Tokyo COVID-19;8/19/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する8月19日のノート

概観

・報告日ベースの陽性者数8月13日に5,773名と最大値を更新した。8月19日は5,534名とそれに次ぐ値である。発症日ベースの感染数では頭打ちをしている可能性もあるが、今後の推移に注視が必要である。
・変異株により若年層の重症化リスクが増えて来ていると報じられている。8月19日現在で10代1名、20代3名、30代18名と増加の傾向は見られるが、まだ総数としては多くはない。40代から60代の重症者は増え8月19日の時点で40代が51名、50代112名、60代60名と重症者の中心を占めており、特に50代の重症者が急増している。重症者の中心であった70代は5月19日の28名をピークに半数の14まで減少したが8月18日現在では23名と再び増加している。今後の死亡数の増加が懸念される。
・死亡日別の死亡者は5月下旬からは下げ止まりから増加の傾向にあったが6月に入って減少に転じた。ただし直近では下げ止まりの傾向も見られ予断はできない。
・年代別感染の推移を見ると70代以上も7月に入ってからは増加の傾向にある。高齢層の感染は重症化、死亡につながるため、感染増が高齢層に波及するかに注視が必要である。
・Google Mobility の観測によると、人流は7月の4連休明けも連休前に対して減少の傾向が見られた。8月8日の週は連休からお盆に入るため「職場」や「乗換駅」は減っているが「小売・娯楽」については抑制効果はあまり見らない。これらの人流が感染数に対してどう作用するか、今後の動きに注視が必要である。

感染者数の全体推移

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8月19日の東京都の感染数は5,534名と前日(8月18日)から148名の増である。内訳は濃厚接触者2,193名(前日比+131)、経路調査中3,341名 (同+17)である。経路調査中の3,341名は1週間前の8月12日より87名の増である。
経路不明者の7日間平均は2,933名と前日より12名の増である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 2,933 前週比 117%
1週間前 2,516 前週比 107%
2週間前 2,349 前週比 162%
3週間前 1,449 前週比 169%
4週間前 856 前週比 156%
5週間前 549 前週比 136%
6週間前 404 前週比 129%
7週間前 314 前週比 119%
8週間前 263 前週比 103%
一旦鈍った直近では増加幅が再び増え始めた可能性がある。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
8/19より遡る7日間 前週比 +17%
8/18より遡る7日間 前週比 +16%
8/17より遡る7日間 前週比 +12%
8/16より遡る7日間 前週比 +2%
8/15より遡る7日間 前週比 +3%
8/14より遡る7日間 前週比 +6%
8/13より遡る7日間 前週比 +6%
8/12より遡る7日間 前週比 +7%
小さくなった拡大の幅が再び大きくなっている。

検査者数(最新8月18日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになるが。移動平均ではGW明けから増加に転じ9,000名前後になった後、6月に入って減少し、6月22に7,458名まで下がったが、それ以降は増加が続き、一時期15,000名に迫り直近でも高い値が続いている。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がったが、直近の値は23.3%となっている。陰性者数の報告が遅れて来るため、陽性者が増加している場合は直近の陽性率が見掛け上高くなる傾向があるが、1週間前の8月11日の陽性率でも22.6%であり23%に迫っていると思われる。

発症者数(最新8月18日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表08

補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・7月に急速に増加し2,500を超えた。8月上旬に入は補正値で3,200から3,300名程度に増え、その後減少したが、直近では増加し3,600名まで増えた可能性がある。

実効再生産数
・GW期間中の感染数の減少により1.0を割り、それ以降0.9前後が続いたが、5月25日前後から上昇し、6月6日前後に1.0、7月7日前後に1.3を超えたが、直近では頭打ちになっている可能性もある。

東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新8月18日)
・8月18日は3,012件であった。8月11日以降、平日も含めて3,000件超が続いている。
・7日間平均は増加傾向にあり、8月18日は3,154件であった。

重症者推移

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重症者数は274名と前日から1名の減。年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。

・δ型変異株による若年層の重症化リスクが報道されているが、8月19日現在では10代1名、20代3名、30代18名と増加の傾向にはあるが、まだ数として多くはない。
・8月19日の時点で、40代が51名、50代112名、6代60名と、50代から60代が重症者の中心を占めている。特に50代の重症者が急増している。
・主要な重症者層であった70代は5月ピークの29名(5月18日)から7月の第1週に14名と半減したが、それ以降は増減を繰り返し8月19日は22件と再び増加している。感染が高齢層に伝搬し始めた懸念がある。
40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者累積カーブを見ると8月上旬に変曲点が出来、増加が鈍り始めた様である。これに対して死亡者の累積カーブは、ほぼ直線状に増加している。
8月19日付で4名の死亡報告があった。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。 
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、GW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がった。
そこから増加を始め5月21日の70名をピークに減少6月末には週あたり10名とGW中の値を下回ったが、7月中旬に20名まで増加し、7月26日に7名まで減少したが、直近は、33名(1日平均5名)と増減を繰り返している。
死亡者を死亡日別で見た場合、報告の遅れが1週間前後あるため直近の値は低くなる傾向がある。このため直近の1,2週間は棄却するのが妥当であるが、それ以前の期間のトレンドを見ると、5月下旬からは下げ止まりから増加の傾向にあったが6月に入って減少に転じている(ただし、直近については予断できない)。

年代別推移

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・感染者の7日間移動平均に関して、70代、80代も7月に入ってからは増加の傾向が見られる。
・65歳以上の感染数の移動平均は5月13日の103名に対して、7月7日には30名まで下がったが、その後増加に転じており8月19日時点では183名と前回のピークを超え年始(265名)の半分を超えた。他の年齢層に比べてペースは鈍いが、増加の傾向にはある。
・65歳以上の感染数は8月19日は243名(前日比+33)、全感染者に占める割合は4.4%である。

グーグルモビリティ(最新8月12日) との相関

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グーグルモビリティに8月12日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。

・7月の連休明け以降「乗換駅」、「職場」のモビリティの低下が見られた。8月8日の週は連休からお盆休みに入ったため「職場」「乗換駅」は低下しているが、「小売・娯楽」に対する抑制効果はあまり見られていない。
・グラフ上のRtは7月の連休以降の低下が見られる。

第1波、第2波、第3波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波、第2波では感染のピークから遅れて高齢層の感染が大きく増加する現象が観測されたが、今のところは70歳以上の高齢層の増加が抑えられているように見える。この層に対するワクチン接種の効果が考えられるが、遅れて増加する可能性もあり、引き続きの注視が必要と言える。

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