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年末は「思い出し」よりも「振り返り」を。

(有料設定していますが、すべて無料で読めます。ワークシートは最下部)

師走の慌ただしさが街を包む、今日このごろ。
わたしたちは、また一つの年を越えようとしている。

「来年度に向けて…」
「来年こそ、◯◯をする」
「今年できなかった分は来年に…」

そんな言葉が、アチコチから聞こえてくる。

そして、これらの言葉の主役は、

「来年」

だ。

なんだか、ほんのりと違和感を覚える。

「来年」を主役に据えて、本当にいいのだろうか、と。

毎日が「次」を求められる時代。

会議が終われば、次の会議。
昼食が終われば、夕飯の準備を考える。
結婚したかと思えば、「これからが本番だ」と言われる。
休日を楽しんでいても、明日の仕事を思い出して酒の味がしなくなる。
SNSの通知を消したと思ったら、その背後にはセールの通知が待ち構えている。

次、次、次、次、次。

なんだか、せわしない。とにかく。

「ちょっとまってくれ。一息つかせてくれ」

そう言いたくなる。

息つくヒマもなく、アレやコレやが押し寄せてくるのだ。

そこで、足を止め、立ち止まり、振り返る意義をつづる。


1.なぜ、「振り返り」をするのか。


古くから…

船乗りは航海日誌をつけてきた。
その日の天候、進んだ距離、起きた出来事。
そして、どんな判断をしたのか。

凪の時の工夫。
嵐の中での判断。
予想外の出来事への対応。

これらの記録が、次の航海の道しるべとなる。
そして、後に続く船乗りたちの財産になった。

だからこそ、手間を惜しまず、航海の振り返りを記録してきた。

私たちの人生も似ている。
前進することだけを考えていたら、

凪に苦しみ、
嵐に飲み込まれ、
予想外の出来事に四苦八苦する。

つまり、同じ失敗を何度も繰り返し、
新たな道を歩むときは常にゼロスタートになる。

そう。それは過去の経験を財産にしていないからだ。

作家であるリリアン・スミスもこんな言葉を遺している。

『どんな遠くに旅をしても、その距離だけ内面へも旅をしなければ、どこへも行きつくことはできません』

Lillian Eugenia Smith


わたしたちには、必要なのだ。立ち止まる時間が。
足を止め、これまでの歩みを振り返る時間が。

・いつ、振り返りをするのか?


自分なりの「区切り」がベストタイミングだ。

特に、この1年という区切りは、私たちに立ち止まる機会を与えてくれる。

「今年の漢字」が選ばれ、
「今年の出来事」が特集され、
「今年の顔」が決められる。

忘年会なんかでは「どんな1年だった?」と投げかけられる。

社会全体が、1年間を振り返るムードになり、振り返りをしやすくなる。

振り返りは、未来の自分が迷うことなく快適に歩み続けるための、地図を作る時間だからこそ、必ず時間をかけたい。


2.「思い出し」と「振り返り」の違い


実は、振り返りは奥が深い。

「写真や手帳を見返して、思い出に浸ればOK」というワケでもない。

それでは、航海日誌に書けることは「天気が良く気持ちいい」程度のことになってしまう。

これはいわゆる「思い出し」であり「振り返り」ではない。

「思い出し」は過去を再生すること。
「振り返り」は過去から学ぶこと。

この違いは、とても大きい。

・ 思い出しとは?

「思い出し」とは、記憶の引き出しから、そのままの状態で取り出すこと。

「あの日は晴れていたなぁ」
「あの時は緊張したなぁ」
「楽しかったなぁ」

それだけでは、ただの感想だ。

もちろん、「思い出し」にも大切な役割がある。

楽しい思い出は、心を温かくする。
辛いときの支えになることもある。
時には、忘れかけていた大切なことを呼び覚ましてくれる。

家族との思い出。
友人との思い出。
あの日見た景色の思い出。

これらは、私たちの心の栄養になる。

ただし「思い出し」だけでは、前に進むための力にはなりにくい。

なぜなら「思い出し」には「未来に活かす」の視点がないから。

だからこそ、「振り返り」が必要になる。

・振り返りとは?


プロのスポーツ選手で考えてみたい。
彼らは必ず、その日の試合を振り返る。

「このプレーがうまくいったのは、なぜだろう?」
「チーム全体が調子よかったのは、どんな準備をしたから?」
「あのパスが決まったのは、どんな予測ができていたからだろう?」

うまくいかなかった時も。

「何をどうすれば改善するか?」
「どうすれば、もっと良くなるか?」

単に思い出すのではない。

「上手くいってよかった」ではなく、「なぜ上手くいったか?」を考える。
「失敗して悔しい」ではなく、「どうしたら上手くいくか?」を探る。

そして「次」につなげる。

普段の生活でも、同じことが言える。

「今日のプレゼン、反応が良かった」

これは「思い出し」だ。

「どの話し方が響いたんだろう?」
「資料のどんな工夫が効果的だったか?」
「聞き手の表情が変わったポイントは?それはなぜ?」

これが「振り返り」になる。

一流の料理人も同じだ。

「喜んでもらえてよかった!」

これは「思い出し」で、

「なぜ、喜んでいただけたのか?ー盛り付け?説明?雰囲気?」
「今後も喜んでいたくためにはどうする?今回の経験をどう活かしていくか?」

これが「振り返り」だ。


・振り返りはプレゼント


つまり、振り返りは。
単なる過去との対話ではない。

成功体験に再現性をもたらし、
より良い未来を創るための時間である。

振り返りは未来の自分へのプレゼントを贈るようなものだ。
過去の航海日誌が、未来の航海の道しるべとなるように。

3.では、1年を振り返るために


年末という特別な時期に、どう振り返りをすればいいのか。

まずは、思い出を網羅することから始める。振り返りはそのあとだ。

・まずは、大きな流れをつかむ


一年をクオーターごとに区切ってみる。

1〜3月の印象的なできごとは?
4〜6月の印象的なできごとは?
7〜9月の印象的なできごとは?
10〜12月の印象的なできごとは?

出来事を思い出していくコツはいくつかある。

まずは、スマートフォン。
写真を見返してみると何気なく撮った一枚一枚に、その時々のエピソードが盛り込まれている。

わたしの「思い出し」の例はこちら👇️

このようにNotionにて、10部門に分けてまとめている。


そして、カレンダー。
見返してみると、食事、ミーティング、あの旅行と思い浮かぶ。

こうやって時系列で見ると、見えてくるものがある。

「あの失敗が、実は次の成功につながっていた」
「あの出会いが、新しい可能性を開いてくれた」
「小さな変化の積み重ねが、大きな変化を生んでいた」

と。

・視点を変える


その他、一年間の出来事を、違う角度から見てみるのも有効だ。

「人との出会いという切り口では、今年はどうだった?」

新しい仲間との出会い。
久しぶりの再会。
思いがけない場所での縁。

「学んだことという視点では、今年はどうだった?」

新しいスキル。
気づいた自分の特徴。
深まった理解。

「変化したこと」という観点では、今年はどうだった?」

考え方の変化。
行動の変化。
周囲との関係の変化。

このように問いの切り口を変えていくことで、多面的に振り返ることもできる。


・誰かと振り返る


誰かと振り返るとそれが呼び水となり、様々な出来事を思い出す。

もちろん、コーチをつけている人はコーチにお願いするのがベストだ。ただ、日常会話でも振り返りはできる。


例えば、忘年会での何気ない会話かわ思い出すこともある。

「今年、大変だったことは?」
「一番印象に残っていることは?」
「来年、チャレンジしたいことは?」

友人とのざっくばらんな会話からも。

「今年はどうだった?」
「どんな場所にいったの?」
「どんなチャレンジした?」

そんな会話から記憶を手繰り寄せることはできる。


・「思い出し」から「振り返り」へ


「今年も色々あったなぁ」

これは「思い出し」の入り口。

そこから、問いを重ねていく。

「あの成功は、なぜ生まれたのか?」

準備は十分だったか。
チームの関係性はどうだったか。
どんな工夫が効果的だったか。

「あのしんどい体験を、どう乗り越えたのか?」

誰かの支えはあったか。
どんな決断が重要だったか。
何が転機となったか。

「あの変化は、どんなきっかけから始まった?」

始まりは何だったのか。
どんな小さな一歩から動き出したのか。
継続できた理由は何か。

思い出が未来への学びや教訓となるよう、丁寧に掘り下げていく。


・リアルなケース


リアルなケースもいくつか挙げる。

<クライアントAさんのケース>
・思い出したこと

「チームの雰囲気が良くなった」
・振り返った気づき
「毎週金曜日の15分、チーム内で『良かったこと』を共有する時間を作った」 「メンバーの小さな工夫を見つけたら、すぐにその場で称賛するようにした」
「オンラインでも、最初の5分は雑談の時間を確保した」
その結果、メンバーからの提案が増え、残業時間が2割減。

<クライアントBさんのケース>

・生活改善を目指したBさん
これだけでは「思い出し」。

<クライアントBさんのケース>
・思い出したこと

「なんとなく体調が良くなった」
・振り返った気づき
カレンダーを見返すと…
「休日の行動パターンを変えていた」
「寝る前のスマホを見る時間を減らしていた」
「起きてすぐにテレビをつけるのをやめ、コーヒーを入れていた」
その小さな習慣の変化が、確実な変化を生んでいた。

このように振り返りをすることで

「自分の大切にしたい価値観は◎◎だ」
「自分が上手くいくパターンは◎◎だ」
「自分の上手くいかないパターンは◎◎だ」
「□□な状況だとパフォーマンスが高まる(あるいは低くなる)」
「…だからこそ、来年は◎◎をしていこう!

などと、より良い未来を創るためのヒントが見えてくる。

年の瀬は、特別な振り返りの時期だ。
ただ、肩ひじ張る必要はなく、楽しみながらやることが何より大切だ。

友人とお酒を酌み交わしながら語り合うのも、
大掃除をしながら、部屋の変遷を振り返るのも、
こたつで家族と一年を語り合うのも。

それぞれの方法で、
それぞれのペースで、
ゆっくり振り返るのをオススメしたい。

・おまけ|手を借りたい人へ


もちろん、振り返りは簡単ではないかもしれない。

「どこから始めていいかわからない」
「つい、感想だけで終わってしまう」
「いつも同じような振り返りになる」

と。

また、振り返りをして自己嫌悪になるケースもある。
もしそうなったとしたら、それは振り返りではなく、ただの自己批判となる。未来のプレゼントではなく、罰ゲームのようなもの。

そんな時は、二つの選択肢がある。

・プロの手を借りる


一つは、コーチの力を借りること。
世の中にはコーチングサービスがたくさんある。
コーチとの対話を通じて、新しい視点や気づきが生まれる。

ちなみに…

弊社もコーチングサービスをやっているが、あいにく単発向けのサービスではない。真剣に人生やキャリアを好転させたいと願っていたり、本気でゼロイチに挑戦する人向けに、中長期のサポートに特化している。

このため、単発でのコーチングサービスを探してお願いするのがオススメだ。

・ワークシートを使う


もう一つは、振り返り用のワークシートを活用すること。
ワークシートも色々とあるため、それを補助線に振り返りをすることも有効だ。

ワークシートの選び方は…

① 思い出を網羅できる
② 振り返りをできる
③ 学びや教訓を言語化できる

この3つの要素が含まれているシートを選ぶことが望ましい。


「ワークシートを探すのが面倒」
「コーチングに特化したシートを使いたい」
「ステップバイステップで、しっかり未来につなげたい」

そんな方は…

ここに、わたしがコーチングのバディ用に作成した「振り返り用のワークシート」がある。

写真は2023年版
写真は2023年版

これを活用するのも1つかもしれない。

ただ、身銭を切ってコーチングを受けてくださるバディに向けて作成した手前、「無料であげます」とはさすがに言えない。

もし、必要性を感じた方は最下部からワークシートをダウンロードしてお使いください(1回数万円のコーチングを受けるよりはリーズナブル)

ダウンロード内容↓

<Reflection Note(リフレクションノート)2024年版>
・形式:PDF
・ページ:35ページ
・見出し
1.過去の思い出し
2.過去の振り返り
3.未来を紡ぐ
・所要時間
じっくりやって4〜5時間ほど
・特徴
問いを中心とした非常にシンプルなワークシート
<おまけ>
この記事にも一部だけスクショで載せていた「オオサカヤの個人的な思い出し」のNotionリンクもおまけ程度に

おまけはこれの全体像↓


ワークシートはこちらから↓
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(バディで最新版が欲しい方は直接お知らせください)

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