ワンステップ【がんサバイバー】【薬の効果シリーズ】ズバリ!タグリッソはどれくらい効きますか?
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今日の動画は【薬の効果シリーズ】ズバリ!タグリッソはどれくらい効きますか?
薬の効果がどれくらいあるのかきちんと教えてもらうことってないですよね。一方、副作用はきちんと教えてくれます。
効果も副作用もどっちも教えて!
ということで、今回は近畿大学病院腫瘍内科高濱隆幸先生にお願いして教えていただきました。
薬の効果を理解するために押さえるポイントは3つありました。
①奏効率薬がどれだけ小さくなるか?
②無増悪生存期間薬が効いてくれている期間のこと
③全生存期間その薬を使って得られる命の長さ
今回はその3つのポイントを基にタグリッソという薬の効果をズバリ!教えてもらいます。
【長谷川】 では先生、ズバリですね、タグリッソという薬の効果がどれくらいあるのか、教えていただけますでしょうか?
【高濱先生】 はい、質問ありがとうございます。それでは、お薬の効果を示す際に、3つの指標を使って、今日は説明をしたいと思います。1つめは奏効率という指標です。奏効率と言いますのは、一番わかりやすいと思うんですけれども、どれくらいの患者さんがこの薬によって腫瘍が小さくなったかということを示す指標になります。
タグリッソに関して言いますと、まだ治療を何も受けたことがない患者さんで、初めてタグリッソというお薬を投与した場合、100人いたら75人の患者さんで腫瘍が縮小したと、いうことが、臨床試験の結果からわかっています。その割合ですね。75%という数字になりますけども、これを奏効率と呼んでいます。ここまでがまず腫瘍が小さくなったかどうかということですね。
番目の指標は、そのちっちゃくなった腫瘍が、どれくらいの期間小さいのを維持しているか。それを無増悪生存期間、ちょっとここから難しくなりますが、無増悪生存期間と日本語で言われるもの。英語で言うとPFS、プログレッション・フリー・サバイバル、PFSとだけ書かている場合もありますけども、それを使って示されることがあります。
【高濱先生】 これがですね、実際にタグリッソを使った臨床試験で確認されました、無増悪生存期間を示すグラフになります。
長谷川】 確かにProgression-free Survivalと書いてありますね。PFS
【高濱先生】 そうなんです。英語に直すとそうなるんですけども、日本語だとイメージがつかみやすいかもしれませんね。治療中にがんが進行せず、安定した状態である期間のことを指します。で、このグラフといいますのは、上の青いグラフのラインが、タグリッソを使った患者さんが、腫瘍が増悪せずに元気である期間を示したグラフになります。これの見方なんですけども、我々はこの薬がどれくらいの期間効いているかということを示すときに、中央値という言葉を用いています。中央値。
どういうことかと申しますと、ちょっとグラフに書いていきますね。100人いた患者さんのうち50番目の患者さんが、腫瘍が大きくなってしまうまでの期間は実際どれくらいだったんですか、ということを示すときにこんなふうに、50%のとこにある患者さんが腫瘍が悪化した期間を横にピーっと線を引っ張りますと、こんな感じでぶつかるんですね。実際にこれを見ますと、50%くらいの患者さんが腫瘍が悪化するまでの期間は、18.9か月ということが示されています。片や、もう一方の治療法に関して言いますと、ちょっとペンの色を変えますと、青で書きますね。50%の患者さんが増悪するまでの期間、グラフとぶつかったところを下に伸ばしますと、この辺になると思うんですけども、これが10.2か月でしたよ、ということがわかっています。この中央値同士を比較することで、2つの治療法の優劣を区別することがあります。
【長谷川】 先生、ちょっと質問なんですけども、青い方がタグリッソであると、赤い方もう1つの薬、具体的には、これはStandard EGFR-TKIというふうに英語で書いてあるということは、イレッサとかタルセバとか、そういった薬と比べているという理解でよろしいですか?
【高濱先生】 はい、その通りです。
【長谷川】 あ、なるほどなるほど。では、今このグラフは、必ず比較されている、タグリッソだけじゃなくて他の薬、イレッサ、タルセバ、今まで使われていたものですよね。それよりもどれくらい勝っているかということが示されるという、そういうことでよろしいですか?
【高濱先生】 はい、そうですね。2つの治療法を比較するときに、この中央値という数字を使って比較することが多いんですね。
で、ご質問の答えですけど、タグリッソに関して言うと、効いている患者さんにおいて、無増悪生存期間は18.9か月という数字が過去に報告されています。ちょっとここが、青と赤が混ざったり、ちょっといろいろややこしかったですかね。
【長谷川】 薬の効いている期間はどれですかと聞いたら、線が2本引かれていて、これ何なのかな、みたいな。これは必ず比較しているということですよね。前の薬、今まで使っていた薬よりも本当にタグリッソがいいのかどうかわからないわけで、この臨床試験では、タグリッソは18.9か月、他の薬であると10.2か月。比較された薬よりも8.7か月タグリッソの方が効いていますよという、そういうふうに見れるって言うことですよね。
【高濱先生】 そうですね。1つの見方ではそう言えます。ただですね、あなたにこの薬が必ず18.9か月効くわけではないということもちょっと知っておいていただきたくてですね。ちょっとこれは上級者向けなんですけども、こういったグラフを見たときに、中央値の数字の横になんだかこう、カッコ書きが書いてあることが多いんです。見えますでしょうか?
これがですね、95%信頼区間という、ちょっとこれ難しいんですけども。これは臨床試験でよく見られる表現なんですけども、今回得られた結果は必ずしも毎回この結果が出るわけではないということなんですね。また時期を変えて同じような試験をすると、別の結果が出るかもしれない。少し幅を持たせた数字なんですよということを知っておいていただきたくて、15.2か月から21.4か月までの間、だいたいこのあたりに収まるんじゃないかというふうに見るのが、本来は正しい見方になります。
【長谷川】 はい、はい。なるほどなるほど。ありがとうございます。先生、もう1つ私の方から見方の説明とか、質問してもよろしいですか?
先ほど中央値ということで、50%そうですね、縦軸が効かなくなったときが半分、50%になったときのところを引いていって18.9という数字になったと思います。グラフの見方で見ると、例えば20%の人が効かなくなるところ、つまり縦軸でいうと0.8というところを見ると、8か月くらいになると思うんですが、この見方としては20%くらいの人は8か月くらい効きました、というふうに考えることができるということでしょうか。
【高濱先生】 はい、ありがとうございます。今のお話は例えばタグリッソの話ですかね、今のは?
ちょっと1回引いてみましょうか。0.8のところから横にピーっとのぱして、下に伸ばすと、確かにおっしゃる通りそういう見方もできますね。ですので8か月の間に、効いていたと思われる患者さんでも2割くらいの方は効かなくなっているということも、このグラフから読み取れるわけですね。
【長谷川】 なるほどなるほど。逆に先生、今は私は中央値、真ん中のところが18.9で、短い8か月しか効かない人もいるという話をしましたけども、逆にここでいうと3割くらいの方、0.3くらいのところで言うと、24か月くらい効く、っていうふうにも考えられるということですよね。3割くらいの方は2年くらい効いています、みたいな考え方でよろしいですか?
【高濱先生】 ああ、それは難しい質問でして、実は。というのはですね、このグラフの後半部分をちょっと見ていただきたいんですけども。たとえばこの辺を見ていただきますと、なんかちょんちょんちょんちょんといっぱい線が入っていますよね。この辺の患者さんは、この後薬が効くのか効かないのか、これからまだ情報を集めてますよ、っていう、そういう患者さんなんです。ですので、このちょんちょんちょんちょんという、センサーというんですけど、こういうのが立っている区間のグラフは、まだ少し注意して見ないといけないということになりますね。
【長谷川】 はい、ありがとうございます。ではここで本当にわかることは、中央値というのは18.9だと。ただそれは中央値だから、100人いれば50番目と言えばいいんでしょうか。そこのもので、それより短い人も長い人もいるという、それがわかるというふうに考えればよろしいですかね。無増悪生存期間、よくわかりました。
【高濱先生】 そしたら最後ですね。最後の指標としては、みなさんが一番興味が、興味?んー、知りたい、けど知りたくないようなデータかもわかりませんけども、全生存期間という指標があります。これはですね、治療の開始日から患者さんが実際に生存されていた期間を指す指標になります。こちらも先ほどと同様に、2つの治療薬の優劣を決める際には中央値を用いて比較することが多いですね。タグリッソの場合ですと、数字でここに少し小さいですけど書いてありますのが、中央値では38.6か月であったということが過去の臨床試験からはわかっています。しかし、これは非常に幅のある数字ですので、これが必ずあなたに当てはまるというものではありません。
【長谷川】 これは先生、先ほどの話で言うと、0.5、つまり50%の方がこれでいうと亡くなった方が半分の時が38.6であるということですよね。でまたそれよりも短い人もいるし、長い人もいるし、また95%信頼区間も幅を持っているし、というふうにこの38.6というのを考えていくということでよろしいでしょうか?今までこんなふうに生存曲線のことだったり、生存期間のこと、PFSのこと、おうかがいしたことはなかったです。本当に先生にお礼を言いたいです。本当にありがとうございます。
先生、最後に。先生方がいつも言うことで、とらわれすぎないでね、みたいなことを必ず患者さんにいうのも聞いています。このことに関して先生、少し触れていただけますでしょうか。
高濱先生】 はい。まず外来では私自身は、患者さんにこういった生存期間であるとか、どれぐらい効くかというのを数字で聞きたいですか?というふうにおうかがいしています。そのこころは、実際にこの数字があなたにとって当てはまるかどうかはわからないということなんですね。と言いますのも、やはり医学は進歩していますので、たとえば先ほど聞いた数字ががっかりしてしまった患者さんいらっしゃったかもしれないんですけど、実際には何年後かには新しい治療法が出ていて、もっと伸びるかもしれませんし、この数字は患者さんの病状であるとか、薬の開発の状況であるとか、そういったものによって簡単に変わってしまうということがありますので、1つの目安にしていただいて、実際には主治医の先生と、そのときの病状によってですね、一番いい、最新の情報をもらうのが正しいんじゃないかと思います。
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