ざらざらをさわる
夏の風邪はしつこくてしぶとい。なかなか体の中から消えてくれなくて、まだ生き残っている。
寝ながらスマホを触ることも、なんか体に悪そうで、とりあえず目を瞑ってラジオを聴いたり、映画を聞き流したりしている。
外は横殴りの雨で、昼でも部屋の中は暗い。暗いなかで一人咳をしている。
たくさんの本を手に届く場所に置いて、ときどきパラパラとページを捲る。言葉はあまり頭に入ってこなくて、何度も読み返しては同じ文章を眺めている。それでも、紙の本のざらざらとした手触りが心地よくて、それだけでも満足している。
三好愛さんの絵は、どれを見てもかわいい。この世とは違うなにか、影の世界の生きもの、そんなものたちと隣り合わせで暮らしているような気分にさせてくれて、自然と不思議な物語に誘われる。川上弘美さんが好き、と以前ギャラリーお会いしたとき話されていた。『ざらざら』も川上さんの影響だろうか、とてもよく似合う世界観が良い。
熱でぼんやりした頭で、触れるようで触れないような雲みたいな生きもののことを考えている。夢うつつのあわいの世界で、彼らと会えるだろうか。
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