パリのプロフィール
noteをスタートしました!しばらく慣れるまでは、昔ブログで書いたもので、閲覧が多かったものを転載します。
これは、パリに住んでいた時代に書いたものです。パリには2004年から2014年まで住みました。写真は昨年、トロカデロ広場から撮ったもの。ロックダウン下の今はこんなに人はいませんね……。
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パリに住むようになって3年弱、少~し見えてきたことがあります。
パリは区によって、そこに住む人の考え方も異なるってこと。
パリ市って、実はとても小さいのです。パリは全部で20区、東京は23区と似ているようですが、面積は約6分の1。
それなのに、地区によって、左派、中道右派、ブルジョア、ボボ(ボヘミアン・ブルジョア)、屁理屈好き、偽善的、カトなど、もう、思想・政治概念まで地区独特の傾向がある。
まず、用語説明しなくちゃですね。独断的な解釈ですので、悪しからず。
・左派
フランスといえば、自由、平等、博愛。この「平等」にこだわる人達のことだと思います。
・中道右派
経済重視する人達?
・ブルジョア
小金持ち、中流階級以上
・ボボ
左派に近いけど、平等よりも「自由」にこだわる人達。今の時代、自由でいるためにはお金が必要だから、ブルジョアでもある。
・ カト
カトリック教徒への蔑称。得てして何かと敬虔なカトリック教徒ぶる人達に使われる
ボボと左派、中道右派とカトはダブっているところも多いです。
パリといえば、右岸、左岸という区別もされますが、私はそれよりも地区で特徴があるように感じます。
私が住む16区は、ブルジョア地区の代表。パリの西端にあります。東京でいうと世田谷区でしょうか。いわく、面積的に大きくて、田舎っぽいところもあるけれど、成城、代田などのように高級な場所もあるし、庶民的な地区もある、という。
ラミュエット通りにはボン・マルシェのグルメ館があり、ブティックも並んて目抜き通りとなっています。
モネの絵画がたくさんある、マルモッタン美術館も16区にあります。
また、全仏テニス・オープンが開かれるローラン・ギャロスや、ブローニュの森も16区に含まれます。
この辺りは学校(日本語を教える公立校があります)関係で、日本人が多く住んでいたことも、嬉しいサプライズでした。
これがパリ中心、オペラ座辺りから東に行くにつれて、左派度+ボボ度が強くなる。9、10、11区など中心から東に向かうに連れ、そんな感じ。雑踏の街で商業も多く、高級には見えない住宅、不動産でも、地価はとっても高級。
中央の1、2、7、8区などは、不動産は超高級だし、ブルジョアというより、お金持ちの街です。
東京も、ハイソな区、柄の悪い区など、あるけれど、パリの場合はそれプラス思想まで絡んできます。東京だと、「あそこ?高くてダメダメ!」とか、「あそこは学校の評判悪いからダメダメ」いう会話はあっても、「あそこ?あんな右な区には住みたくない」とか、「あんなカトなの、嫌だ。僕は信仰をもたないからね」なんて聞かないでしょ?
例えば、先日のパリ13区在住の友人との会話。
子供にとって環境の良いところに住みたい、という話になり、「16区は公園が多いから悪くないよ」というと、「あんなブルジョワな街には住みたくない。お高く止まったBCBGなんて性に合わないわ」と面と向かって言われましたっけ。
一方、先日聞いた話。
夫の上司が16区で最も高いと言われている通り沿いのアパルトマンを買いました、と。
この上司は元々マルセイユ(南の大きな港町)に出身で、昔パリに上京したとき何か感じることがあったらしく、「いつか、16区のこの一等地に住んでやる!オレの子供を、そこのお高くとまっている私立に通わせる!ブルジョアになってやる」と野望を持って頑張ってきたそう。
また、パリの人は、子供の学校休みなどバカンスは、田舎に行ったり、リゾートに行ったりと、遠出をしなくてはいけない、という概念があります。
私は、8月のパリなど、空っぽで親子でも移動しやすいので大好きなのですが16区のブルジョアなママ友などからは「何するの、8月のパリなんて」とあきれられています。
そこで私もムキになって、「どこどこの公園に行ったら面白かったわよ、パリ・プラ-ジュも行ったの」と、東側にある地区の名を挙げたり、セーヌ川沿いを砂浜にするイベントのことなどを口にすると、
「あんなところに行ってどうするの、危なくなかった? 雑踏だけで何が面白いっていうの?」と、変な人という目で見られましたっけ。
要は、パリの人は自分の小さな庭にいるのが好きなようです。
私は、これにちょっと反発心もあり、また子供に色々な世界を見せておきたいとも思っていました。それでメトロに乗って、市バスに乗ってどこまでも行く、これが正しいのだ!と通してきたのです。
でも、それも、最近は少しトーンダウン気味です。
何だろ、郷に入ったら郷に従え、かな。
あと、私としてはそれこそ「平等」を重視し、偏らずにお付き合いすべきと思って、あちこち行ってたけど、実はそれって、色々な方の「庭」に侵入しているのかな、と感じることもあり。
それと、思想のぶつかりに疲れた、これもあるかも。正真正銘の庶民の私なのに、16区に住んでいるというだけでブルジョア視され、ボボさん達の尖ったニヒリズムにいじられるのは楽しくありません。斜に構えた姿勢って、一見カッコ良くみえるけれど、その実は、何ももたらさないと思う。
今の私には、私の庭ならぬ、ブローニュの森の庭園でのんびり休日を過ごす、これが合っている。
誰もいないし、静か。猫と自然しかない。
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