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【ICMI2023に参加】Estimation of Violin Bow PressureUsing Photo-Reflective Sensors

はじめに

こんにちは。杉浦裕太研究室M1の瑞穂です。
10/9から10/13の5日間、フランス・パリのSorbonne Universityで開催されたThe 25th International Conference on Multimodal Interaction (ICMI 2023)に参加し、「Estimation of Violin Bow PressureUsing Photo-Reflective Sensors」というタイトルでポスター発表をしましたので、報告させていただきます。

研究の概要

今回発表したのは、反射型光センサ(フォトリフレクタ)を用いてバイオリンの弓圧を推定する研究です。バイオリンの演奏は、左手で弦を抑えて音程を決める運指動作と、右手で弓を持ち弦を擦る運弓動作からなります。特に右手の運弓動作は、音色に強く影響すると言われていますが、非常に複雑で習得や指導が難しいという問題があります。
そこで練習支援や演奏記録を目的として、運弓動作の中でも弓圧に着目し、弓圧の定量的な計測を試みました。

演奏時、弓を弦に乗せて圧力をかけると、圧力の大きさに応じて弓の棒と毛の間の距離が変化します。そのため、この距離と圧力の関係がわかれば、距離から圧力を推定できるようになります。

弓に圧力をかけると、弓の棒と毛の距離が変化する様子

本研究ではまず、弓の棒部分にフォトリフレクタを設置し、この距離をセンサ値として取得します。実験では力覚センサの上で弓を滑らせ、そのときの5つのセンサ値と圧力の真値を同時に取得します。距離のセンサ値と圧力のペアの大量のデータを用いて回帰モデルを学習させ、距離と圧力の関係を得ます。これによって、最終的に距離のセンサ値のみから圧力を推定できるようになります。

5つのフォトリフレクタを設置した弓デバイス

論文では弓圧推定の精度について検討し、回帰の決定係数が0.84、平均の絶対誤差が0.11 Nという結果を得ました。

アプリケーションとして、弓圧をリアルタイムに推定し、視覚的にフィードバックする例を示しました。例えば先生やプロの弓圧をお手本として表示し、ユーザの弓圧と同時に表示することで、ユーザは自分の弓圧をお手本に寄せるように練習できます。

リアルタイムに推定した弓圧のフィードバック

当日のフィードバック

実際に弓のデバイスを持っていき、リアルタイムに弓圧を推定するアプリケーションのデモをしながら説明しました。そのためフィードバックの方法や、練習支援への効果を示すユーザスタディについての質問を多くいただきました。

感想

国際学会への参加が初めてで、英語力にもあまり自信がなかったため行く前はとても不安でした。しかし発表では自分の英語がちゃんと通じたことがとても嬉しかったですし、他の参加者の方々が優しく話しかけてくださったので、想像していたよりも緊張せず、学会を楽しむことができました。
また最終日のBanquetの会場がキラキラで厳かな建物でした。

Banquet会場

発表情報

In Proceedings of the 25th International Conference on Multimodal Interaction (ICMI 2023), ACM, 216–223, October 9-13, 2023, Paris, France.

発表ポスター




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