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パリの私立校、公立校

この文章は今から十年近く前に書いたものです。このとき幼稚園児だった二人の子猿は、今やコレージュ(中学)生です。

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6月の中旬となると、パリでは学期末の発表会が目白押しとなります。

フランスの学校は、9月スタートの7月頭終わり。日本と異なり、フランスは、入学式や卒業式がありません。よもや始業式、終業式など、ないない。
その代わり、フランスではKermesse (カーメス)と呼ばれる、学芸会と文化祭の混ざったようなお祭りが催されます。

今日土曜日のパリはミニ台風と台風一過が一日の何回も繰り返すような疲れる天気でした。

カーメスは10時開始で、はじめの1時間半は児童発表会です。
雨がぱらつく校庭の、即席ステージで子供たちは踊ったり寸劇を演じたり。
親は半分くらいは席を見つけ、残りは立ったまま観覧します。去年も同じでした。

毎回何が悲しいかというと、それは親同士が喧嘩しちゃうこと。
前方にいる親が身勝手に立てば、後方の親が「見えないぞ!」と怒鳴る。それに対して、「あれ、うちの子なの」と微笑み返す、太々しいマダムもい るし、「煩い!」と怒鳴り返す人もいる。
今回笑えたのは、「(そのカメラ)ズームがついてるだろっ」、「使い方わかんないのよっ!」というの。

子供達は幼稚園と小学校と併設された公立に通っています。
品の良いエリアと呼ばれている16区なのですが、当校はかなりメルティング・ポット。ブルジョワ層は、皆私立に子供を送り込んでいるのでしょう。公立にはその残りが来ているという感じです。白人率は1/3~1/4位でしょうか。貧富の差も見受けます。

校舎は、こざっぱりした鉄筋ビルです。
幼稚園は一クラス25人くらい。
8時半から16時半まで預かる割にはアクティビティーが少ない気がしないでもないけれど、事故もなく、良い先生にも当たり、子猿達も嫌がることなく登園したので、私と夫は満足しています。

カーメスに話を戻すと、発表会のあと、PTA持ち寄りのビュッフェがあります。ビュッフェと言っても、ただ机並べて、その上にチップスの大袋が幾つか(私提供)、あとは、何かス プレッドを塗っただけのサンドイッチ、飲み物はコーラというさっぱりしたもの。いいんですけどね。

私達、あまりの人手と喧騒にビュッフェは諦めて、その足で、ブローニュの森に隣接する、とある私立校のカーメスを訪れました。

9月から、子猿達はこの私立校に入学するのです。
兄猿が小学校に進級するので、教育面で評判高いこの学校を試すことにした次第です。
フランスの私立校の多く は、政府から補助金を貰っているので、英米に比べると控えめな授業料。大体一年当たり1000ユーロ前後でしょうか。
なので、日本のように、私立=ハイ ソ、リッチということありません。
また、お受験などはなく、セレクションも厳しくはない。
高校などは、公立の方が学力高いことも多い。
……これがフランス私立校事情と聞いていました。

ところがどっこい!
まず校舎! この学校は昔のロシア貴族の館だったとかで、館というより、お城なのです。そこの扉から、モーツァルトがヤギのようなカツラにタイツ姿で出てきてもおかしくない、そんな雰囲気なのです。
今回初めて敷地内を隈なく観たのですが、圧巻です。子供のお遊戯室は、オランジュリーという、その昔はオレンジの樹木を冬季に保存するための、ガラス張りのエレガントな建物を使うんですって!
さっきまでいた公立校とは雲泥の差ではないですか。

また、以前面接(親が面接されます)に来たときは、皆、公立校と似たような人種・装いなのね、なんて思ってましたが、今日改めて見ると、白人ばかりですし、装いも小奇麗。
午前中のカーメスでの親同士の口論を思い出してしまいます。

またブッフェが合ったのですが、レベルが違うこと!
綿あめのスタンドがそこら中にあり、甘い匂いを漂わせています。
BBQに並んだら、子猿たちの歯医者さんが仕切っていました。お子さんがこの学校だそうです。
ベイクセールでは美味しそうなお菓子がたくさん。こちらのスタンドにいらしたマダムも、教会で見かけるBCBGな方でした。
そのほか、飲み物のビオ(有機)のジュース、ソーダ類、あと大人のためにはシャンパーニュからビールまで、ワインは赤白ロゼなんでもあり、です。
食べるエリアも、緑の中でずらーっとテーブルが設置されていて、ガーデンパーティのようでした。

アトラクションもたくさんありました。
公立校では、たらいに水張って、ゴムの鴨を釣る程度でしたが、こちらは Bouncing Castle(ビニール製の巨大な滑り台)あり、射的あり、迷路あり。お金かかってます。

やはり、公立と私立、何かが違うような気がしてきました。
BOBO(ボヘミアン的生活を好むブルジョアジー。従来の富裕層の「富をみせびらかす」傾向を嫌い、より自然に近い生活を求める人々)とブルジョワ(上流階級意識を持つ階層)が、個人レベルで話すると、意外と似た思考をするのに、団体としてみると違うものとして存在しているのと同様に、公立組と私立組ではまとめて比較すると「何か」が違う。

あぁ、9月からのPTA、大変でないといいな、子猿達にとって良い環境であるといいな。

そんな今夜、我が家のおかずは餃子でした。
子猿達は餃子を作るが好きで今日も、台所に三人並んでの作成。
兄猿は餃子の皮を私に渡す役、ちび猿は、私が作ったのをお皿に乗せる役。自分も子供の頃、餃子のお手伝いしたのを思い出します。計60個は作りました。
食卓では、「餃子のときはご飯いらない。沢山食べたいから。」「美味しいね。また作ろうね」と言いながら、二人とも父親より沢山食べます。

こんな素朴で庶民的な生活と、あのパレスのような学校がダブらないんだけど、こうやって、彼らなりの「ミックス」を作って育つのでしょうか。

私の知らない文化圏に突入する彼ら、どんどんママを置いてけぼりにして頑張ってね。

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