Tokyo COVID-19; 06/16/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する6月16日のノート

感染者数の動向

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6月16日の東京都の感染数は501名と前日(6月15日)から164名の増である。内訳は濃厚接触者189名(前日比+70)、経路調査中312名 (同+98)である。
また、経路調査中の312名は、1週間前の6月9日より23名の増である。
経路不明者の7日間平均は244名と前日より3名の増である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると

直近 244 前週比 99%
1週間前 246 前週比 83%
2週間前 298 前週比 81%
3週間前 370 前週比 83%
4週間前 444 前週比 84%
5週間前 527 前週比 117%
6週間前 451 前週比 104%
7週間前 432 前週比 115%
8週間前 377 前週比 104%
と5週間前をピークに前週比80%のペースで減少したが、直近の1週間は99%と減少が止まった。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
6/16より遡る7日間 前週比 -1%
6/15より遡る7日間 前週比 -2%
6/14より遡る7日間 前週比 -5%
6/13より遡る7日間 前週比 -5%
6/12より遡る7日間 前週比 -6%
6/11より遡る7日間 前週比 -11%
6/10より遡る7日間 前週比 -14%
6/9より遡る7日間 前週比 -17%
6/8より遡る7日間 前週比 -23%
6/7より遡る7日間 前週比 -21%
6/6より遡る7日間 前週比 -22%
6/5より遡る7日間 前週比 -23%
6/4より遡る7日間 前週比 -22%
6/3より遡る7日間 前週比 -20%
と一貫して減少しているが、こちらも減少にブレーキが掛かっている。

経路調査中の312名を同じ水曜日で比較すると、これは3月31日と4月7日の間の値である。先週の水曜日と比較すると23名の増であるが、減少が止まったかどうかの判断は、まだ少し先になると言える。

検査者数(最新6月15日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになるが、移動平均では正月明けから上昇を続け一時期12,000名を超えた。その後2月25日に6,632名まで減少したが、3月に入ってから上昇に転じ、4月20日に一気に 10,000名を突破した、5月に入り減少したが、GW明けから増加に転じ9,000名前後になった。6月に入って減少し、直近では8,000名より下がってきている。陽性率の7日間移動平均も3月6日に3.2%まで下がったが、その後上昇に転じ、GW中は検査数の減少も有り、一時的に8.3%を記録した。その後徐々に低下し6月11日に4.1%まで下がってが、それ以降は下げ止まり、逆に上昇し始めている傾向も見られる。

発症者数(最新6月15日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表06

補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている(当初は10日ほど遅れていたが改善した模様である)。
・2月上旬は200件前後で推移していたが、下旬に入ってからは徐々に下がり月末に150件近くまで下がった。
・4月に入ってからは再び明確な増加に転じて、5月7日には635名を記録した。その後はGWを契機として減少を始め、6月に入ってからは300名を割るまで減少したが、6月6日以降、下げ止まりまたは微増の傾向も見られる。

実効再生産数
・11月11日前後から1.0を割り込んだ。
・11月23日前後から再び上昇に転じ、12月20日頃からさらに増加が加速して年末前には1.5近くまで上昇した。
・その後、年末年始で0.8程度まで下がったが、徐々に上がって来ている。
・緊急事態宣言発令後もRtは上昇を続けて、3月末には1.1を超えた。
・4月に入って、一旦減少傾向となったが4月7日前後から再び上昇に転じ、4月半ばには1.2を超えた。
・GW期間中の減少により再び減少して1.0を割り、それ以降0.9前後が続いている。6月に入ってからはまだ値が安定していないが、再び上昇を始めた可能性がある。

東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新6月15日)
・12月に入ってから相談件数が右肩上がりに増加した。1月3日に3,180件と最高値を記録した。
・1月29日に1,078件と8日連続で下がり、12月中旬の値(1,100件前後)に戻ったが、30日1,545、31日1,490件と再び増加した。
・2月4日は971と12月15日以来の1,000件を割ったが、その後また増加に転じ、2月6日、2月7日と1,300件近くまで上昇した。
・その後2月9日、2月10日と平日は再び1,000件を割ったが2月11日の休日は、また1,300件近くまで増加した。
・2月12日以降、平日は1,000件を割るが、土日や祭日は1,000件を超える状況が続いた。
・3月13,14の週末は、11月14以来となる1,000件を割った。
・3月15日以降は逆に微増に転じ、3月20, 21の週末は再び1,000件を超えた。
・4月12日以降は平日も1,000件を超えるようになった。
・4月18日(日曜日)は1,621と1,500件を超え、週明けの平日も1,200件を超える日が続いている。
・4月25日(日曜日)は1,866件と1,800件を超え、4月29日(祭日)は2,043件と2,000件を突破した。
・6月15日は894件と減少を続けている。
・7日間平均を取ると、3月7日に777件を記録した後に上昇に転じ、GW直後の5月9日は2,267件を記録した。その後減少し、6月15日時点では1,022件と下がってきている。

重症者推移

重症者数は45名と総数では前日と同じ。
年代別、男女別の重症者は下表の通りである。

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・3月12日に37名まで減少したが第4波に伴い増加し、5月12日に86名を記録した。その後減少し、直近では50名以下まで落ちてきている。
・4月下旬から5月上旬にかけて20代、30代の重症患者が発生(合わせて最大で5名)したが、5月下旬には0になった。
・6月に入り、10代、30代の重症者各1名が報告されたが、この内30代の1名は6月8日に10代の1名は6月9日に解消された。
・50代は減りつつあるが、60代、70代は依然高止まりしており今後が懸念される。

感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者ならびに死亡者の累積カーブを見ると、ともに直線状に増加している。
6月16日付で12名の死亡報告があった。ご冥福をお祈りします。
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、GW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がった。
そこから増加をはじめ5月21日の70名をピークに減少しているが、直近でも1週間で55名(1日平均8名)と低くない値である。
死亡の集計・報告は遅れて来るため、死亡数はさらに増えている事が予想される。また、死亡日別に見ると1月31日の39名をピークに減少を続けてはいるが、直近では減少が鈍くなってきている。

年代別動向

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感染者の7日間移動平均は5月15日をピークに減少したが、20代は6月6日から増加のj傾向にあり、10代以下ならびに40代以上も6勝ち13日より下げ止まった感がある。
ただし、65歳以上の感染数の移動平均は5月13日の103名に対して、6月16日は27名と依然として減少の傾向にはある。
・65歳以上の感染者の数は1月15日に334名と最大を記録した。
・6月15日は33名(前日比+6)、ただし、全感染者に占める割合は感染者数が増えたため6.6%に下がった。

グーグルモビリティ(最新6月12日) との相関

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グーグルモビリティに6月12日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては10月3日のノート参照)。

・正月明けから平均して12月よりも10ポイント程度下がったが、2020年のGWまでには至らなかった。
・1月8日に緊急事態宣言が発令されたが、モビリティは僅かながら増加を続け、Rtも同じく微増を続けた。首都圏の緊急事態宣言は3月21日まで継続されたが、人の動きやRtを押し下げる効果はなかったと言える。
・3月22日以降の人の動きは増加し、これに応じてRtも上昇した。
・4月25日から第三回の緊急事態宣言が発令され、6月1日より非常事態宣言が20日間延長されたが、5月30日の週以降、人出は増加する傾向にある。
・グラフ上のRtについては、GWから始まった感染者の減少に伴い1,0を割り込んだ。直近は感染者の数が確定していないため、不安定な挙動を示しているが、1.0前後であるかと思われる。

第1波、第2波、第3波との比較

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・2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
・発症者数のベースラインは昨年のGW明けから一貫して上がって来ており、実効再生産数(Rt)の変動が発生数の増減に対して、より大きく影響するようになって来ている。
・変異株によって若年層の重症化リスクが増えて来ていると報じられているが、東京に関しては、年齢比率から見ると顕著な変化はまだ認められていない。ただ集計値が上がってくる間にはタイムラグが存在すると考えられるため、数値の動向に注視が必要で有る。
・重症者は減少に転じてはいるが、まだ高い値にある。
・死亡者数の増加もピークは過ぎているとは言え、依然として少なくない数が報告されている。
・上記より、第4波はGWをきっかけに大きなピークとなる前に減少に向かったと言える。ただし、重症者数、死亡者数は依然として少なくない数値を示しており、予断のできる状況とは言えない。また、5月の終わりから人出が増加する傾向が見られ、これに伴い発症数が増加に転じる可能性も否定できない。


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