「できない」を「できる」に変える_行動力を高めるコーチング的アプローチ
「明日からは本気出す!」
誰しも人生で一度や二度、言ったことがあるであろう、この宣言(わたしは何度も言ったことがある)
そして、宣言からものの数日で…
「明日からダイエットをする!」決意したがコンビニでついお菓子を買う
「今度こそ英語を勉強する」と意気込んで買った教材が本棚で静かに眠ってる
こんな結末を迎えることも、少なくない。
いわゆる「わかっちゃいるけど、できない」というやつだ。
心当たりのある人は、もしかしたら「自分には行動力がない...」と自分を責めているかもしれない。あるいは、もう「できない人間なんだ」と決め込み、諦めモードに入っているかもしれない。
でも、ちょっとまってほしい。
一般的に、行動力というと「意思力」「根性」「性格」といった言葉を思い浮かべる。しかし、実はそれは大きな誤解なのだ。意外かもしれないが、行動力を高めるカギは「頑張らないこと」「力を抜くこと」にある。
人生の後悔、実はこんなところに
「でも、行動力って必要?いらなくない?」
そんなギモンも浮かぶのではないだろうか。
たしかに、行動力なんてなくても、今の日本社会であれば食べていけるし、生きていける。
しかし、アメリカの心理学者ダニエル・ギルバートの研究では、興味深い事実を示している。
それは
このような研究結果だ。
つまり、「告白して振られた」という事実より…
このような何もしなかった後悔の方が、心に長く残るのである(学生時代を振り返ると、胸が締め付けられる思いだ)
アメリカの作家マーク・トウェインは、この真実を見事な言葉で表現している。
まさにど真ん中である。偉人顔をしている彼もまた、告白未遂に終わったことがあるのかもしれない。
やはり、後悔はイヤだ。
でも、朗報はある。それは、行動さえしておけば後悔なく充実した毎日を送ることができる。そんな可能性があるのだ。
行動力の最大の敵
「行動力がない原因は、怠けグセだ」
そう考えている人も多いかもしれない。だが、本当の犯人は別のところにいる。それは、
この考え方。
そう。完璧主義だ。これこそが行動力の最大の敵である。
「失敗するかもしれないから、やめておく」
「完璧にできないくらいなら、やらない方がマシ」
これまた頻出しがちな言葉ではないだろうか。
実は、行動力を奪う最大の敵は完璧主義である。これは、対人支援の現場で頻繁に目にする。
ある研究によると、完璧主義傾向が高い人ほど、プロジェクトの開始が遅れ、結果として生産性が低下するという。
言われてみれば、なるほど。そう思える話である。この世に完璧なものなど存在しないことを考えると、完璧を目指し始めた時点で「負けゲーム」なのである
誰もやりたくない。負けゲームなんて。
だから、いつまでも着手が遅れるのだ。
行動力を高めるアプローチ
では、どうすれば行動力を高められるのか。
スタンフォード大学のBJ・フォッグ教授が興味深いアプローチを提案している。それは「新しい行動を始める最も効果的な方法は、とにかく小さく始める」というものである。
拍子抜けしただろうか。
しかし、これが効果てきめんなのである。
例えば、
このような壮大な目標があるとしよう。
その壮大な目標の実現にむけたアプローチとして、惜しいアプローチと望ましいアプローチを見てみたい。
まずは、惜しいアプローチを。
これだとハードルが高すぎて挫折の確立が高すぎるのだ。
では、望ましいアプローチを。
なんだか物足りない気がするだろうか。
物足りないくらいがちょうどいいのだ。実は。
なぜなら、大きなことをやろうとして三日坊主になるより、着手が遅れたり、何もしないよりは、小さな行動を着実に続けることで何かは必ず生まれる。
小さな雪玉と同じだ。
最初はほんの数センチの雪玉でも、転がし続けることで、やがて大きな雪だるまになる。
BJ・フォッグ教授の言う「新しい行動を始める最も効果的な方法は、とにかく小さく始める」の要はそこにあるのだ。
行動を続ける3つの扉
行動を続けるための3つの重要な原則がある。それは以下の3つである。
1.決めたこと以上にやらない
だからこそ、やる気マックスの時でも、決めた量だけに留める。これが意外と難しい。しかし、これがとても大切なのだ。明日の自分にも優しくしよう。
2.やることを徹底的に具体化する
だからこそ、「毎日ストレッチする」という抽象的なものではなく「朝7時に寝室の床に座って、3分間だけ腕を伸ばす」くらい具体化する。
つまり「えっと、どうしよう」という迷う余地を残さないということだ。それが実は自分自身げの優しさなのだ。
3.何が何でも着手する
だからこそ、不完全でも、どんなに小さな行動でも、必ず「着手」はする。終わらなくてもいい、始めることが大事だ。そして、着手した自分を称賛する。この小さな一歩の積み重ねが、いつの間にか大きな変化を生む。
24年越しの夢が、6ヶ月で実現したワケ
ここで、ある実例を紹介したい。
クライアントのBさん(仮名)は、新卒の頃から「いつか起業したい」という夢を持っていた。しかし「準備ができたら起業する」と考え続け、気づけば40代半ば。
「これが最後のチャンス」
そんな想いで、コーチングにやってきたのだ。
Bさんと一緒にビジョンやアクションプランを描いていく中で、小さな一歩を重ねていった結果、なんとわずか6ヶ月で起業を実現させたのである。
24年も温め続けていた思いが、たった6ヶ月で形になった。まるで映画のような展開だが、これは紛れもない事実なのだ。
Bさんは特別なことをしたわけではない。
「とにかく小さく始め、それをやり続けた」
これだけである。
「こんなことなら、もっと早くやっておけばよかった」
と、Bさんは言った。
そこでわたしは、ある小説の一節をお伝えした。
やろうと思った時が、やり時なのだ。
また、アメリカの作家ヘミングウェイもこう語っている
なにかを初めるとき。最初は小さくていい。完璧を求めず、まずは一歩を踏み出してみるのだ。
今この瞬間から、どんなに小さなことでも構わない。あなたも新しい一歩を踏み出してみてはどうだろうか。その一歩が、より豊かな人生への扉を開くはずである。
まとめ:明日からできること
1.行動力の新しい理解
行動力は「根性」や「頑張り」の問題ではない
「力を抜くこと」「小さく始めること」が重要
やらないことへの後悔は、失敗への後悔より大きい
2.実践の3つの扉
決めたこと以上やらない
今日の張り切りすぎは、明日の諦めを生む
小さくても続けることが大切
徹底的に具体化する
「毎日ストレッチ」ではなく
「朝7時に寝室で3分間」と決める
必ず着手する
不完全でも始めることを選ぶ
小さな一歩の積み重ねが、人生を変える
3.明日からできること
・「〜まで終わらせる」という言葉を「〜から始める」に置き換える
完璧を目指さず、小さく始めること。それが、新しい一歩となる。
終わり。
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今回の内容はポッドキャスト番組「コーチングラジオ」でも語っている。