【国際ニュースを分かりやすく解説!】中露会談:中国の習近平国家主席が、ロシアのミシュスチン首相と北京で会談を実施
ニュースの内容
概要
2023年12月20日に行われた中国の習近平国家主席とロシアのミシュスチン首相の会談は、両国関係のさらなる強化を目的として行われました。この会談は、北京で開催され、両国の関係を深めるための重要なステップとなりました。
習近平主席は、中国とロシア間の年間貿易額目標2000億ドルが予定より早く達成されたことを歓迎しました。この目標は当初2024年までの予定でしたが、1年前倒しで実現されたことが強調されました。習主席は、来年の国交樹立75周年を新たな出発点として、両国のハイレベルな政治的関係をさらに強化し、プラスの効果を増幅させたいと述べました。
一方、ミシュスチン首相は、約32兆円に相当する80の共同プロジェクトが両国間で実施されており、その90%以上がドルではなく、人民元とルーブルで取引されたことを明らかにしました。これは、ロシアによるウクライナ侵攻後、中国とロシアが政治や経済の分野で結束を強める一環として解釈されます。
この会談は、中国とロシアが対立するアメリカを念頭に置きながら、政治や経済の分野での連携を深めていることを示しています。両国は、特に経済・貿易やエネルギー分野での協力を進めています。
よく分かる解説① 第二次世界大戦後の中露(中ソ)関係
1949年~1950年代初頭:同盟関係の形成
1949年に中華人民共和国が成立した当初、ソビエト連邦は中国共産党を支援し、両国は同盟関係を築きました。
1950年の中ソ友好同盟相互援助条約は、この時期の関係の強さを象徴しています。
1950年代後半~1960年代:関係の悪化
1950年代後半から1960年代にかけて、中国とソビエト連邦の関係は急速に悪化しました。
この時期の主な原因は、毛沢東の中国とニキータ・フルシチョフのソビエト連邦との間のイデオロギーや国際政策に関する深刻な対立です。
1960年代には、中ソ対立が顕著になり、両国間の緊張が高まりました。
1970年代:関係の更なる悪化と軍事衝突
1970年代初頭、特に1969年の中ソ国境紛争は、両国間の緊張をさらに高めました。
この時期には、両国は互いに大規模な軍事力を国境地帯に展開し、冷戦の中で新たな緊張の源となりました。
1980年代:関係の正常化
1980年代に入ると、特にソビエト連邦のミハイル・ゴルバチョフによる改革政策(ペレストロイカとグラスノスチ)が進むにつれ、中国とソビエト連邦の関係は徐々に改善しました。
1989年の北京訪問でゴルバチョフは、中国との関係正常化を象徴的に示しました。
1991年以降:ロシア連邦時代
ソビエト連邦の崩壊後、ロシア連邦となったロシアは、中国との関係を再構築しました。
2000年代に入ると、両国は経済、エネルギー、安全保障の分野で協力を強化しています。
現代:戦略的パートナーシップ
21世紀に入ってからは、ロシアと中国は「戦略的パートナーシップ」を宣言し、経済的、軍事的、政治的な分野での協力を深めています。
両国は、国際政治の多極化、世界経済のグローバル化、地域安全保障問題など、さまざまな分野での共同利益を追求しています。
よく分かる解説② ウクライナ侵攻後の中露関係
ウクライナ信仰に対する中国の見解
ロシアによるウクライナ侵攻後の中国の立場は、複雑なものとなっています。中国は、対話による紛争解決を支持し、ロシアとウクライナの直接対話を通じた全面的な停戦を呼びかけています。この姿勢は、中国外務省が発表した「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」という文書により明確にされています。この文書では、「すべての国の主権と独立、領土の一体性は保障されなければならない」と強調されており、冷戦思考を捨て、アジアとヨーロッパの平和と安定を守るべきだとしています。
中国は、紛争解決のための具体的な仲介策を提案していませんが、一方で、核兵器の使用や威嚇に反対し、化学兵器の使用や原子力発電所などの平和的な原子力施設への武力攻撃にも反対する姿勢を示しています。また、中国は欧米などからの一方的な制裁や圧力は問題解決に役立たないばかりか、新たな問題を生み出すと主張し、制裁を受けるロシアに対する配慮を示しています。
経済的関係
エネルギー分野の協力強化: ウクライナ侵攻により西側諸国からの制裁を受ける中、ロシアはエネルギー輸出の多様化を図り、中国とのエネルギー取引を拡大しています。天然ガスや石油の供給契約の拡大がその一例です。
貿易関係の深化: 侵攻後、ロシアと中国間の貿易は増加傾向にあります。ロシアは食料品、原材料、工業製品などの輸出を中国向けに拡大しており、中国はロシアに対する技術や機械などの輸出を増やしています。
通貨スワップ協定: 両国は米ドルに依存しない決済システムの構築を目指しており、人民元やルーブルを使用した取引が増えています。これにより、国際金融市場での影響を軽減しようとしています。
軍事的関係
共同軍事演習: ウクライナ侵攻後も、中国とロシアは定期的に共同軍事演習を行っています。これは両国の軍事的な連携を強化し、戦略的パートナーシップを象徴しています。
軍事技術の協力: 中国とロシアは軍事技術の分野でも協力を進めており、ロシアは中国への最新兵器システムの売却や技術移転を行っています。これにより、中国の軍事力はさらに強化されています。
情報共有と戦略的調整: 両国は情報共有や戦略的調整を通じて、国際的な軍事的・政治的な影響力を高めようとしています。特に、アメリカやNATOとの対抗姿勢を示す場面では、この協力が顕著になっています。