
いつかは北のほうに移住したい
暑いので、思考が単調になる。
毎日クーラーをつけているけれど、あんまり効かなくなってきた。もうクーラーの限界なのか、今年は特別暑いのか。我が家は都会の団地の最上階である。部屋が暑くなる条件も整っているせいもあるだろう。
どちらにしろ、人類はそのうち、あるいはすでにクーラー無しでは生きられないし、夏の外出は危険でしかない。
と夏が来るたびに同じように暑さに対する不満を膨らませ、いつかは北海道に移住してみたい、と妄想をしている。理想は30年後。でもその頃にはみんな同じことを考えるだろうから、早めに土地だけでも目処をつけておきたい。
単純に緯度の高い場所、もしくは標高が高い場所なら涼しいだろう。
でも、本土の山よりも北海道の広い平野がいい。山は天気が激しいかもしれないし、山道は年を取ればつらくなる。なるべく平地でなだらかなところがいい。
なんとなく北海道の南のほう(で合ってるかわからないけど)、帯広あたりを想像している。
いいなあ、北海道、と妄想するだけならタダである。知らない土地のことを調べるのも楽しい。どこの地域もだけど、移住希望者のための情報は山ほどある。
妄想するあいだは面倒なしがらみのことは考えない。面倒なことはいつか本当にするときにならないとわからない。今はただただ妄想を楽しんで、暑い夏のやり過ごし方を考えている。
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古本屋でメイ・サートンの『70歳の日記』を買った。あと30年もすれば私もその年になる。子曰く、70歳になると「強くなったと思います」とのことだ。より正確に言えば、「自分の力をうまく使えるようになった」と。
そんな先の人生のことまで、本当にはわからない。わからないから、適当な理由をつけて妄想して、誰かの日記に憧れて、効きの悪い冷房に少し文句を言いながら、暑い夏を部屋で過ごしている。
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