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ゲゲゲの"着"太郎
※こちらの記事は以前、2017年7日に我がはてなブログに書いていた記事となっております。
衣食住で生きる我々にとっては欠かせぬ事柄の一つ。
「オシャレ。」
しかし日本では樹海の次に迷いを導き、仕舞いには我を失う事柄の一つでもあろう。
そんな迷よえる者を救う存在として、日本では「WEAR」なるアプリが存在している。
自らも日本のアパレル業界で働く身であったので登録はしてみたが、数日で消してしまった。
トレンドと呼ばれる似通ったシルエットに身を包む者の写真が並べられる光景にオシャレのゲシュタルト崩壊を引き起こされ、むしろこれはテトリスの要領で同じカラーのコーデ写真が横一に埋まった瞬間に彼らは消え去ってしまうのでは?という余計な心配までさせられたからである。
物事を斜めから見てしまう歪んだ俺には、この均一な光景はそもそも向いていないのだ。
しかしアプリは消せど、メルマガが定期的に送られてくる。
最初こそスルーしていたが、何通も送られてきたものをバーっと、ある日見返してからというものの、毎週のささやかな楽しみへと変化していった。
週毎に特集されるトピックや、それに付随するコーデ達がなかなかのインパクトなのである。
その一部を是非ともご紹介させていただきたい。
①「『抜け感』で魅せる大人のリラックスコーデ」
大人がリラックスして抜けてしまうだなんて、金曜夜の新橋の呑み屋街に行けば容易に見れてしまう光景が頭につい浮かんでしまうが、どうやらそういうことではないらしい。
添付されたスナップ男子達は、8割方、髪がゲゲゲの鬼太郎の如く前髪に反目を覆われ左横を向いている。
左横に妖気を感じているのであろう。
そして、これがその"抜け"なのだろうか。サンダルを履く者が多いのだが、それこそリモコン下駄であり、これがその"リラックス"なのだろうか。ジャケットを片手に抱える者も目立つが、それこそ鬼太郎のちゃんちゃんこ投げの瞬間に見えてきてしまうのである。
そんな戦闘準備万端な状況で、彼らはリラックスしている場合なのであろうか。
"トップスがビッグシルエットならパンツを細身にしたり、足元をスニーカーでなく革靴で合わせるとラフになり過ぎず綺麗にまとまります。"
革靴だなんて一番リラックスとはかけ離れたものを持ち出しているが、そんな余計なお世話を逐一焼いている俺こそがもっと抜けてリラックスすべきなのかもしれない。
②「『すそ3~5cm』のチラ見せがコツ!春の重ね着お手本コーデ」
"春は重ね着が一番楽しめる季節。シャツやサーマルトップスなどをすそから3cm~5cm出せば、立体感のある雰囲気オシャレに!"だそうだ。
視覚の立体感を出しておきながら雰囲気でまとめようとする、立体感の放棄。
3cm~5cmわざわざ顔を見せた"すそ"の気持ちも考えてあげて欲しい。
③「ワンランク上のBBQコーデで好感度をゲット!」
"今、最も旬なイベントはBBQ!皆さん、食材の準備は然り、服装の準備はできていますか?BBQで毎回悩むのは、やっぱり服装。爽やかに決めつつも、動きやすい服装で女子の視線を引き付けられれば完璧です☆"
もうどこから手をつければいいのか分からない。
BBQで毎回悩むのは服装というが、そんなもので悩む男をBBQに連れてきたところで、単なるでくのぼうであり、居られるだけで迷惑。好感度なんぞ言っている場合ではないであろう。
しかも食材と、服装の準備を同等に並べられている。
スナップを見てみても、2名程、チェックシャツを着ずに肩にかけている。
肉と間違えて服を焼くつもりなのではないかと勝手にこちらがひやひやしてしまう。
④「モテるメンズのお呼ばれフォーマルスタイル」
"いよいよジューンブライドの季節到来♪結婚式や二次会など、ちょっとしたパーティーも増える時期。マナーを守りつつ、オシャレで好感度がある服装をしたい!"
モテるメンズではない俺がお呼ばれされるだなんて、"あの世"しかないが、モテるメンズは華やかな場にお呼ばれされるのであろう。
しかし、ここでもまた"好感度"という言葉が乱用されている。
そしてスナップ男子達、ここでも何故かまた髪型の"鬼太郎"率が高いのである。
やはり彼らも"あの世"からお呼ばれされているのではなかろうか。
そんなこんなで4つほど、気になったトピックを紹介させていただいた。
総合的に言うと、かつてこそ「ギャル」「渋谷系」「原宿系」「B系」などあらゆるジャンルがあった花畑のような光景が、ファストファッションやネットの普及等で世の隔てがどんどん無くなり「オシャレ。」の実態が飽和状態となって、まさにグレーの墓石がただ並ぶ墓場のような光景となり、だからこその"鬼太郎"なのかもしれない。
いつか「旬の"一反もめん"生地で夏の涼しげスタイル♪」「墓場で運動会の時に目立つ☆旬の好感度アップコーデ」などが組まれぬように、もっと皆、おもいおもいに楽しんで日本のファッションがまた盛り上がればいいな。と思うが、しかしそんな懐古的な考えの俺こそがきっと世にしたら成仏できずにさまよう哀れな妖怪なのである。