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自分にないものを持っている人と仕事したい 「ItWokashi」始動のきっかけ

TEAMKITを利用し、新しい和菓子ブランド「ItWokashi」を立ち上げた株式会社兆久の代表・竹口久嗣さん。
「和菓子の魅力を広めたい」という竹口さんの想いに共感したメンバーが集まり、構想から1年。ブランドプロデューサーの井上豪希を中心としたメンバーが、商品開発とブランドづくりを一丸となって行い、ついに「ItWokashi」の実店舗が東京都世田谷区に誕生した。

竹口さんがブランドを立ち上げるに至った経緯とは?実際のプロジェクトがどう進んでいき、今後の展望をどのように考えているのか?
TEAMKITスタッフがインタビュー!

こちらの記事は、前編・後編の2本立てです。
後編はコチラ→お金ではなく信頼ベースで繋がる。TEAMKITを利用して生まれた未来

「和菓子の魅力を広めたい」竹口さんの想い

――竹口さんは創業から300年続く老舗和菓子屋「大徳屋 長久」の16代目なんですよね。現在は「兆久」という会社も立ち上げて、和菓子にイノベーションを起こそうと奮闘しています。その一環で始まったのが、今回の「ItWokashi」のプロジェクト。そもそもなぜ“和菓子にイノベーション”を起こそうと考えるようになったのでしょうか?

竹口さん:まず最初に、「和菓子を広めていきたい」という思いがあったんです。僕は製菓学校でも教えているんですが、ほとんどの生徒さんが洋菓子を勉強しにきていて、和菓子職人を志望する生徒がいない。そこで、今の若い子は和菓子に全く興味を示してくれていないことを痛感したんです。

興味を持たれない理由には、「そもそも和菓子屋に行ったことがなくてイメージが湧かない」といった答えもありました。僕らは三重県・鈴鹿市に店を構えて商売していますが、今までの受け身のスタイルをごそっと変えて、積極的にアプローチしないといかんと思うようになったんです。

――つまり、若い世代に和菓子の魅力を伝えたいという想いと、次の世代につなげていきたいという2つの想いがあったと。

竹口さん:そうですね。

ゼロからスタートした「兆久」挑戦することで見えてきたこと

――そこで竹口さんは、和菓子の新しい魅力を伝える「兆久」という会社を立ち上げましたよね。さまざまな取り組みを経て「ItWokashi」のプロジェクトをはじめるに至った経緯をうかがいたいです。

竹口さん:親から引き継いだ「大徳屋 長久」で伝統を守っていくことも大切ですが、ゼロから自分がやったらどうなるんだろうと思って「兆久」の立ち上げを決意しました。初めにまずなにをやったかというと、居酒屋をやりました。

――えっ!和菓子なのに居酒屋なんですか。

立ち上げ当時、居酒屋で食べられるデザートに和菓子を扱っているところがほとんどなかったんです。それに腹が立って。そう思っていた矢先に、たまたま知人から居酒屋のオーナー権を買い取ることができたので、さっそく居酒屋をはじめました。

――すごい行動力ですね!

竹口さん:居酒屋では、デザートを全て和菓子に変えて、「できたての和菓子」を提供しました。

――「できたての和菓子」ってなんだか斬新ですね。

竹口さん:実は「できたての和菓子」ってすごくうまいんです。居酒屋は4年間やっていたんですけど、しばらくすると、他の店でご飯を食べててもデザートはうちの店で食べたいと、わざわざ店を変えて来てくれるお客さんも増えたんです。

普通の和菓子店で販売していると、「実はできたての和菓子がうまい」ということは、職人しか知り得ないものになってしまう。居酒屋を経営した経験から、「できたての和菓子」のおいしさを伝えるために、和菓子の提供の仕方を考えていくようになりました。

――居酒屋の後はどのような取り組みをしたんですか?

竹口さん:「できたての和菓子」がおいしくて、お客さんにも喜んでもらえることがわかったので、移動販売を始めたんです。

――また全然違う方向に行きましたね。

想いを形にしたい。人との出会いがプロジェクトを動かし始める

竹口さん:和菓子の可能性を模索するために、いろいろなことをテストで行いました。会社の都合があってできなくなってからも、何か新しいことはできないかなということはずっと考え続けていました。そんな時に、ブランディングでお菓子業界を盛り上げている井上豪希くんと知り合ったんです。豪希くんと話していくうちに、「この人だったら、自分の想いを形にしてくれるんじゃないか」と思うようになりました。

――豪希さんと話していて、どういったところにピンときたんですか?

竹口さん:基本的に、僕は「自分にないもの」を持っている人とじゃないと仕事をしたくないんです。豪希君はまさに「自分にないもの」ばかりを持っとるなと思えた人。和菓子ってどんな職人が作っても形とか味が似たようなものになってしまうんですけど、料理人としての腕もあり、お菓子業界でブランディングを通してイノベーションを起こしてきた豪希君と組めば、全く新しい和菓子がつくれるんじゃないか。そういったところにピンときました。

想いを形にしたい。

――こうして豪希さんとタッグを組んで1年。新ブランド「It Wokashi」を立ち上げ、新商品も開発。デザイナーや印刷業者など、さまざまなメンバーを巻き込みながらプロジェクトは進んでいきました。プロジェクトを進めていく中で、なにか驚いたことはありましたか?

竹口さん:いい意味で「考え方の違い」に驚かされましたね。スタートからして視点が違かった。

――具体的にはどのような考え方に気付かされたのでしょう?

自分らみたいに地方で商売しているもんからすると、高く売れないから、包材のコストを下げようと努力する。でも彼らは、商品の価値をより伝えるためにデザインにもこだわり、包材にも通常の2倍近くコストをかけた。そのぶん商品の売値は上がってしまうんですけど、商品の価値がより伝わるようになって、高くても買ってくれる。商品に対する価値の捉え方や、アプローチの方法が全然違うと思いました。

――商品をシンプルに包装紙に包むだけでは、それがどれだけ良いものなのか、商品の魅力は差別化できないですよね。ブランディングやパッケージデザインを通すことで、人の目にとまりやすくなり、商品そのものの価値が伝わりやすくなります。実際に豪希さんのブランディングの手法を目の当たりにしてみて、いかがでしたか?

竹口さん:ぶっちゃけ衝撃の連続でした(笑)。普通、オーナーが新しいことを自分の力でやろうとしても、お客さんのニーズをしっかりと考えて答えを出すことができない。どうしても自分はこれを作りたいから、という職人目線になってしまうんです。大手のブランディングの会社ならそういったことは普通なのかもしれないけど、自分ら中小企業はそんな大手に頼めるような繋がりもないし、お金もない。

――そこで「信頼」を可視化し、本来なら巡り合わない「縁」を創造するTEAMKITが役に立ったわけですね!


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