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NFタイプ
まず、基本的部分を引用します。
Nタイプの性質
概念・着想への重視
可能性 (より良いものへの成長) の想像
Fタイプの性質
意義へのフォーカス
一個の物事の全体像へのフォーカス(≠各構成要素へのフォーカス)
NFタイプの性質
Nタイプは物事をワードネット (概念辞書) と捉える。(各物事を個別なものと捉えるのではなく、多くの物事は概念を通して繋がっていると捉える)
Fタイプは物事の本質的な意義と重要性にフォーカスする。
よってNFタイプは各物事の意義が、どのように関連しているかにフォーカスする。
ワードネット (word net) とは、プリンストン大学で開発された、概念 (意味) に基づいて整理された語彙データベースです。
Nタイプは、各物事はそれぞれが持つ概念 (意味) によって繋がり、大きなウェブを形成していると考えます。ここでは、ある物事を評価するには他の物事との関係も考慮する必要があります。
さらにNFタイプについて引用します。
NFは、あらゆるものの重要性と尊さは、全ての物事の重要性や尊さに影響を与えると考える。
NFは物事の未来に目を向け、自身が気にかける物事が更に意義のあるものになるのを助けたいと思っている。
本質的な意義 (F) と概念 (N) はどちらも時間を超越したものであり、NFは物事を「広い無限の中のもの」「全時間の中に在るもの」と捉える。
一個の物事を他の多くとの関係において捉える、一個の物事の過去・現在・未来の全てを考える、という意味です。
この時代を超越した態度により、NFは以下の観点を重視する。
正義・公正・慈悲・慈愛
「これは正義に基づいているの? 慈愛に基づいているの? それとも正義も慈悲もない冷酷なものなの?」
意義とは、重要性・存在そのものの価値などです。意義は、Sと組み合わされるか、Nと組み合わされるかで大きく異なります。
SFは、喜び・安心・平和・倫理・現時点の幸福など… 直接感じられる種類の意義に関係します。
対してNFは、啓発・成長・永続的な幸福など… 概念的な意義、直接感じ取れるものではない意義に関係します。
物事が相互に関連していると捉えると、比較によって物事の欠点や、改善方法などが分かるようになります。
よってNタイプは、物事の更なる成長を重視します。
意義の更なる成長とは、上記に書いた啓発・啓蒙、または更に尊厳ある人となること、などです。
NF的な要素は抽象度が高く、他タイプと比べると分かりづらいかもしれません… その場合は、各NFタイプの記述を見ていくことで理解が深まると思います。
NF各タイプの比較
NFはすべて、概念的な意義・更なる意義の発現などを重視しますが、それぞれ意識を向ける領域 (1,4文字目のペア) が異なります。
INFP
N (概念)
NF (可能性的な意義) × IP (各事象)
INFPは心・魂・精神に関する啓発的な疑問をより深く掘り下げる。
いずれも概念的なキーワードです。
INFPは秘められた意義を発見する。
SFと比べると違いが明白です。INFPは、既にある意義 (SF) ではなく、新たな意義の発見 (NF) を重視します。
彼女らは、物事 (特に概念的な性質のもの) にズームインして、深く探求し、特定の対象に関する哲学的な答えを導きます。
(対して普遍的な答えを導くのに優れるのは、IJの特質です。)
INFPは個人的な意義の内なる世界を強く発展させる。この世界観は、デザインや装飾などの芸術的な追求を通じて外に表される。
INFPは、どのようなものが意義 (素晴らしさ・本質的価値) があるかを理解し、それによって自身の価値観を形成します。ここにいう価値観とは、具体的現実 (S) に影響されないもの、人生を通して変わらない性質 (N) のもの、でしょう。
なぜ、芸術的追求を通して間接的に表現されるのでしょう… 原典には書かれていません。直接的 (S) な表現よりも、受けての思考や感情に依るような表現・相手のそれぞれに応じる表現 (N?) を好むということでしょうか?
内省による探求 (IP)
ズームイン視点 (IP)
物事すべては概念の糸で繋がっていると捉える (N)
超時間的感覚 (NF)
IPの性質とNFの性質の組み合わせであるINFPって、とても特徴的ですね。彼女らは、詳細指向 (IP) と物事の集まり全体へのフォーカス (NF) の組み合わせです。
例えば、心躍らせるような出来事があったとします。INFPは、なんで心惹かれたのか、及びその出来事そのもの・関係する人々・出来事の背後にある理論・これらに類似する他の物事・これらの類似点や相違点・あり得る可能性などなど… 多くを思考し、出来事の詳細・本質・深い意義などを導きます。
対してINFJであれば、これら多くを思考し、そのすべてを包括する原則 (一般性) を導きます。(多分)
INFP vs INTP
どちらも概念的 (N) な探求者 (IP) です。
どちらも、物事は全部何らかの性質によって繋がっていると捉え、特定の物事を概念を使って深く探求します。
INTPは物事の効用 (活用方法) を重視します。
INFPは物事の意義 (尊厳・本質的重要性) を重視します。
どうでしょう、一般的に物事の効用を探求するより、物事そのものの価値・全体像を探求する方が、より広くものごとを考える必要があるのではないでしょうか?
なので、INTPはとってもズームイン視点 (全タイプの中で最も) です。
そして、INFPは「全体の中における一個の物事」という観点を持ち、「物事の関連をより広くとらえる」という傾向が強いのです。
INTP
「これにはどんな新しい活用方法があるの?」
「これでどんな新しいことができるの?」
INFP
「これにはどんな隠された素晴らしさがあるの?」
「これではどのような啓蒙をもたらすの?」
ENFP
N (概念)
NF (可能性的な意義) × EP (個人の動機・心のパターン)
ENFPは個人のありのまま (is) と可能性 (can be) 、及びあらゆる背景情報における個人の持つ意義を理解する。
例えば相手を、同時に一人の人間として、女の子として、友人として見たり、相手の持つ恐怖と素晴らしさの双方を同時に理解したりする。
ENFPは、自他という個人の持つ概念的な意義を理解することに優れます。
そもそも概念的な意義が何か説明するのは難しいのですが、「直接は体感できない本質」とか言えると思います。
なのでENFPのフォーカスは、直接的な理解ではなく、多くの観点からの観察によって導くことができる個人の資質、と言えます。
ここでいう個人とは、実在の人であって想像上の人ではない、という意味です。ただ実在というのは… フィクションのキャラも含むでしょう。
原典には、日本のアニメはENFP的、とあります。その理由までは書いてませんが、アニメのキャラは人の多様な資質を魅せてくれるからでしょう。それも現実を超えた範囲で。
引用にある「背景情報」は、NF4タイプの重要ワードです。
原典では「コンテキスト」です。最初、意図が分からなかったのですが、物事の背後にある情報… のような意味だと思います。
INFJ
N (概念)
NF (可能性的な意義) × IJ (世界・傾向)
IJの普遍的な原則の領域と、NFの時代を超越した概念的意義へのフォーカスを組み合わせることで、INFJはすべての全体的の展望(panorama)を難なく取り入れる。
原典では、INFJは16タイプ中で最もズームアウト視点と説明されてます。
IJの原則と傾向へのフォーカス
NFの全時間的背景へのフォーカス
… この2つの組み合わせであるINFJが最もズームアウト視点というのは理にかなっています。
不可解な過去、謎めいた未来、現在の世界の複雑さ… 全てがINFJの心の中では1つであり、彼女らは、それらすべてを同じ永遠の「原則」の単なる繰り返しの反映と見なしています。
原則と超時間的性質の組み合わせが何か、が示されています。
INFJ以外の人には実感がわかないかもしれませんが… これがINFJの特質です。
彼女らは、時間に関わりなく存在する原則を重視しています。または、他のIJが意識する原則よりも高次の原則を意識しているとか。
INFJのフォーカスする概念的意義は、原則や長期的傾向に関係するものです。具体的には人生をよりよく機能させる原則です。人類に共通する人生の法則、とも言えます。
原則や傾向は、それを包含する世界から導かれるものであり、更には世界に存在している人の性質から導かれるものです。最もズームアウト視点のINFJの場合には、「全人類」に共通する性質から導かれるもの、という性質が強いと思います。
実在の人々にフォーカスするEタイプより、物事そのものを内省するIタイプの方が、その本質が分りづらいです。
IJのフォーカスである原則は、原典では「物事を形作る方程式」と例えらえています。それは複雑な世界を記述するエレガントな式です。
現実世界の複雑な物理運動は、 (ある程度) シンプルな式で表されます。IJのフォーカスとはこのような式を導くことです。
よってINFJは、人生をより有意義なものにする方程式… それも全部を包括する (NF) 方程式を探求して導くことを特質とします。
ENFJ
N (概念)
NF (可能性的な意義) × EJ (グループ・成果)
ENFJは身近な人々が学び、成長し、より永続的な喜びを得るのを助けることを重視する。
ENFJは人々の過去の出来事・現在の瞬間に目を向けつつ、人々の未来を構築し続ける。
ENFJの重視する概念的意義が示されています。
EJは自身が属するグループ、及びグループ内の人々にフォーカスしています。彼女らはそれらの人々の更なる意義の増大を目的とします。
2つめの引用では、NFの特徴である超時間的な性質が分ります。ENFJはグループ内の人々の過去・現在・未来のすべてに関心を向けます。
または、人々に更なる意義をもたらす行動を取るために必要なすべて (人々に関する情報・行動指針の作成などなど) を概念的に思考する、のかもしれません。
ENFPは人の持つ概念的意義の探求・理解を重視するのに対し、ENFJは人の意義の更なる増大のために行動し、人々をより良い方向へ持っていくことを重視します。
ENFJは友人・愛する人・目的とする意義を自身と共有する人々のために生きている。彼女らは、自分と他者の苦痛の区別がつかず、困っている人々のためにすぐに自分を犠牲にする。
EJはグループ自体を重視しているため、自身と周囲の人々との一体感という感覚が強いです。
こういう周囲の人々への自己犠牲的な性質はESFJにもあってもよいと思いますが、原典ではENFJの記述にしかこういう性質は書かれていません。
これはENFJが最も自己犠牲的であると原典著者が考えていることになります… 直接的なものを超えて思考するENFJの方が、無意識的な共感が強く、犠牲的である、ということかもしれません。