ENFP：intrinsic
領域 (EP) と目標 (NF)
まず、EPの領域を見ていきます。
領域とは、無意識に指向する範囲・視野のことです。
EP
選好する情報：観察と動機 (心のパターン)
領域：個人と反応
観察
世界や人々を観察 (探求) することによって得られる情報
動機 (心のパターン)
行動の背後にある一定の心のパターン
簡単に言うと、一個人の持つ普遍的な性質
個人と反応
EPがフォーカスするのは「一個人そのもの」と「一個人の反応 (態度) 」
更には、一個人の思考・視点など
個人には当然自分自身も含まれる
EPは外部への観察 (探求) による情報収集や、人への観察による個人の全体像の理解を重視します。
ENFPについては、まずENFPの性質を一番表していると思う部分を引用します。
ENFPは個人のありのまま (is) と可能性 (can be) を理解する。
また、「あらゆる背景情報における個人の持つ意義」を理解する。
例えば相手を、同時に一人の人間として、女の子として、友人として見たり、個人の持つ恐れと素晴らしさの両方を同時に理解する。
真のENFPの知性は、外見を超えた個人の内面を見ることを可能にする。
更にNタイプ、Fタイプについて引用します。
Nタイプ
概念に基づいて思考し、物事を複数の視点から捉える。
複数の視点から捉えると、対象の欠点や可能性が理解できるようになる。
Fタイプ
物事の意義を重視する。
意義の定義するものは幅広いが、主に幸福や存在価値に関係する。
人の持つ意義であれば、人間性や尊厳などに関係する。
NFタイプ
物事の超時間的性質を重視する。
例えば、「時間を経ても変わらない本質的な性質」「物事の過去・現状・将来のすべて」など。
個人 (EP) × 概念的意義 (NF)
個人の持つ深い本質、個人の全時間的背景など
EPとNFの組み合わせであるENFPは、引用のとおり個人の持つ概念的な意義を理解しようとします。
それは、直接的な観察によって得られる性質 (is) に加えて、概念的な繋がりを描くことによって導かれる可能性 (can be) などです。
対象の複雑な本質を理解するには多角的な視点が必要です。よってENFPは、個人の持つ様々な属性・パーソナリティ・背景を考慮に入れます。
原典の引用
他者がよりよくなるよう鼓舞し、支援し、インスピレーションを与える
「新たなものの創出」「可能性」はN的要素です。
ENFPは (実在の) 個人が可能性を解き放つことができるように、様々なサポートをします。
心に描く英雄的な人物になることと、他者も同じことをするのを助けることを重視する
EPのフォーカスの対象である個人には、 (当然) 自身も含まれます。EPとN (成長) を組み合わせるENxPは、「なりたい自分になること」を重視します。
人々を深く理解し、すべての人の内なる価値を見つけようとする
「全ての探求」はN的要素です。
Nタイプは複数の物事の間に概念的関連を描き、すべては繋がっていると考える傾向が強いです。
「内なる価値」とは、「直接理解できる価値」「すでに存在している価値」を超えたもの、という意味で、これもN的要素です。
ENFPはヒロイズムに惹かれる。
スーパーヒーローは人の想像力を刺激するが、ENFPは「通常の」ヒロイズム、つまり「普通の人が日常生活で選択する誠実で無私の行動」に関心を持つ。
ヒーローは、「優れた資質によって称賛される人」を意味します。よって「通常のヒロイズム」とは、通常の人生の中において優れた性質を発揮することを意味します。
優れた性質というのが、ENFPがフォーカスする人の本質的価値だと思われます。
もっと言うとENFPは、「人々が自分の内なる価値を発揮させ、人生の中で価値ある人になるよう支援したい」という願望を持っている、とかでしょうか。
人々の持つ意義 (F) を探求することを愛し、それを他者と共有する。
「得た理解の共有」はINFPの記述にも出てきます。
Pタイプはすべて探求を好みます。探求によって素晴らしい発見を得た場合、通常その後どうしますか？
それを他者にも分け与えたいと考える可能性が高いと思います。
感情を包み隠さず表現しつつも、愛おしいほどに傷つきやすい（charmingly vulnerabl）
印象的なワードだったので引用に加えます。
なぜ「愛おしいほどに～」がENFPの特徴なのかはわかりません… 感情をありのまま表現している姿からは一見想像しにくいけど、本当は傷つきやすい… のような意味でしょうか？
原典の引用 (不健全さ)
ENFPの根源的な恐怖は、自身の感情・欲求・情動は重要な意義 (F) を持たないのではないか、というものである。
それは、これまでの経験や自身にとって重要なことはすべてや自身の希望・理想・情熱は、愚かで・無意味で・ばかげているのではないか、という恐れである。
これはENFPが自身の「感情・欲求・情動」「希望・理想・情熱」の持つ意義 (F) を重視していることを意味しています。
これらはすべて、個人 (EP) の持つ概念的 (N) な性質です。
「個人の持つ概念的性質」は、簡単には説明できないものです。
それは、人の存在価値を定義するすべて、とでも言うのでしょうか…
自分自身の感情や思考は無価値である、という恐怖が増大すると、自身の持つ意義を証明しようとして、他者を無価値で愚かであることを証明しようとする。
ここからも、ENFPが重視しているのは自他の持つ意義や価値であることが伺えます。
不健全なENFPの存在理由は、他者に価値がないと感じさせることであり、これはENFPの特質とは正反対です。
健全なENFPの場合、他者が「自分には価値がある」と感じることができるように、他者を支援します。
ENFPは、EFとPの組み合わせにより、「個人としての他者の意義」を意識している。
不健全になると、自身の強みよりも他人の強みを称賛し、自身を卑下し、周囲の人々と比較して自身の能力をそれほどでもないと考える。
他者の長所と自身の短所を比較し、自身の長所さえも重要ではないと感じるようになる。
ENFPは他者のすばらしさを発見 (N) して、それを称賛することに優れますが、不健全になると自分のことを劣っていると考えるようになります。
全タイプは、「自身が劣っている」という恐怖が続くと、「他者の方が劣っている」と考える傾向があると思いますが、その中でもENFPは特に「強み」「弱み」という概念的な性質を重視しているように読めます。
最初の文字と3 番目の文字は、人々とのつながりや交流に大きく関係する。
ExFxは本質的に、直接関わる人々を重視し (F) 、それらの人々の持つ意義にフォーカスする (F) 。
彼女らはどのタイプよりも、大切に思う人々の意見や行動に振り回されてしまうことに苦慮する。
Eタイプは、実在の人々を重視します。
Fタイプは、人の意義 (存在全体・感情など) を重視します。
1文字目と３文字目のペアで性質を定義するのは、他ではあまり見られない記述だと思いますが、理にかなっているので引用しました。
原典の引用 (その他)
ENFPは、「他人に対しての自分」というレンズを通して世界を観察する。
優しくて健全なENFPの場合、それは自分と他人の間に親近感 (自己の重なり合い) を生み出す。
Nタイプは複数の物事間に関連を描きます。
EP (個人指向) の場合、複数の個人間に繋がりを描き、同質性や相違を探求します。
「個人 (EP) の持つ概念的意義 (NF) 」ってとても分かりにくいですが、その一つが「親近感」「自己の重なり合い」とかなのでしょう。とてもN的ワードだと思います。
勇気が必要な状況では皆にそれを説き、動機付け、希望に満ちた行動に駆り立てる。
「勇気を奮い立たせる」「モチベーションを持たせる」「希望を与える」… ENFPらしい行為ですね。
ENFPは最もアガペーに特化したタイプであり、彼女らは自他の類似性にフォーカスし、情熱・希望・痛みを他者と共有する。
原典では「４つの愛の種類」を定義しており、ENFPは最もアガペーに特化したタイプとされています。
ENxPは個人の間に繋がりを描いて思考します。
ENTPは特に個人の間の相違 (コントラスト) を重視し、ENFPは特に個人の間の同質性を重視します。
ENFPは、親しい人とはプラスのこともマイナスのことも共有したいという願望を持ちます。
他タイプとの比較
ここでは基本的な性質の比較は行わず、INTJの性質を特徴付けるための比較を記載します。
MBTI・LBPは類型論なので、各タイプを比較することで各タイプの性質がより鮮明になります。
ENFP vs ESFP
共通点
・個人指向 (EP)
・意義、感情 (F)
相違点
ENFP
・概念的意義 (NF)
・啓発 (NF)
ESFP
・ありのままの意義 (SF)
・喜びと幸せ (SF)
２タイプとも、「自他という個人そのもの」「人の個人としての側面」を重視し、人の持つ感情を重視しています。
ESFPは「個人のありのままの性質」「直接感じることができる種類の意義 (喜びや幸福など) 」「大きな変化なしに得ることができる意義」を重視します。これらはS的性質です。
対してENFPは「個人の可能性や複雑な背景」「概念的な意義」を重視します。
S/Nの相違は割と分かりやすいかと思います。
例えば複数の物事を関連づけることのない探求 (S) か、複数の物事を関連づけての探求 (N) か、など。
ENFP vs ENFJ
共通点
・実在の人々への重視 (E)
・概念的意義、啓発 (NF)
相違点
ENFP
・探求、情報収集 (P)
・人の個人としての側面の重視 (P)
ENFJ
・計画、行動 (J)
・人の集団の一員としての側面の重視 (J)
原典全体を読んだ感じ、Sタイプ同士の相違よりNタイプ同士の相違の方が分かり難いです。
Sタイプは、具体的な現実における物事にフォーカスしているので、その思考には具体性があって違いが明白です。
対してNタイプは、現実と離れた概念的性質にフォーカスしているので、思考の抽象度が高いというか…
この辺りが、Nタイプ同士の違いが分かり難い理由かもしれません…
ENFPもENFJも、実在の (周囲の) 人々への啓発 (NF) を重視しています。啓発とは例えば、「より素晴らしくなること」「大きな変化による成長」「学び」「永続的 (長期的) な幸福」などです。
ENFJは、Jタイプとして「計画－行動－達成」というプロセスを重視するため、人々に概念的な意義をもたらすには何を行えばよいか、を思考します。また、集団としての人々を重視するため、集団内の人間関係への配慮という特質も持ちます。
対してENFPは、Pタイプとして「行動」とは離れて「探求、理解」を重視するため、個人の持つ深い価値 (素晴らしさ) を把握するために思考します。それは、把握した素晴らしさを発揮させるためには何が必要か考えることに繋がります。
ENFP vs INFP
共通点
・探求、情報収取 (P)
・概念的意義、啓発 (NF)
相違点
ENFP
・実在の人々への重視 (E)
・観察 (EP)
INFP
・理論上の人々、想像上の人々の内省 (I)
・詳細指向 (IP)
INFPは「理論上、個人とはどういうものか」について深く内省します。実在の人々について内省することもあるでしょうが、第一の優先は「理論的に、個人の深い性質を内省すること」です。
対してENFPは実在の人々について内省します。彼女らは、外的世界において更なる (新たなる) 意義を発現させることを重視します。
I/Eの違いは明白な場合もありますが、INFP/ENFPに関しては少し分かりづらいかな、と思いました。
ENFPには、どこか内向的 (＝内省重視的) 性質が感じられます。
ENFPがIタイプに近い理由
「具体的な現実 (S) 」よりも「概念的思考 (N) 」を重視するNタイプの方が、Iタイプとの親和性が高い。
「世界における計画－行動－成果 (J) 」よりも「行動と離れた探求 (P) 」を重視するPタイプの方が、Iタイプとの親和性が高い。
「何かを用いて (世界における) 何らかの効果を生じさせる (T) 」よりも「用いることなしに存在する価値 (存在価値) (F) 」を重視するFタイプの方が、Iタイプとの親和性が高い。
…のように考察してみました。この点は原典に記述があるわけでなく、完全に個人的な考えです。ただ、LBP以外のある海外サイトでも「ENFPは最もIタイプ的」と書かれていたので、ENFPには何らかのそういった性質があるのだと思います。
INFP
「人は一人ひとり異なっていて… 理論上、個人は〇〇な存在である。」
ENFP
「人は一人ひとり異なっていて… (直接関わりのある)△△は、〇〇な存在である。 」
フィクションのENFP (原典著者判定)
ティンカーベル（ディズニーフェアリーズ）
ポー（カンフー・パンダ）
マリア・フォン・トラップ（サウンド・オブ・ミュージック）
ウェスリー・ウィンダム＝プライス（バフィー 〜恋する十字架〜）
レネ・ドワイアー（トワイライト）
その他
「今はララたちが、みんながとっても気になる…」
「自分だけ進んでない、取り残されてるって思ったり、焦ったり… 何か私おかしい…」
表面的な部分だけでなく、本質的な部分をみてもENFPだと思います。
一人だけキュアトゥインクルが発現しなかったのは、自他を比較していたからで…
比較する必要はなく、「人がそれぞれ独自の性質を持つ」ということを理解することでキュアトゥインクルを発現させました。
最後に、キュアスターにぴったりな原典部分を引用します。
ENFPは、個人が本質的かつ独立的に自分自身のために存ることを望む。
彼女らにとっては全ての人が永遠に特別であり、自己という完全に独立した概念的存在である。
ENFPはすべての人に人間らしさを見出す…非人間的な悪の中にも。
彼女らは、敵を単なる障害とみて対抗しようとするのではなく、立ちはだかる人々すべての動機 (行為の背後にある心のパターン) を常に認識しようとする。