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民間企業からNPOへの転職の難しさ

とてもわかりやすく共感できる記事だったので、私の経験からも少し書いてみたい。

わたしも、民間企業からNPO業界に転職して2年ほど経つ。特に、NPO業界に入りたい、という強い思いがあったわけではないけれど、自分の好きなことをやりたい、という気持ちが強くあったと思う。

実際、好きなことができて楽しいけれど、スッとハマるまでには少し時間がかかった。スタートアップとも大企業とも少し違う、NPO業界特有の空気感。

この空気感に馴染めず、民間企業とのギャップでやめていく人もみてきたし、気持ちもよくわかる。
ところが、この空気感を説明するのは少し難しい。一概に語れるものでもないし、語れるほど多くを見てきた人も少ないのではないだろうか。それがその組織だけのものなのか、NPO業界特有のものなのか、正規の職員の立場から、ボランティアの立場から、外部のパートナーとしての立場から、それぞれで見える景色も違うだろう。

NPOへの期待とモチベーション

NPOで働くこと、社会課題を解決すること、それに憧れを持ってみんなNPOへ関わりを持つ。社会貢献したい、という気持ちはとてもありがたいし、そうした善意が実際社会を変えることもあるはずだ。
一方で、善意というものの扱いが難しい場合もある。やっぱり善意だけでは続かないこともあるし、善意でやってることが否定されたり実らなかったら、だんだんやる気がなくなってくる。

社会課題はすぐには解決しない。すぐに解決しないから、いろんな人の力を借りて、協働して、政策提言もして、仕組みを作っていく。

凄腕の事業責任者が入ってきて、たった一人でゼロから1年足らずで問題を解決した、なんて事例は、私はまだ知らない。できるものなら、やってみてほしい、と思う。

ちゃんとしたNPOほど会計情報をはじめ、いろんな事業に関わる分かりやすく開示している。どれくらい寄付をもらっているか、助成金や補助金を得て何の事業に費しているか、年度ごとの事業報告、決算書。こうした情報は開示する必要があるため、サイトや内閣府のページを見ればわかる。
NPOには、それらを開示できるだけの管理能力があり、システムが整っている。たぶん世間の人が思っている以上に、しっかりしているのだ。

民間のノウハウが活かせなかったらどうする

民間企業からNPOへ、という文脈には民間企業で培ってきたノウハウを活かして社会貢献したい、という意味合いも多分に含まれていると思う。でも、NPOにはすでに民間出身者が集まっている、というケースもある。
元大手メーカーや広告代理店、行政、外資系、スタートアップ出身者など、意外なほど様々なプレーヤーがいる。大手のコンサルや銀行、外資系企業がプロボノとして数ヶ月のプロジェクト単位で参画していることもある。

もし、自分の持っているノウハウを活かせなかったら、あるいはそれが一瞬で終わってしまったら、その先どうする?という問題もある。転職する場合、短期的には自分のやりたいことができたとしても、その先はまた違う仕事を任されるかもしれないし、そうなったときにそれでも続けたいと思うかどうかは、またわからない。

そういうこともあって「NPOを本業として働く」人はまだまだ少ない。
何億というすごく大きな規模で寄付を集め、活動しているNPOでも正規職員が十数人というのも珍しくない。

NPOで働き続けるのはたぶんすごく難しいことなんだと思う。
寄付金や助成金をメインの収入源とする経営は不安定で、高い給与は出せず、仕事はマルチタスク。少ない正規職員で、多くのボランティアを抱え、活動を回す。やってもやっても成果は見えづらいこともある。
いろんなプレーヤーがいるなかで、変化に富む環境のなかで、自分にとって最適な居場所を見つけるまでには時間がかかるし、見つけたと思ったらまた変わるかもしれない。

自分のノウハウを活かせない、十分に発揮できない、と(感じて)辞めていくというケースもみてきた。自分の得意領域で力を発揮できて、高いモチベーションのまま働き続けられるのなら、とてもタイミングと運がいい。

何度でも学び直す

暗いトーンばっかりなので、明るい話をする。わたしのいるNPOは、外から見ているときは順調そうだな、と思っていたけれど、中からみると失敗ばっかりしているな、と印象が変わった。
でも、それでいいんだ、と思えるようになった。新しいことをする、社会課題の解決にチャレンジする、何度も失敗して当然だし、そのたびに学び直す力のほうが大事だと感じるようになった。
仕事で失敗することはたくさんある。わたしも意気込んでNPOの世界に入って、今までのやり方だと通用しなくて戸惑ったこともいっぱいある。それでも、学び直せる環境があり、実験的な仕事ができるのがNPOだと思う。

思ったようにうまくいかなくて落ち込んだり、歯がゆい思いをしたり、いっぱいあると思うけれど、何度もチャレンジを繰り返せる環境だから、多少の覚悟は持ちつつも、気軽に飛び込んできてくれたら嬉しいなと思う。

社会課題を解決するのは一筋縄ではいかないことがほとんどで、だから試行錯誤を繰り返す。その時間のかかる作業を、一緒にやっていくことが楽しいと思えるようになったら、なんとなくNPOの世界でやっていける気がする。

わたしも働いていて、不安にならない、なんてことはない。この先、なにしようみたいなこともまだわからない。けれど、しばらくはいまの居場所でNPOの世界にどっぷり浸っていたい。

いまは便利な世の中で、たまにほかの世界を覗きたいと思ったら、副業をすることもできる。迷ったら、外部の専門家に相談することもできる。

ちょうど、1年前くらいに、冒頭で紹介した高瀬さんのカウンセリングを受けた。おかげで、腰を据えてじっくりとキャリアを楽しむことができている。ときどき休んだり、立ち止まったりしながら、この先の景色も楽しみたい。

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yukiota
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