Tokyo COVID-19; 12/30/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する12月30日のノート

概要

・報告日ベースの陽性者数は64名、増加傾向にある。昨年は年末年始で陽性者数が減少したが、今年も同様の動きになるかに注視が必要である。
・発症日別の陽性数より算出される実行再生算数(Rt)は2021年9月初旬から10月初旬まで0.6前後で推移した。その後上昇し11月初旬には1.0を超えるに至ったが、それ以降は不安定な動きを繰り返している。直近では1.4前後まで上昇しているが、ベースとなる発症日別陽性者の数が25名前後を推移する状況であり、算出されるRtにどこまで意味があるのかは不明である。
・重症者数に関しては、50代の1名に減っている。
・直近の1週間の死亡者の報告は2名である。
・Google Mobility の観測によると、12月第4週(12月19日の週)の人流は、12月第3週より若干増えた。またこの人流は昨年の同時期(第3波の最中)よりも多く、計算されるRtも同レベルになっている。それに対して陽性者数は増えているとは言え、昨年末が1,000人規模であった事に比べると、この差異が何であるかに対しての今後の検証が必要と言える。

感染者数の全体推移

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12月30日の東京都の感染数は64名と前日(12月29日)より12名の減。内訳は濃厚接触者27名(前日比+1)、経路調査中34名 (同-15)である。経路調査中の34名は1週間前の12月23日より12名の増である。
経路不明者の7日間平均は28名と前日より2名、1週間前より12名の増である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 28 前週比 173%
1週間前 16 前週比 161%
2週間前 10 前週比 99%
3週間前 10 前週比 90%
4週間前 11 前週比 116%
5週間前 10 前週比 77%
6週間前 13 前週比 77%
7週間前 16 前週比 119%
8週間前 14 前週比 92%
と増えたり減ったりしながらも増加傾向にある。
また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
12/30より遡る7日間 前週比 +73%
12/30より遡る7日間 前週比 +77%
12/29より遡る7日間 前週比 +68%
12/28より遡る7日間 前週比 +93%
12/26より遡る7日間 前週比 +76%
12/25より遡る7日間 前週比 +77%
12/24より遡る7日間 前週比 +84%
12/23より遡る7日間 前週比 +61%
12/22より遡る7日間 前週比 +58%
12/21より遡る7日間 前週比 +47%
12/20より遡る7日間 前週比 +22%
と増加幅も拡大傾向にある。

検査者数(最新12月28日) : 7日間移動平均では8月下旬には17,000名近くまで上昇した以降は減少し、直近は6,400名前後で推移している。陽性率の7日間移動平均は10月13日に1.0%を割った。12月7日に0.2%まで下がった後、直近では0.8%と増加傾向にあるが、陽性者が30名前後であるため陽性率の意義も不明と考える。

発症者数(最新12月29日)
発症者グラフは発症日と報告日の時間差があるためグラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図1

補正係数表08

補正値は発症日から報告日までの時差の分布を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも時差が短ければ予測数は過大となり、時差が長ければ過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・発症日別の陽性者数は8月10日に3,834名のピークを示した後減少に転じ、11月下旬には10名前後まで下がったが、直近では25名前後から増加しつつある。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し7月下旬の1.6をピークに減少に転じ8月10日前後に1.0を割った。その後9月14日の0.55を底に、10月上旬まで0.6前後を推移した後に上昇を始め、11月初旬に1.0を超えた後に同中旬に一旦は0.8まで下がろ、直近では1.0を超えて再び上昇している。これが感染の急増に結びつくかに注視が必要と言える。
 
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新12月27日)
・12月27日は638件であった。
・7日間平均は629件と600件を超えて上昇を続けている。ただし季節性の風邪による発熱も考えられるため、これが新型コロナの感染増に結びつくかには注視が必要である。

症者推移

重症者数は1名と前日と同じ。年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。

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40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

報告日別の陽性者累積カーブを見ると直近ではほぼ水平になっている。累積の死亡者数もほぼ水平になった。
12月30日付の死亡報告はなかった。報告される死亡者数を1週間単位で見ると、9月18日には136名と年始のピークに匹敵する数まで上がったが、直近の1週間では2名である。

年代別推移

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・全般的に増加傾向にある
・陽性者が少ないため、まだ年代間の差異よりは日々の変動の方が大きい。
・12月29日時点の65歳以上の感染数の移動平均は5名である。8月26日に203名と2021年始(265名)の80%近い値に達した後は減少し、12月の上旬には1名まで下がったが、直近は微増傾向にある。
・12月29日の65歳以上の感染数は7名(前日比+3)であった。

グーグルモビリティ(最新12月25日) との相関

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グーグルモビリティに12月25日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。
・12月19日の週の人流は、12月12日の週より若干増えた。
・Rtの週間平均は9月19日の週から増加に転じていたが、11月中旬に低下し、直近は再び上昇している。ただしベースとなる発症日別陽性者の数は20名前後であり、算出されたRtの信頼性は高いとは言えない。

第1波、第2波、第3波、第4波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第5波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめ、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。現状は第5波の終わりと言うよりは、初めての減少フェーズ(今までは陽性者の数が波の入口のレベルまで下がり切る前に増加に転じていたが、今回は下がり続けた)に有ると言えるが、特に明確な定義がないため、第5波の終わりにいると表現を続ける。
第1波から第4波までは、多少の相違はあるが、概ね同様な傾向が見られた。これに対して第4波と第5波を比較すると、第5波の総感染数が第4波の310%を超えたのに対して死亡者数は907名と第4波の215%に留まった。ただし、この比率の差は死亡に繋がらない若年層の感染が増えたためであり、死亡数としては第4波の2倍を超えている。また70代以上については、感染数は132%死亡数は151%と共に全体に比べれば抑えられたが、単純に『死亡数÷陽性者数』の比率で見ると、第4波の1.15倍とむしろ悪化したとも言える。

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