わたしのフランス
これから何度かに渡って、「わたしが見てきたフランス」というものを書いていこうと思います。気まぐれな思い付きなので、途中で投げ出してしまうかもしれないけれど、行けるところまで行ってみたくて。
美化せず、見下しもせず、フィルターは「わたしの眼」だけのフランスを書き綴っていきます。
フランスに憧れる人、フランスに来たいと思っている人のお役に立てるといいな、とちょっとだけ思っています。
でもほとんどの動機は、「書きたい、書いておきたい」というそれだけです。身勝手なエッセイですが、お付き合いいただけたら幸い。よろしくね。
初めてのフランス
はじめてフランスに来たのは20歳のとき。時は80年代の終わりと遡り過ぎな気もするけれど、もしかしたらここに原点があったのかも、と気づいたので、ここからこのエッセイをスタートします。
イギリスに1か月だけ短期留学したときの航空券がパリ乗り継ぎのエールフランスだったので、「帰りはパリに2、3泊したら?」と勧められてそうしたのでした。
受け身な来訪だった上、季節は春になる前の寒くてグレイな時期。ゆえに、というわけでもありませんが、街に関しては特に感慨はなく。がらんとしたトロカデロ広場やオペラ座前は覚えているけれど、うーん、強いていえば人の数が少ない、という点が今と違うところかな。あと、アジアやアラブ系が今よりずっと少なかったようにも感じます。全てがおぼろげで、ごめんなさい、過去のtémoignage 証言 として全く役に立ちませんね。
はじめてのフランス、はじめてのベルサイユ
ただ、あの方のことだけは覚えています。
「あの方」とは、ベルサイユ宮殿を案内してくださった日本人のガイドの方。宮殿内を見学したあと、寒々とした庭園を歩きながら、「今は季節的にこうだけれど、春や夏は素敵なんです」、と熱く語られていた小さなお顔が今でも目に蘇ります。
「夏は、こちらの庭園も夜10時過ぎまで明るくて、音楽が流れるなか、そこらかしこでピクニックを持った人達が飲んで食べて踊って。ほんとに楽しいんですの」
「わたくし、ベルサイユが好きで好きでフランスに居ついてますの、ええ、もう二十年」
小柄で、確か眼鏡をかけていらしたような。でもレンズの奥の瞳が輝いていて、大人でもこんなに生き生きとした女性がいるんだ、と小さく驚いたのでした。
あっという間ね……
こうして書いていても「ちょっと昔のこと」のような感覚なのですが、もう30年、ううん、40年近く前のこと。そして、「あのわたし」は、今「あの方」が愛した街に住んでいる……。
運命のsign……訳するなら兆しかな? に鈍感なわたしですが、もしかして「あの方」との際会はそれだったのかもしれない。
そんなことに気づいた今朝です。
次にフランスに行ったのは、客室乗務員時代&旅行で。
その②で会いましょう。
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