Tokyo COVID-19;8/31/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する8月31日のノート

概観

・報告日ベースの陽性者数は8月13日に5,773名と最大値を記録した。8月31日は2,909と3,000名を割った。ピークアウトと考えられる。
・発症日別の陽性者数では8月15日前後でピークアウトしているが、検査数や東京都の発熱相談センターへの相談件数が高いレベルで維持されている点等から陽性数が減少に転じてもその減り方は鈍いものになると思われる。
・若年層の重症化に関しては、8月31日現在で10代0名、20代5名、30代20名と増加には頭打ちの傾向が見られる。40代から60代の重症者は8月31日の時点で40代が42名、50代119名、60代56名と重症者の中心を占めており、特に50代の重症者が急増しているが、この年齢層へのワクチン普及が低いためと見られる。重症者の中心であった70代は5月19日の28名をピークに、半数の14まで減少したが8月29日現在では39名と5月のピークを超えている。これに伴う今後の死亡数の増加が懸念される。
・死亡日別の死亡者は7月20日前後から再び増加しているが、8月15以降は増加ペースが上がっている懸念がある。
・年代別感染の推移を見ると7日間移動平均に関して、20代から50代に続いて20歳未満、60代、90代も減少に転じ、増加を続けていた70代、80代も頭打ちになった。
・Google Mobility の観測によると、人流は7月の4連休明けも連休前に対して減少の傾向が見られた。8月8日の週は連休からお盆に入り「職場」や「乗換駅」が減った。お盆明けの週も7月の連休前に比べると人流は抑制されているが、徐々に増え始めた感じがある。この人流の変化が感染数の減少に与える影響が注視される。

感染者数の全体推移

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8月31日の東京都の感染数は2,909名と前日(8月30日)から994名の増である。内訳は濃厚接触者1,226名(前日比+418)、経路調査中1,679名 (同+576)である。経路調査中の1,679名は1週間前の8月24日に比べて921名の減である。
経路不明者の7日間平均は2,040名と前日より132名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 2,040 前週比 73%
1週間前 2,784 前週比 99%
2週間前 2,825 前週比 112%
3週間前 2,520 前週比 116%
4週間前 2,178 前週比 195%
5週間前 1,119 前週比 154%
6週間前 726 前週比 150%
7週間前 485 前週比 134%
8週間前 361 前週比 101%
と週単位で見ると再増加した感染数が急速に減少している。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
8/31より遡る7日間 前週比 -27%
8/30より遡る7日間 前週比 -23%
8/29より遡る7日間 前週比 -23%
8/28より遡る7日間 前週比 -19%
8/27より遡る7日間 前週比 -15%
8/26より遡る7日間 前週比 -12%
8/25より遡る7日間 前週比 -9%
8/24より遡る7日間 前週比 -1%
8/23より遡る7日間 前週比 +5%
と減少を続けている。

検査者数(最新8月30日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになる。移動平均では6月22に7,458名まで下がったが、それ以降は増加が続き、直近では16,000名近い高い値が続いている。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がった後上昇に転じ、8月15日(お盆期間中)に23.8%まで増加した。直近の値は検査数が増加した事もあり18.0%と下がりつつある。

発症者数(最新8月30日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表08

補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・8月1日に3,248名のピークを持った後に一旦は減少したが、その後増加し、8月10日には3,800名を超えた。その後頭打ちになり直近では3,000名を割っていると考えられる。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し、7月下旬に1.6超えたが、直近では1.0以下まで減少していると考えられる。

東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新8月30日)
・8月30日は2,837件であった。
・7日間平均もこれにより2,980件と3,000件を割ったが、依然として高い値である。

重症者推移

重症者数は287名と前日と同じ。年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。

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・若年層の重症者数は8月31日現在では10代0名、20代5名、30代20名と重症化数と回復数がバランスして(臨床データが無いので、あくまでも推測である)増加が頭打ちとなった様にも見える。
・40代から60代は8月31日の時点で40代が42名、50代119名、60代56名と、重症者の中心を占めている。特に50代の重症者が急増している。これも同様に推測であるが、50代の重症化は病床占有期間が長くいために重症者が増えて見えている可能性がある。この場合、今後回復数が増えてくれば重症者の上昇が鈍る事が考えられる。
・主要な重症者層であった70代は5月ピークの29名(5月18日)から7月の第1週に14名と半減したが、それ以降は増減を繰り返し8月31日は39名と5月のピーク値を超えている。感染が徐々に高齢層に伝搬し始めたためと考えられ、今後の死亡増が懸念される。
40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者累積カーブを見ると8月上旬に変曲点が出来、増加が鈍り始めた様である。これに対して死亡者の累積カーブからは、8月中旬から増加幅が増えている。
8月31日付で15名の死亡報告があった。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。 
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、GW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がった。
そこから増加を始め5月21日の70名をピークに減少6月末には週あたり10名とGW中の値を下回ったが、7月中旬に20名まで増加し、7月26日に7名まで減少したが、直近は、100名(1日平均14名)と前回のピークを超えている。
死亡者を死亡日別で見た場合、報告の遅れが1週間前後あるため直近の値は低くなる傾向がある。このため直近の1,2週間は棄却するのが妥当であるが、それ以前の期間のトレンドを見ると、7月下旬から増加を始めており、特に8月中旬から増加のペースが上がっている懸念がある。

年代別推移

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・感染者の7日間移動平均に関して、20歳未満、60代、90代も続いて減少に転じ、70代、80代も頭打ちになった。
・8月30日現在の65歳以上の感染数の移動平均は179名と8月26日に203名と年始(265名)の80%近い値に達した後、緩やかに減少している。感染数の増加に遅れて重症者が増える傾向にあるため、今後の重症者の増加が懸念される。
・65歳以上の感染数は8月30日は142名(前日比-53)、全感染者に占める割合は4.9%である。
・20歳未満の感染数が増加している。この年齢層は重症化率が低いため今のところは医療機関への負荷は比較的軽いとは思われるが、今後の推移に注視が必要である。

グーグルモビリティ(最新8月25日) との相関

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グーグルモビリティに8月25日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。

・7月の連休明け以降「乗換駅」、「職場」のモビリティの低下が見られた。8月8日の週は連休からお盆休みに入ったため「職場」「乗換駅」は低下したがが、「小売・娯楽」に対する抑制効果はあまり見られなかった。
・お盆明けの週も7月連休前に比較すると「職場」「乗換駅」に加えて「小売・娯楽」でも人流が抑制されている。
・グラフ上のRtは7月の連休以降の低下が見られる。

第1波、第2波、第3波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第4波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第4波と第5波で年代別の構成比率を見ると、第5波では感染数に関しては60代以上の比率が大きく下がっているが、これはワクチン接種の効果が出ているものと思われる。ただし、比率は下がっているが数としては徐々に増えて来ており今後の推移に注視が必要である。死亡者に関しては、まだ総数が141と少ないため確たる事は言えないが、70代、80代の占める比率が下がり替わりに50代が急増している。また数としては少ないが30代、40代の比率も上がって来ている。これはワクチンの接種が遅れている事が起因していると考えられ、これらの年代へのワクチンの推進が喫緊の課題と言える。

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