Tokyo COVID-19; 8/10/2021
東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する8月10日のノート
概観
・報告日ベースの陽性者数は大きく増加し8月5日には5,042名と最高値を更新した。8月10日は2,661名と減少したが、これは週末が絡んで検査・報告が減ったものであるが、発症日別の陽性者の推移から見ると感染自体が頭打ちとなっている可能性も有る。ただし東京都の発熱相談センターへの問い合わせ件数はむしろ増えており、今後陽性者数が再び増加する懸念もある。
・変異株により若年層の重症化リスクが増えて来ていると報じられているが、8月10日現在で10代1名、20代4名、30代14名と微増の傾向にはあるが、まだ数としては多くはない。40代から60代の重症者が増え8月10日の時点で40代が43名、50代62名、60代32名と重症者の中心を占めている。重症者の中心であった70代は5月19日の28名をピークに減少を続け8月2日現在では17名と約半分に下がっているが、この年代の新規感染数も下げ止まりから微増の傾向が見られ始めており、今後の推移に注視が必要である。
・死亡日別の死亡者は5月下旬からは下げ止まりから増加の傾向にあったが6月に入って減少に転じた。ただし直近では下げ止まりの傾向も見られ予断はできない。
・年代別感染の推移を見ると70代以上も7月に入ってからは増加の傾向にある。高齢層の感染は重症化、死亡につながるため、感染増が高齢層に波及するかに注視が必要である。
・Google Mobility の観測によると、人流は7月の4連休明けも連休前に対して減少の傾向が見られる。今後の感染抑制に期待したい。
感染者数の全体推移
8月10日の東京都の感染数は2,612名と前日(8月9日)から272名の減である。内訳は濃厚接触者9,28名(前日比-248)、経路調査中1,684名 (同-23)である。経路調査中の1,684名は1週間前の8月3日より684名の減である。
経路不明者の7日間平均は2,520名と前日より98名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 2,520 前週比 116%
1週間前 2,178 前週比 195%
2週間前 1,119 前週比 154%
3週間前 726 前週比 150%
4週間前 485 前週比 130%
5週間前 373 前週比 127%
6週間前 293 前週比 114%
7週間前 256 前週比 105%
と7週間前に減少が止まり、急速な増加に転じたが直近では増加幅が鈍って来ている。
また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
8/10より遡る7日間 前週比 +16%
8/9より遡る7日間 前週比 +24%
8/8より遡る7日間 前週比 +26%
8/7より遡る7日間 前週比 +30%
8/6より遡る7日間 前週比 +50%
8/5より遡る7日間 前週比 +62%
8/4より遡る7日間 前週比 +80%
8/3より遡る7日間 前週比 +95%
拡大幅が小さくなっている。
検査者数(最新8月9日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになるが。移動平均ではGW明けから増加に転じ9,000名前後になった後、6月に入って減少し、6月22に7,458名まで下がったが、それ以降は増加が続き、直近では13,000名を超えた。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がったが、直近の値は22.3%となっている。陰性者数の報告が遅れて来るため、陽性者が増加している場合は直近の陽性率が見掛け上高くなる傾向があるが、1週間前の8月2日の陽性率でも20.2%であり確実に20%を超えていると言える。
発症者数(最新8月9日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。
補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている(当初は10日ほど遅れていたが改善した模様である)。
・7月に入って急速に増加し2,500を超えた。直近は補正値が3,200から3,300名に増えていると思われるが、ピークアウトしている可能性もある。
実効再生産数
・GW期間中の感染数の減少により1.0を割り、それ以降0.9前後が続いたが、5月25日前後から上昇し、6月6日前後に1.0、7月7日前後に1.3を超えたが、直近では頭打ちになっている可能性もある。
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新8月9日)
・相談件数は、8月9日には4,107件と最高値を更新した。
・7日間平均を取ると、8月9日時点で3,130件と3,000件前後の高い値が続いている。
重症者推移
重症者数は176名と前日から19名の増。それまでの最大値(2021年1月20日の160名)を更新した。年代別、男女別の重症者数は下表の通りであり、30代から60代が増加した。
・δ型変異株による若年層の重症化リスクが報道されているが、8月10日現在では10代1名、20代4名、30代14名と増加の傾向にはあるが、まだ数として多くはない。
・8月9日の時点で、40代が43名、50代62名、6代32名と、40代から60代が重症者の中心を占めている。
・主要な重症者層であった70代は5月ピークの29名から7月の第1週に14名と半減したが、それ以降は増減を繰り返している。感染が高齢層に伝搬し始めた懸念がある。
感染者・死亡者累計
報告日別の陽性者累積カーブを見ると8月上旬に変曲点が出来、増加が鈍り始めた様である。これに対して死亡者の累積カーブは、ほぼ直線状に増加している。
8月10日付で3名の死亡報告があった。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、GW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がった。
そこから増加を始め5月21日の70名をピークに減少6月末には週あたり10名とGW中の値を下回ったが、7月中旬に20名まで増加し、7月26日に7名まで減少したが、直近は、17名(1日平均2名)と増減を繰り返している。死亡の集計・報告は遅れて来るため今後推移に注視が必要である。
死亡者を死亡日別で見た場合、報告の遅れが1週間前後あるため直近の値は低くなる傾向がある。このため直近の1,2週間は棄却するのが妥当であるが、それ以前の期間のトレンドを見ると、5月下旬からは下げ止まりから増加の傾向にあったが6月に入って減少に転じている(ただし、直近については予断できない)。
年代別推移
・感染者の7日間移動平均に関して、70代、80代も7月に入ってからは増加の傾向が見られる。
・65歳以上の感染数の移動平均は5月13日の103名に対して、7月7日には30名まで下がったが、その後増加に転じており8月7日時点では136名と前回のピークを超え年始(265名)の半分に達している。他の年齢層に比べてペースは鈍いが、増加の傾向にはあり、高齢層のワクチン接種効果を含めて今後の推移に注視が必要である。
・65歳以上の感染数は8月10日は103名(前日比+6)、全感染者に占める割合は3.9%である。
グーグルモビリティ(最新8月5日) との相関
グーグルモビリティに8月5日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。
・7月の連休明け以降「乗換駅」、「職場」のモビリティの低下が見られる。今後の推移に注視が必要である。
・グラフ上のRtについては、7月の連休以降の低下が見られる。ただし直近は値が安定しないため、来週以降のモビリティとRtの推移が注視される。
第1波、第2波、第3波との比較
2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波、第2波では感染のピークから遅れて高齢層の感染が大きく増加する現象が観測されたが、直近では70歳以上の高齢層の増加が抑えられているように見える。この層に対するワクチン接種の効果が考えられるが、引き続きの注視は必要と言える。
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