「父親が育児をできる社会」は「母親も育児しやすい社会」だから
こんなクラウドファンディングに寄付をした。
父子手帳(的なツール)をつくる、という手法がいいかどうかはともかく、趣旨にはとても賛同できる。(父子手帳的なものは、これまでもファザーリング・ジャパン等が作ってきたものもあるし、それらが一定の効果を生んでいるかどうかはよくわからない)
男性は妊娠・出産どころか、育児・家事に関する知識も技術もないかもしれないし、それらを身につける機会もこれまであまり設けられてなかったのかもしれない。
妻の妊娠中に知識を身につけてこなかった、知りもしようとしなかった、父親が悪いのかもしれない。と思う一方で、そうした機会から無意識のうちに男性が排除されていたのかもしれない。
今では、ほとんどの自治体でだいたい父親向けのリーフレットも配られている、と思う。が、圧倒的に情報量は少ない。
母親向けの冊子には、具体的な妊娠・出産・育児にまつわる体の変化、栄養、病気やそれぞれの時期の過ごし方や対応などが書かれている一方で、父親向けの冊子は数ページしかなく、パートナーシップが大切です、とか育児を楽しみましょうとか、そんな程度だ。
もちろん、自分で情報を取りに行けば、たくさん得られる情報はある。
夫婦で妊娠の経過を共有するアプリもあるし、出産後も育児記録を共有できるアプリもある。
怪我や病気に関する情報は、以下のサイトが参考になる。
そもそもの保育などの制度については、内閣府や厚労省のサイトを参考に。
あと、エンジニアとデザイナー夫婦のイミーさんのサイトも参考になるしとても見やすい。
女性の妊娠・出産(だけに限らず)様々な健康に関することは、日本産婦人科学会のサイトや冊子が参考に。
子どもの栄養に関することは、母子栄養協会を参考に。
というように、今でも、時間をかけて夫婦で共有して、情報を自ら探しに行けば、見つからないこともない。
情報を教えてくれる人がいない、どの情報が正しいの?、という悩みは男性に限った話でもない。
Twitterのアカウントを作れば、上記のサイトの公式アカウントや、このクラウドファンディングにも賛同している今西先生などをフォローしていれば、だいたいの最新情報も得られる。あとは、図書館などでたくさん本を借りて、信頼に足るものを見つける。
そこまでのことを誰が教えてくれるだろう。
教えられずともやるしかない、という切迫感はたぶん父親に足りていないものなのかもしれない。
でも、そうした「準備不足」の全てを父親個人の意識の問題として捉えるより、社会の構造の問題として捉えて解決できたほうがいい。
わたしも育休中、ちょっとしんどいなと思ったことがある。
「ママ限定!子どもを預けてヨガでリフレッシュ」とか「ママ向け交流会」とか、なにかとママ限定のイベントが多くて、そもそも父親は参加すらできない、というものだ。
仮に父親向けのものがあったとしても、それはいかにも「子育て初心者向け」な感じの講座だったり、「育児にかかわることの大切さ」を訴えるものだったり、パパを支援し「パパの育児のしんどさ」そのものを取り除くものはなかった。
こういうママ向けの支援だけが書かれたパンフレットを見ると、わかっていてもチクチクと刺さるものがある。いわゆるマイクロアグレッションを感じる。
結局のところ「しんどい」と思ったとき、自分でお金をつかってベビーシッターを依頼するなり、家事代行を使って料理してもらうなりするしかない、というのが現状の父親支援の実態だ。
そもそも家事や育児をそこまでガチでする男性が少ないから、そんなニーズが無いのだ、というのも分かっている。
育児をする男性を増やす、父親向けの講座や情報サイトを増やす、という「ニーズ」と「支援」は両輪で動いている。
父親向けの支援が充実すれば、育児をする男性が増えるし、育児をする男性が増えれば、父親向けの支援のニーズが出てくる。もっと父親の支援が充実された社会になってほしい、と思う。まだまだ育児に積極的な男性は少数派かもしれないけれど、マイノリティのニーズが満たされれば、マジョリティもその恩恵を受けられる。
父親にも支援がなされている父親が育児できる社会は、母親にとっても育児しやすい社会になっているはずだ。
読んでいただいて、ありがとうございます。お互いに気軽に「いいね」するように、サポートするのもいいなぁ、と思っています。