しました。最も重要な変化は、奴隷制度の廃止です。戦争中の1863年、リンカーン大統領は奴隷解放宣言を発表し、連合国(南部)の奴隷を解放しました。戦争の終結とともに、1865年には修正第13条が成立し、アメリカ全土で奴隷制が廃止されました。しかし、奴隷制の廃止は、人種差別の終焉を意味するものではありませんでした。戦後の復興期には、人種差別や南北間の緊張が続き、特にアフリカ系アメリカ人に対する不平等な扱いは長期にわたって続きました。

2. 現代のアメリカにおいて、「南北戦争の原因が奴隷制である」と明言しなかったことは、何を意味しているのか

奴隷制の負の遺産:アメリカの奴隷制は、アフリカ系アメリカ人に深い影響を与えた残酷で非人間的な制度でした。奴隷制の負の遺産は、制度的人種差別、隔離、差別を通じて世代を超えて影響を与え続けています。

認識と責任:アメリカでは、南北戦争における奴隷制の役割を認めることが、国の歴史を理解し、その長期的な影響に対処するために重要と見なされています。南北戦争の中心的な原因として奴隷制を認識しないことは、奴隷化された人々とその子孫が経験した苦しみや不正を軽視または否定しようとする試みと見なされることがあります。

現在の政治・社会状況:アメリカは依然として人種問題や奴隷制の遺産に取り組んでいます。人種、南部連合の象徴、アメリカの歴史の教育に関する議論は、非常に感情的で政治的に敏感な話題です。南北戦争における奴隷制の役割を軽視または再解釈するようなコメントは、これらの継続中の議論に関わるため、強い反応を引き起こすことがあります。

なぜ非難されたのか②: 「サウスカロライナ元州知事」という経歴

1. 南北戦争において、最初に連邦からの脱退を決定した州

サウスカロライナ州は1860年12月に連邦からの脱退に賛成する最初の州であり、これは南北戦争の直接の前兆でした。この決定は主に、奴隷制度の維持への州のコミットメントによって推進されました。南部連合の歴史と深く結びついている州として、サウスカロライナ州では南北戦争と奴隷制についての議論が特に敏感です。州の歴史は、脱退における中心的な役割だけでなく、長い奴隷制の歴史とその後の結果、公民権と人種平等のための闘いを含んでいます。

2. 現代の政治的文脈

知事としての彼女の任期中、ヘイリー氏はこの歴史に関連する重要な決定に関わっていました。特に注目すべきは、2015年のチャールストン教会銃乱射事件の際、彼女が州議会議事堂の敷地から南部連合の旗を撤去する法律に署名したことです。この決定は、州が連合国の過去と向き合う中での画期的な瞬間と見なされました。

この背景を踏まえると、サウスカロライナ州の知事を務めた人物が南北戦争とその原因について繊細で歴史的に正確な理解を持っていることが期待されます。特にサウスカロライナ州の歴史の文脈において、南北戦争の主な原因として奴隷制を挙げないことは、重大な見落としや歴史の書き換えと見なされる可能性があります。

南北戦争においてこれほど深く根ざした歴史を持つ州の元指導者としての彼女の立場は、彼女のコメントとその紛争への理解を厳しく精査する対象となっています。


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