ワンステップ【がんサバイバー】【がん患者あるある】治療法A,B,C どれがいいですか?と聞かれたら
こんにちは。肺がん患者の会ワンステップです。
ワンステップでは2020年春より、Youtubeで肺がんに関する情報やワンステップのセミナーでの講演など、肺がんとともに暮らすみなさんの生きる勇気につながる(と、うれしい・・・)動画を配信しています。
noteでは、肺がんの患者さんやそのご家族以外のみなさんへも、この情報をご覧いただく機会になれば、と思いYoutubeにアップロードした動画の中から毎回1つずつ動画をご紹介しています。
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今回の動画は、【がん患者あるある】治療法A,B,C どれがいいですか?と聞かれたら です。
今回のテーマは【がん患者あるある】治療法A,B,C...どれがいいですか?と聞かれた場合どうする?です。
がんにかかり、不安な気持ちでいっぱいな中、お医者さんに、いきなりそう言われて困ったという患者の声は何回も聞いたことがあります。ABCという選択肢でなくても、決断を迫られて、困った経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
すぐに、Aかな?Bかな?それともCかな?と、どれにしようと迷った人は少なくないのでは?
まず、思うことは「えっ。治療法って俺が決めるの?」ではなかったですか?
治療法って、命を左右するような選択です。そもそもそれを医療の素人である私たちが決めていいわけ?インフルエンザだったら薬出してくれるし、いきなりどうするか決めろと言われても困る。
では、この疑問に対する答えです。
私はABCのどれかを答えなくていいと思っています。もちろん、医師から提示された情報を基にどれかに決められるのなら,それで進めてください。お医者さん→治療法のメリットとリスク両方を必ず話すしてくれるはずです。しかし、決められない、という場合は無理に答えを出す必要はないと思ってます。ただし・・・その代わりにあることをしなければなりません。
そのあることとは、「ゆずれないものを言葉にする」です。ご自身の中に、絶対にこれだけは嫌だ。ここだけは譲れない、そういう価値観もしくは信念があると思います。それを言葉にしてください。これを言葉にすると、治療法は自ずと決まってきます。
この方法は今から5年ほど前に出会ったある患者さんから学んでいます。
Aさんは40代の女性。ワンステップの会員さんです。まだ幼い子含めて3人のお子さんがいました。そしてご自身は保母さんとして誇りを持ち、働いていました。
Aさんはその数年前に肺がんにかかり治療を続けるいて、薬は5つかむっつ使っていたと思いますめぼしい薬はもうほぼ使い尽くされていて、なかなか厳しい状態になっていました。そんな時出てきたのが2018年にノーベル賞を取った免疫療法の薬です。Aさんはその薬を早々に試して、抜群の効果を得ていました。「神様がもうちょっと生きてていいよと言ってくれている」そう言っていたのを私はよく覚えていますそんなAさんには、治療において絶対に譲れないものを一つ持っていました。
それは入院をしないことです。
3人のお子さん達との時間を大切にしていたんだと思います。また五つぐらい薬を使っているということは以前に入院を何回かしたはずです。その時に残された時間をどう使うか、大切なことは何かと考えた時に、治療は大事だけども、入院に自分の時間を使わないっている場合ではない、と考えたのだと思います。家族との時間を少しでも多くしたい。主治医や病院側も全力で答えてくれましたちょっとここでは全部言えませんが、治療をきちんとしつつも、外泊などのルールをうまく使いながら、入院を最小限にとどめていたことを覚えています。
ここにおいて、治療法のAかBかCかはどうでもいいことです。患者側の譲れないことが最大限に尊重され、治療薬も選ばれ、進んでいきました。
あるとき、私の所に手紙が送られてきました入っていたのは、Aさんが取材された新聞の記事です。Aさんが保母さんとして笑顔で働いている現場のAさんの写真と実名が載っていた。がん患者として実名を出したり写真を出したりすることはやりにくい世の中だなと思っています。自分自身は良くても、子供達が興味本位の言葉を浴びせらることがおこってしまう。その可能性を思うと、二の足を踏みます。だからその新聞に載せるときもAさんは迷っていたそうです。
でも、そんなAさんの背中を押したのは息子さんだと手紙には書かれていました。「お母さんは悪いことをしているわけではない名前を出すことは何の問題もない」そう言ったそうです。
ゆずれないことは入院をしないこと。それは家族との時間を大切にするためです。一生懸命生きているAさんを見ていたからこそ息子さんから発せられた言葉とその思いは伝わっていますね。
ゆずれないことを言葉にしたAさんは、医療者に自分自身の価値観を伝えることになり、自然と治療法が決まった。よかったですよね。
でも、ゆずれないものを言葉にすることは、治療の選択をうまくいかせることだけではないということです。それは、限りある人生を豊かにすることにもつながるんです。
私たちはAさんからそんなことを学ぶことができたのではないかなと思います。ぜひみなさんも自分の譲れないものは何か、考えてみてください。
今回のテーマは【がん患者あるある】治療法A,B,C...どれがいいですか?と聞かれた場合どうする?でした。結論として、ABCのどれかを答えなくていいと思っています。その代わりにあることをしなければなりません。
そのあることとは、ゆずれないことを言葉にすることです。こうすることで、医療者に自分自身の価値観を伝え自然と治療法が決まる。
そして、Aさんのお話をさせていただきました。譲れないものは入院しないことと決めて人生を送っています。その結果、医療者もAさんを全力で応援していますし、その人生がどれだけ豊かであるかは想像に難くありませんこのお話が、みなさんのこれからに少しでも役立てば幸いです。
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