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【国際ニュースを分かりやすく解説!】2024年アメリカ合衆国大統領選挙


2024年アメリカ大統領選とは

概要:

アメリカ合衆国大統領選挙が2024年11月5日に予定されています。アメリカの大統領選は4年に1度行われ、今回は60回目の大統領選となります。民主党の現職大統領ジョー・バイデンは再選を目指し、一方、彼の前任者で共和党のドナルド・トランプは非連続の2期目を目指しています。トランプが勝利すれば、グローバー・クリーブランドに次いで非連続の任期を達成した2人目の大統領となります。また、両大政党からの予備選の挑戦者も出る予定です。

争点:

中絶へのアクセス、医療、教育、経済、外交政策、LGBTの権利、民主主義などが重要な選挙キャンペーンのテーマとなります。
特に、この選挙は、ロー対ウェイド判決が覆された後の初めての選挙としても注目されています。

※ロー対ウェイド判決とは?

「ロー対ウェイド判決」は、1973年にアメリカ合衆国最高裁判所が下した歴史的な判決です。この判決により、アメリカ合衆国において女性の中絶権が連邦レベルで認められました。これはアメリカの法律史上、女性の身体的自主性とプライバシー権を守る上で画期的な判決とされています。

しかし、2022年6月、アメリカ合衆国の最高裁判所は、女性の人工妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄し、人工妊娠中絶が合衆国憲法で認められている権利ではないとしたのです。この判決の破棄は、人工中絶を認めるか否かを各州の判断に委ねることになり、アメリカ国内における人工中絶権の地域間格差を拡大させる結果となりました。最高裁判所の構成は保守派が優勢で、この判決が下される前からその可能性が示唆されていました。

ジョー・バイデン大統領は、最高裁の判決に強く反対し、「アメリカ国民の憲法上の権利を奪った」「最高裁による悲劇的な過ち」と批判しました。さらに、女性の権利を保障するためには「ロー対ウェイド判決」を法制化する連邦法が必要だと述べ、その実現に向けて有権者への呼びかけを行いました​。

また、この判決は企業にも大きな影響を与えました。多くの企業リーダーは、従業員からの反応の大きさに驚き、企業が従業員を支援するための対策を強化する機会と考えるようになりました。特に、女性従業員のサポートに関しては、職場環境の再構築や、人工中絶を認めている州への移動支援など、企業が取り組むべき課題となっています​​。

この判決の破棄によって、アメリカ国内での人工中絶に関する法的、社会的な風景が大きく変わり、女性の権利や健康、企業の責任に関する議論が活発になりました。

2023年12月現在での主要な候補者

民主党:

  1. ジョー・バイデン
    経歴:

    ジョー・バイデンは、1942年11月20日にペンシルベニア州スクラントンで生まれ、現在は第46代アメリカ合衆国大統領です。彼は2009年から2017年までオバマ政権で副大統領を務め、1973年から2009年までデラウェア州を代表して米国上院議員を務めました。バイデンはデラウェア大学で学士号を、シラキュース大学で法学の学位を取得しています。政治キャリアの初期には、1970年から1972年までニューキャッスル郡評議員を務めました。上院議員に選出された1か月後、妻と幼い娘が自動車事故で亡くなりました。個人的な損失を乗り越え、政治キャリアを続け、息子ボーを2015年に亡くしています。

    政治的見解と政策:
    バイデンは一般的に民主党の中道または中道左派と見なされています。彼の政策はしばしば中産階級と労働階級のアメリカ人のニーズに焦点を当てています。彼はキャンペーン資金改革、1994年の暴力犯罪対策法、2009年のアメリカ復興・再投資法、学生の税控除を支持しています。バイデンは、二酸化炭素排出量の上限設定と取引、インフラ支出の増加、大量輸送、再生可能エネルギーの補助金、学生ローンの免除、富裕層と企業への共和党の減税の逆転を提唱しています。彼は、単一支払者システムではなく、公共の健康保険オプションを通じてオバマケアを拡張することを支持しています。バイデンは連邦レベルで大麻の非犯罪化を支持し、2012年以来、同性結婚を公然と支持しています。また、彼は「ロー対ウェイド」判決を支持し、2019年以降ハイド修正案の撤廃を支持しています。

  2. ディーン・フィリップス
    経歴:

    ディーン・フィリップスは、アメリカ合衆国の政治家で、民主党に属しています。彼はミネソタ州からの連邦議会下院議員を務めており、特にビジネス界での成功によって知られています。フィリップスはビジネスと法律の学位を持ち、家族経営の企業であるフィリップス蒸留所での経験を持っています。また、彼は数多くの社会福祉プログラムと慈善活動に関わっており、社会貢献と地域社会との結びつきを重視しています。

    政治的見解と政策:
    フィリップスは中道から中道左派の立場を取り、経済的平等、社会正義、環境保護を強調しています。彼は企業と政治の透明性を推進し、選挙資金の規制強化を支持しています。また、フィリップスは公共の健康保険オプションの拡張や、気候変動対策への強い取り組みを主張しており、再生可能エネルギーへの投資を推進しています。教育と労働者の権利に関しても、アクティブな政策を提案しており、中産階級の強化を目指しています。

  3. マリアンヌ・ウィリアムソン
    経歴:

    マリアンヌ・ウィリアムソンは著名な著作家であり、スピリチュアルリーダーとしても知られています。彼女は多くのベストセラーを執筆し、精神的および道徳的な問題に焦点を当てた書籍で広く認識されています。ウィリアムソンは非伝統的なバックグラウンドを持ち、政治的キャリアよりも精神的・心理的な領域での影響力で知られています。彼女は多くの慈善活動にも関わっており、社会問題に対する深い洞察と関心を持っています。

    政治的見解と政策:
    ウィリアムソンは、社会正義、愛、平和を強調する非常にプログレッシブな政策を提唱しています。彼女は包括的な教育改革、環境保護、および経済的平等を推進し、特に貧困撲滅と社会的不平等の解消に注力しています。ウィリアムソンはまた、精神的健康と心の平和を重視し、これらを社会的および政治的議論に取り入れることを主張しています。彼女は外交政策においても平和主義を強調し、国際協力と非暴力を支持しています。

共和党

  1. ドナルド・トランプ
    経歴:

    ドナルド・トランプは第45代アメリカ合衆国大統領で、2017年から2021年までその職にありました。彼はニューヨーク市出身で、不動産開発業者および実業家として知られています。トランプはペンシルベニア大学のウォートン・スクールを卒業し、その後家業のトランプ・オーガニゼーションを引き継ぎました。彼はまた、テレビリアリティショー「ジ・アプレンティス」のホストとしても広く知られています。大統領としての彼の任期は、政治的な伝統に挑戦し、多くの論争を引き起こすことで特徴づけられました。

    政治的見解と政策:
    トランプの政治的立場は保守的であり、特に移民政策、貿易、および外交政策において強硬な姿勢を取りました。彼は不法移民の取り締まり、壁の建設による国境の強化、およびアメリカ第一主義に基づく外交政策を推進しました。経済政策では、税制改革や規制緩和を行い、特に企業税の減税を推進しました。環境政策では、パリ協定からの離脱など、気候変動に対する懐疑的な立場を取っています。

  2. ロン・デサンティス (フロリダ州知事)
    経歴:

    ロン・デサンティスはフロリダ州知事であり、以前は米国下院議員を務めていました。イェール大学およびハーバード大学の卒業生で、海軍での勤務経験も持っています。彼は特に強硬な保守派として知られ、フロリダ州の知事としての彼のリーダーシップは、特にコロナウイルス対策や教育政策において注目されました。

    政治的見解と政策:
    デサンティスは、伝統的な保守派の価値観を強く支持しています。彼は小さな政府、低税、および規制緩和を提唱しています。また、強硬な移民政策を支持し、州の権限の拡大を推進しています。デサンティスは、公立学校における批判的人種理論(CRT)の排除や、政府によるCOVID-19ワクチン義務の反対など、教育および公衆衛生に関する政策でも注目されています。

  3. クリス・クリスティ (元ニュージャージー州知事)
    経歴:

    クリス・クリスティは元ニュージャージー州知事で、2010年から2018年までその職に就いていました。彼はデラウェア大学とセトン・ホール大学法学部の卒業生で、法律の専門家としてのキャリアを持っています。知事としての彼の任期は、様々な財政改革や教育改革に取り組んだことで知られています。

    政治的見解と政策:
    クリスティはモデレートな共和党員として知られ、特に財政政策と教育改革に焦点を当てています。彼は州の予算均衡を推進し、州の年金制度の改革に取り組みました。また、クリスティは教育制度の改革にも熱心で、教師の評価システムの変更やチャータースクールの拡大を支持しています。彼はまた、麻薬依存症対策にも力を入れており、治療とリハビリテーションプログラムの拡充を提唱しています。

  4. ラリー・エルダー
    経歴:

    ラリー・エルダーは、アメリカの弁護士、作家、およびラジオおよびテレビのパーソナリティです。彼はロサンゼルス生まれで、ブラウン大学とミシガン大学法学部を卒業しています。エルダーは特にその保守的な政治的見解と、社会問題に対する直言不遜なアプローチで知られています。彼は長年にわたり、ラジオ番組を通じて政治的議論に参加し、多くの著書を通じてその見解を広めてきました。

    政治的見解と政策:
    エルダーは強硬な保守派として知られており、自由市場経済、低税政策、および政府の規模縮小を支持しています。彼はまた、学校選択制度の強化や、犯罪対策としての厳罰化を提唱しています。エルダーは、移民政策に関しても厳格な立場を取り、法と秩序の強化を主張しています。また、彼はアメリカの伝統的な価値観と文化的な正統性を強く支持しています。

  5. ニッキー・ヘイリー (元国連大使)
    経歴:

    ニッキー・ヘイリーは、元国連大使であり、サウスカロライナ州の元知事です。インド系アメリカ人としては初の州知事であり、国連大使としてはトランプ政権下で勤務しました。ヘイリーはクレムソン大学を卒業後、家族経営の衣料品会社でキャリアを積み、その後政治の道に進みました。知事としての彼女の任期は、経済成長と教育改革に焦点を当てたことで知られています。

    政治的見解と政策:
    ヘイリーは伝統的な保守派の価値観を持ちながらも、比較的モデレートな立場を取っています。彼女は経済成長と財政の均衡を重視し、教育改革と労働力の強化にも熱心です。国際政策においては、アメリカの強いリーダーシップと国際的な連携を支持しています。また、移民政策に関しては、合法的な方法での移民の促進と、不法移民に対する厳格な取り締まりを提唱しています。

無党派など

  1. ロバート・F・ケネディ・ジュニア
    経歴:

    ロバート・F・ケネディ・ジュニアは、著名な環境法の専門家で、政治家の家系に属しています。彼はハーバード大学とバージニア大学法学部を卒業し、環境保護活動において顕著な役割を果たしています。ケネディは、環境問題に対する広範な知識と情熱を持ち、特に水質保護や再生可能エネルギーへの取り組みで知られています。彼は環境保護団体であるウォーターキーパーズ・アライアンスの主導者としても活動しており、公共政策における環境問題の重要性を強調しています。

    政治的見解と政策:
    ケネディの政治的立場は、環境保護と持続可能な発展に大きく焦点を当てています。彼は気候変動対策の強化、再生可能エネルギーへの投資増加、および環境法の厳格な執行を支持しています。また、ケネディは公衆衛生と環境正義にも熱心で、汚染の影響を受けやすいコミュニティへの支援を提唱しています。彼はまた、ビジネスと環境保護の間のバランスを見つけることを目指し、持続可能な経済発展を支持しています。

  2. コーネル・ウェスト
    経歴:

    コーネル・ウェストは、進歩主義者であり、哲学者、政治活動家、および批評家です。彼はハーバード大学とプリンストン大学で教鞭を取り、アフリカ系アメリカ人研究や民主主義理論における深い洞察で知られています。ウェストはまた、社会正義と平等に関する数々の著書を執筆しており、人種、階級、性別に関連する問題についての鋭い議論で知られています。彼は公民権運動に深く関わり、多くの社会問題について発言しています。

    政治的見解と政策:
    ウェストの政治的見解は進歩的であり、社会的および経済的平等を強調しています。彼は人種差別、貧困、および社会的不公正に対抗するための政策を支持しています。また、ウェストは教育、健康保険、および労働者の権利の改善を提唱しています。彼はまた、アメリカの外交政策における非軍事的および外交的アプローチを支持し、軍事介入の削減を求めています。ウェストはまた、民主的な参加と市民社会の強化を重視し、より公正で包括的な社会の実現を目指しています。




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