エルの肺葉捻転記録②

かかりつけ病院に無事に到着し、すぐに診察をしてもらいました。

「やっとのことで呼吸している。このままじゃ3日と持つかわからない。」

聴診をして先生が言いました。そんなに悪い状態なんて・・・言葉を失ってしまいました。脳の発作じゃなかったんだ、2日前にすぐに病院に連れてくれば良かった、後悔しても仕方がないけれど、やりきれない気持ちになりました。
そのまま酸素室管理になり、入院。もともと2日後の6月11日に総合病院の神経科を受診することになっていたので、状態が悪ければその日は内科受診に切り替えることになりました。胸が張り裂ける思いでしたが、入院させないと命が危ないと言われていたので、先生に預けて帰宅しました。

次の日に面会に行くと、顔色がだいぶ戻っているように感じました。こんなに苦しそうな呼吸なのにご飯を完食、もっと食べたいと催促までしていると聞いて少し安心しました。このまま明日の総合病院受診まで落ち着いてくれていることを祈るばかりでした。エルは私たちと一緒に帰れると思っていたようで、面会後に離れるとすごく怒った顔でこちらを見ていました。その表情を見てまたしても胸が張り裂けそうでしたが、もう一泊だけ頑張ってねと何度も言って離れました。

そして、6月11日。総合病院を受診することが出来ました。
もう一度レントゲンや血液検査も行い、肺炎がどうなっているかを診察してもらいました。熱は下がっていて、状態は少し安定しているように見えていました。でもレントゲンを見ると、右肺の白っぽさはまだかなりありました。血液検査の数値も悪いまま・・・。今後も肺炎の治療を継続する必要がありますね、との診断でした。

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ただ、総合病院の先生たちも肝臓の数値が異常なことを気にしていました。普通の肺炎でなぜここまでの数値が出るんだろう、と。もしかしたら別の要因で肝臓にも病気があるかもしれないということになりました。今後落ち着いてくるかもしれないけど、不安ならエコーの検査もやっておきますか?と聞かれました。この時あまり深く考えず、一応やっておこうかなと思いお願いしました。

これが二つ目の大きな分かれ道になりました。

思った以上に時間がかかってやっと診察室へ呼ばれると、そこには何故か外科の先生たちもいました。嫌な予感がよぎりました。

「幸い肝臓には何も異常がありませんでした。」
「でも、肺のほうに予想していなかった異常が見つかりました。」

・・・え?肺に?肺炎だけじゃないの?
またしても頭が真っ白になりました。先生たちの険しい表情にただ事ではないことがすぐに分かりました。

肺葉捻転、の可能性が非常に高いです。」

ここで初めて『肺葉捻転』という病名が出てきました。詳しく聞くと、何らかの要因で肺葉の一部がねじれてしまう病気だということでした。胸の深い大型犬やパグといった犬種では発病することがあるが、それでもかなり稀な病気で、総合病院や大学病院でも手術の症例は多くないそうです。ましてやポメラニアンでの肺葉捻転は見たことがないと言われました。
手術をしなければどんどん他の臓器に影響が出て、最終的には死亡する病気です。時間が経てば捻転部分の癒着が進み、手術も困難になるとのことでした。血管などを全て巻き込んで肺が捻転していることで、肝臓に負担がかかっていたために肝臓の血液検査が全て異常値だったとやっと分かりました。レントゲン上だけでは肺炎の所見と勘違いされることが多いようです。

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最初の病院に入院したまま肺炎の治療を続けていたら、手遅れになっていたと思います。肺炎ではなく、肺自体が捻転しているからいくら抗生剤を投与しても、ねじれている部分が戻るはずはありません。
肝臓のためにと思って受けたエコー検査もやっていなかったら病気が見つからずに、やっぱり手遅れになっていたと思います。

正しい病名が分かって本当に良かった・・・。

治療の難しさはもちろんありますが、手遅れになる前に分かったことが不幸中の幸いだったと今は感じています。

続きます。

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aya
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