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INFP:Intrinsic
この記事はINFPの考察を記載しています。
INFPの領域 (IP) と目標 (NF)
INFPの特徴の1つは、「IPとNF」という一見相反するフォーカスの組み合わせです。
LBPでは、1,4文字目のペアで「領域 (気に掛ける範囲)」を定義し、2,3文字目のペアで「目標 (願望 )」を定義しています。
INFPの性質を考えるために、まずINFJの性質を引用します。
IJの領域は「世界とその傾向」であり、彼女らは「世界規模の原則」を重視する。よって、IJは4タイプ中で最もズームアウト視点である。
Fタイプは、1つの物事の全体像 (俯瞰的視点によって理解できる価値・存在そのものなど) を重視する。
Nタイプは、物事同士の間に概念的繋がりを描き、ある物事を他との関連の中で理解する。
FもNも超時間的感覚を持つ(物事の過去・現在・未来のすべてを気に掛ける、各時間に影響されない本質的価値を重視する)。
IJとNFは、どちらも俯瞰的視点を持つため、NFの目標はIJの領域に最もマッチしている。
よって、INFJは16タイプ中で最もズームアウト視点に特化したタイプである。
IJタイプはすべて「世界の原則 (法則)」を重視しておりズームアウト視点的ですが、その中でもNFの目標を持つINFJが最もズームアウト視点と説明されています。
1個の対象の各部分 (T) ではなく、1個の対象の全体像 (F) への重視や、過去・現在・未来すべてを考慮する視点 (NF) などを考えれば、この考えは理にかなっていると思います。
IPの領域は「特定の対象・事象」であり、彼女らは特定の物事にフォーカスして対象の詳細を深く内省します。
対象とは出来事・経験・理論・人々など… 様々です。
INFJが最もズームアウト視点とするなら、INFPはIP (ズームイン視点) とNF (俯瞰的視点) の組み合わせです。
個人的には「この2つの組み合わせ」という部分が、INFPをとても特徴付けていると思います。
1個の対象へのズームイン視点 (IP)
詳細指向 (IP)
vs
多角的視点 (N)
各物事の概念的繋がりの描画 (N)
超時間的感覚 (NF)
完璧主義 (IP)
vs
意義・尊厳・感情へのフォーカス (F)
原典の引用
原典のINFPの記述を引用します。
心・魂・精神に関する啓発的な疑問を深く探求する。
「魂」「精神」などのワードは、INFPの記述にしか出てきていないと思います。こういった、現実世界とは離れた概念について探求するのがINFPの特質です。
意義の最も深い部分を探求して理解することを重視する。
ISFPも意義 (F) の探求 (IP) を重視しますが、ISFPは具体的現実 (S) との関連における意義を重視します。例えば、実際の経験がもたらす意義とか、物事の持つありのままの素晴らしさとか。
対してINFPは現実とは離れた、深い概念的意義 (N) を探求します。
良い言葉が浮かびませんが… 「現実に根差してない」「現実離れしている」などがNタイプのキーワードです。
広く意義に対して疑問を呈し、理解の光を他者へ照らす(shine a light of understanding to others)。
「広く」は、物事同士を概念やパターンで結びつけて考えるINFPの特徴の現れです。
shine a light ~ は直訳すると上記のとおりです。どういう意味でしょう?
NPは、個人の可能性を重視しています。
INFPは、探求によって得た理解を他者にも与え、人々がより良く生きるのを助けようとするのだと思います。または、他者にとっての標となる光を照らし、人々をより良い方向へ導こうとするとかですね。
具体的には、あるアイデアを探求し、その本質的な価値を理解し、その結論を分かりやすい形にして多くの人々に見てもらうようにする… とか。
INFPにとっての本質的な価値とは、対象の有用性 (T) ではなく、意義 (F) です。例えば、対象が人々に感動・畏敬の念・ときめきなどを与えることができるかどうか、です。
P:人の個人としての面を重視
vs
J:人の集団の一員としての面を重視
NF
物事の「更なる意義の増大」を目標とする
INタイプは、人類全体の成長を意識していると思います。これを考える際…
INxJの思考は、ズームアウト視点や人類共通の性質から出発します。
対してINxPの思考は、特定の関心事項へのズームイン視点や個人への尊重から出発します。
意義に関する内なる世界を強く発展させる。
この世界観は執筆・デザイン・装飾などの芸術的表現を通じて表される。
INFPは何が意義があるか… 何が素晴らしくて・本質的な価値があって・人々に幸せや感動をもたらすか… を絶えず評価します。
彼女らは芸術的表現という間接的な方法で自身の内面を表現します。なぜか。
INFPは、具体的現実や直接感じ取れる情報 (S) よりも、間接的・概念的に感じ取れる情報 (N) を重視しています。
自分自身がそのような物事の受け取り方をするから、自分のことも同じように間接的に受け取って欲しい、と思っているのではないでしょうか。
または、芸術のような曖昧なものは、受け取り手の感性に委ねられるから、相手にそれぞれ独自の方法で自身の世界観を受取って欲しい、と思っているとか (?)
詩・小説・文書による討論が、重要なものを発見・表現・分類するための強力なツールであると考えている。
この部分はハッキリと分からなかったのですが… 自身の思考や内面を文字にすることで、より明確に自分のことが分かるようになる、のような意味だと思われます。
IPは「データや詳細」を重視しており、情報のカテゴライズなども好みます。
全ての事象と詳細の意義を理解したいと思っている。それも、単独のものとしてではなく、すべての物事という壮大さの中に在るものとして。
ここでも、物事すべては概念によって繋がっていると考えるNの性質と、特定の物事にズームインするIPの性質の組み合わせとしての性質が書かれています。
INFPは、1個の物事を正しく理解するには概念的につながっている他の多くの物事との関係性を考慮すべき、と考えます。
人であれば、その人を単独で評価するのではなく、その人と同じカテゴリーに属する他者と比較し、同質性や差異を思考したり。
原典の引用 (不健全さ)
INFPの不健全時の特徴も引用します。
広大な世界 (または社会・国家など) に対して不安を感じると、ある特定の状況においては真実である法則が、あらゆる状況において常に真実である「普遍的原則」と同じであるとほのめかす。
1個の出来事に対するズームイン視点の観察によって得た結果 (〇〇は◇◇である) が、どのような場合にも用いることができる「普遍的原則」と同じであると主張する、という意味です。
INFPは、特定の事象や物事に対して疑問を呈し、独自の結論を出すこと (対象の持つ意義を評価すること) に優れます。反面、多くの物事の包含するズームアウト視点による理解を苦手とします。
「世界は広大過ぎて理解ができない」という不安を抱えると、世界を理解したいという願望が強くなり、苦手とするズームアウト視点に溺れてしまいます。
自身の洞察が、世界で最も高尚で啓発的な真理であるという態度は、より大きな謎への探求を止めてしまうこととなる。
INFPが「洞察」「高尚さ」「啓発」を重視していることが伺えます。これらや「大きな謎への探求」は、N的要素だと思います。ISFPの記述にはこういった要素は出てきません。
不健全なINFPの存在理由は、「すべての意義の総和はすでに見つかっているのだから、これ以上探す必要はない」と宣言することである。
抽象的な言葉で… 分かりづらいです。
単に「意義は~」ではなく、「すべての意義の総和は~」です。
Nタイプは、多くの物事は概念の糸で繋がり大きなウェブを形成していると捉えるので、INFPは健全であれば「多くの物事の持つ意義」や「概念で繋がっている複数の物事全体の持つ意義」を理解したいと願っている、ということです。
他タイプとの比較
ここでは基本的な性質の比較は行わず、INFPの性質を特徴付けるための比較を記載します。
類型論は、すべてを余すところなく類型します。
LBPでは、例えば物事に対する評価基準はすべて、F (意義の有無) とT (効用の有無) に二分されます。
この点を踏まえつつ各タイプを比較することで、各タイプの性質がより鮮明になります。
INFP vs ISFP
共通点
・ズームイン視点 (IP)
・意義 (F) への重視
ISFPは具体的現実 (S) にフォーカスしています。
現実世界は、日々かわるがわるです。よって、彼女らは毎回同じではない各現実に応じて生きています。
それは「何が意義 (F) を持つか」に関する思考や結論が、各現実に影響されることを意味します。
この性質はまた、ISFPが流れに身を任せ、とても楽観的で緩やかであることも意味します。
対してINFPは、現実 (S) 以外のものにフォーカスしています。
彼女らは、各現実に影響されない価値観・生涯を通じて基本となる価値観を形成することを好みます。
ISFPと比べると、他人の感情や行動によって阻まれないような強い信念を形作る傾向が強いかもしれません。
INFP vs INTP
共通点
・ズームイン視点 (IP)
・概念的探求 (IP×N)
ここで簡単にINTPに触れておきます。
NTはIPの領域 (データと詳細) に最もマッチしている。
INTPは、IP (ズームイン視点) とNT (概念的分析) を組み合わせであり、16タイプ中で最もズームインに特化したタイプである。
何となく、分かるような気がします。
Tは1個の物事を各構成要素や各ステップにフォーカスします。NTはそれを概念的に行います。
概念的とは… 他の多くの物事との概念的つながりを考慮して思考する、のような意味です。
NFがIJ (ズームアウト視点) とマッチしているという理論も併せると、N要素は「F、T」に極端さを与えると考えられます。
NFタイプは「現在の瞬間」以外の「超時間的な価値」にフォーカスします。
NTタイプは「具体的現実」とは離れた「概念的効用・論理」にフォーカスします。
具体的現実から分離されたところで内省を行うからこその極端さ、とでも言うんでしょうか… または現実に制限されない極端さ… あくまでLBP著者の理論を元にすると、ですけど。
INTPは、1個の物事の各要素にフォーカスし、各要素の役割や機能している方法などを重視します。
対象が人であれば、その能力等にフォーカスします。例えば、ある人が有用な人物と評価するためには、その人がある目的のために有用な能力を持っていればよく、その人の全体像 (存在全体) がどうかはあまり関係がありません。
対してINFPは、1個の物事の全体像にフォーカスします。対象が人であれば、その人の存在そのもの、パーソナリティの総和にフォーカスします。
1個の物事の全体像を理解するためと、1個の物事の各構成要素を理解するためと、どちらが広く概念的繋がりを描く必要があるか考えると、前者でしょう。
よって、同じ概念的探求者でもINFPはより広い視点を持ち、INTPは最もズームイン視点なのです。
INFP vs INFJ
共通点
・理論上の人々について思考 (I)
(≠実在の人々)
・更なる意義の発現 (NF)
・超時間的感覚 (NF)
例えば、この2タイプは理論上の人々 (人類一般) の永続的な幸福 (NF) について思考します。
相違点
INFJ
・人を集団の一員として捉える (J)
・普遍的原則への重視 (IJ)
INFP
・人を個別の存在として捉える (P)
・特定の物事の探求 (IP)
INFJは「普遍的な原則 (法則・一般性)」を重視します。
原則とはどのような場合にも当てはまるものであり、全人類に共通する性質から導くことができます。
原則を重視するということは、原則に従った存在でありたいと願っていることを意味します。
INFJはまた、周囲に見られる因果関係 (行動とその結果の関係) から一定の共通するパターンを抽出し、次に各パターンから共通のパターンを抽出して… 最も高次のパターンを導くことに優れます。
例えばINFJが人々が幸せになる方法を考える場合、「幸せ」に関連する多くの情報源 (実経験・物語・議論などなど) から一定の法則を導き、更に複数の法則からより高次の法則を導き… どんな場合にでも、どんな時代にでも用いることができる「人生を幸せにする法則 (行動指針) 」を理解し、それを皆に示そうとします。
INFPは、理論上の人々 (人類一般) へのフォーカス (I) と、人の個人としての側面へのフォーカス (P) を組み合わせます。
言い換えると彼女らは、「実在の人々ではなく理論上の人という存在」の「個人としての面」を重視しています。
「人という存在は通常、どのような思考や感情を持つのだろう…」「でも人は個人ごとに異なる性質を持つから、この点を踏まえつつ人という存在について考えなくてはいけない…」
例えばINFPが人々が幸せになる方法を考える場合、人々に永続的な幸福をもたらすようなアイデアの発見や作成 (特定の物事へのズームイン) からスタートします。
概念的に関連ある情報を収集したり、複数の視点から考察したり、あり得る可能性を想像したりしてアイデアを洗練させます。
INFPは「個人としての人」を重視しています。各個人はそれぞれの気質を持っており、あるアイデアに対してそれぞれ異なる受け取り方をします。
よって、彼女らはこの点に注意しながら内省を行います。
例えばどのような事情を持っていても、どのような考え方をしていても、、、極力その人が幸せとなれる結果をもたらす方法を創り出す、とか。
フィクションのINFP
原典の各タイプの記述量は同じではありません。INFPは少なく、ワースト3,4番目位です。
なので、他タイプより理解が進みませんでした。
原典著者は、フィクションのキャラクターへの観察によっても記事を書いていたようで、多くのキャラをタイプ判定しています。
ただ、INFP判定されているキャラは他タイプに比べると少なめです。これは、(少なくともフィクションの中に) INFPがそれほど多くないことの表れかもしれません。
INFP判定のキャラ
フラッターシャイ (マイ・リトルポニー)
ルーナ ラブグッド (ハリーポッター)
アリス (アリス・イン・ワンダーランド:ティム・バートン)
サリー(ナイトメアー・ビフォア・クリスマス)
ウォーリー (ウォーリー:映画)
マイリトルポニーはキャラの性格・思考を重視したアニメであり、各キャラの全体像が分かりやすいです。
INFPへの理解を深めたい場合は公式youtubeのフラタ回を観るのをオススメ!
最後に
INFPは原典では「哲学的探求者」と記述されています。
関心を持った物事を深いレベルで内省し、対象がどのような素晴らしさを持つか、その意義が他のすべての物事やすべての個人にどのような影響を与えるのか… など、疑問を呈し、他タイプが逃し得る結論に至るのが彼女らの特質です。