エルのてんかん様発作記録③

前回からの続きになります。
2020年2月16日、エルが一回目の脳波検査を受けました。病院からの説明では脳波検査は全身麻酔ではなく鎮静のみで実施することが可能であるため、体への負担が少ない状態で脳の病気を診断することが出来るということでした。発作が何度も起きていたため、いち早く原因を突き止めて治療を開始したかったのですぐにお願いしました。
朝一番でエルを病院に預け、夕方頃に検査が無事終わったと連絡をもらったのでお迎えに行きました。その日の診察から、担当の先生が院長先生から脳を得意とする先生に交代になりました。
早速脳波検査の結果を聞いてみると、現在のエルは脳圧が高い状態だったため詳しい部分まで脳波ではっきり特定できなかったとのこと。しかし、上手く記録出来た脳波の波形を読むと、てんかんと水頭症の可能性が高いと言われました。まずは今起きている発作を止めるための抗てんかん薬を服用することと、脳圧を下げなければ危険ということでその薬の二種類を処方されました。抗てんかん薬はエクセグラン、脳圧の薬はイソバイドというものです。ひとまずはその薬を服用して発作が落ち着くかを観察しながら、また数日後に通院ということになりました。発作が落ち着いて脳圧も下がってくれば、きちんとして脳波が取れるのため、そのような状態になったら再度脳波検査を行う予定という話もされました。

とりあえず大まかな原因が特定できたと安心して、3人で帰宅しました。しかし、帰りの車でも発作が起き、更に帰宅後も何度も発作が起きました。薬を飲ませたのにどうして、と混乱しながらすぐに病院に電話すると群発発作で危ない状態なので入院させるということになりました。また病院に戻り、すぐに入院の手続きをしました。帰りの車ではこのままエルが死んでしまうんじゃないかと思って涙が止まりませんでした。エルを病院に預けて帰宅してからも最悪の事態になる想像が収まらず、吐き気と頭痛が酷かったことを覚えています。病院からは何かあったら電話すると言われていたので、スマホを握りしめて一睡もできない夜を明かしました。
結局朝まで病院からの電話はなく、少し安心しましたがエルの容体がどうなっているか気が気ではなかったので病院が始まるのと同時に電話をしました。先生から話を聞くと、昨夜はやはりエクセグランで発作を止めることが難しかったようで、フェノバールという抗てんかん薬に切り替えて注射をし、少し落ち着いたということでした。副作用のことを考えるとエクセグランで発作を抑えられるのがベストなようですが、てんかんにも個体差があるのでそれぞれの子で効く薬が違うようです。ひとまず、今は危険な状態から脱したとの話でとにかく本当に安心しました。

夜に旦那が帰宅してからエルとの面会に行きました。まだ目が虚ろでしたが、発作時の表情に比べると少し和らいだように見えました。昨日から見て発作は少なくなっているものの、まだ完全に落ち着いているわけではないということでこの日からエルは数日入院になりました。結局エルの場合はフェノバールの服用だけで発作を完全に抑えることが難しいという判断になり、数日後から臭化カリウムも追加で服用が始まりました。この臭化カリウムがエルにはすごく効果的だったようで、服用を始めた2日後には発作がぴったり止まったんです。エクセグランもダメ、フェノバールもいまいちとなると今後エルはどうなってしまうんだろうって不安だったので発作が完全に止まった時はすごく嬉しかったです。

後から聞くと、フェノバールは単体での使用でてんかん発作の約70%に効果があり、更に臭化カリウムとの併用では約90%に効果がみられるらしいです。しっかりと効く薬が出ている時代で本当に良かったと心から思いました。
エルの発作は止まりましたが、フェノバールの副作用でふらつきが出てしまったりと薬との付き合い方が難しいことも多く、薬の血中濃度を定期的に測りながら出来るだけ少ない量で発作を抑えられるボーダーラインを探りながらの治療になりました。フェノバール、臭化カリウムともに血中濃度を測るにはセンターのような場所に送る必要があって、それもまたなかなか高額なんです。それでもエルがこんなに頑張っているんだから、私たちもエルのために出来る治療は何でもやろう!と必死でした。ちなみにエルが体調を崩したこの2月から、毎月医療費が最低でも10万円以上はかかる生活が始まります。持病のある子がいるおうちはみんなそうだと思いますが、動物の医療費は驚くほど高額で大変ですよね。エルは手術の保険しか加入していなかったので、通院も保証してくれる保険に持病を持つ前に加入することの大切さを痛感しました。まだまだ動物の保険加入率は低いようですが、この記事を読んでペット保険の大切さを少しでも感じてもらえたら嬉しいです。何かあってからでは入れないので、本当に必要かな?と思う若い時期に入っておくのが大切だと思います。

そして今となっての一番の後悔は、発作が止まっていたとしてもてんかん様発作の原因を特定できない個人病院にずっと通い続けるより、発作が一時的にでも止まっているうちに脳神経に強い専門医がいる総合病院・大学病院を受診しておけば良かったということです。MRIを撮りたいという希望も先生に相談していましたが、エルには必要ないと何度も言われてまだ撮れる大切な時期を逃してしまいました。今ではその後に出てきた呼吸器の病気で麻酔のリスクがかなり高くなってしまったため、もう二度と検査のために麻酔をかけることは出来ないだろうと言われています。今脳の病気に苦しんでいるご家族に知ってほしいことがあります。

MRI検査以外で脳の病気の確定診断をすることはかなり難しいです

私たちはその後も個人病院の先生に言われるままに再度脳波検査をして、エルの脳の病気は「てんかん」と「中程度の水頭症」だと診断されました。その後の病院とのトラブル(twitterを見て下さっている方は分かると思いますが・・・)で転院し、すぐに総合病院を紹介されてCTを撮ると結果は違いました。正直今どき脳波のみで確定診断をするというのは・・・と神経科の先生たちは言葉を濁していました。

「CTで見る限り、脳室の大きさからして水頭症とは診断できない」

とはっきり言われました。二次診療という立場上、他の個人病院の診断を否定するようなことは本当は言えないということも聞きましたが、それにしても水頭症ではないし、それどころか中程度にはとても見えないと。よって、脳圧を下げる薬は必要ないのでやめるように指示されました。
今まで個人病院の先生だけを信用して、必要のない検査や投薬でエルに大きな負担をかけていたと思うと本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

結局エルの脳の確定診断は今も出来ないままで、CT検査結果での診断以外に手掛かりがないため脳炎や髄膜炎などの可能性も未だに否定できないと言われています。もちろん健康な子でも麻酔のリスクがあることは理解していますが、原因不明の脳の病気を抱えたまま、いつまた発作が起きるのかも分からずにいることもすごく辛いです。今エルはてんかんという病気で発作が起こっていると仮定して抗てんかん薬のみの服用をしていますが、もし脳炎や髄膜炎など別の原因があった場合はその病気に応じた治療が必要です。しかしエルはもう病気の原因を特定することが出来ないため、今後このまま発作などの神経症状が強くならないことを祈るしかありません。

ちなみに、エルが今通っている病院には日本に数少ない神経科の「認定医」の先生がいらっしゃいます。自分が得意とする分野を掲げて専門医として診察する先生は多くいますが、認定医の資格を取得している先生は日本にはほぼいないそうです。もしも関東周辺で脳や神経の疾患に苦しみ、病院選びに迷われている方がいたらお教えできます。(ここで具体的な病院名などを出していいか分からないので、個人的にお伝えしますね)
他にもここに書いていないことで私たち家族が病気について経験したことについてのご質問などがあれば、答えられることは何でも情報共有したいと思っているので聞いてください。

長くなりましたがここまで読んでくださってありがとうございます。
今、昔のエルと同じような状況で脳の病気に苦しんでいる子が最善の選択をして治療が出来るように心から願っています。

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aya
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