Tokyo COVID-19; 11/15/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する11月15日のノート

概要

・11月15日の報告日ベースの陽性者数は7名。同じ月曜日の値としても11月1日の9名を下回った。
・発症日別の陽性数これより算出される実行再生算数(Rt)は一時期0.6を切るまで下がったが直近は値が不安定になっている。計算上は1.0を超えて上昇傾向にあるようにも見えるが、2桁と言う現状の陽性者数から算出されるRtが感染実態を反映しているかは不明と言える。
・重症者数に関しては、11月14日現在の30代以下の重症者は0である。40代から60代は40代1名、50代3名、60代3名と1桁で推移している。重症者の中心であった70代は1名と低い値を保っている。
・死亡日別の死亡者数は8月20日前後をピークに減少が続いている。
・死亡者の報告数は直近の1週間では2名である。
・Google Mobility の観測によると、緊急事態宣言解除後の10月第1週の人流は7月の連休前(第4波前)のレベルに戻った。2週目以降はほぼ同レベルを維持したが、10月24日の週は若干増えた。10月31日の週は、文化の日の影響で職場、駅が減り、娯楽・小売は増えたが、11月の第2週は、ほぼ前々週の値に戻った。

感染者数の全体推移

画像1

11月15日の東京都の感染数は7名と前日(11月14日)から15名の減である。内訳は濃厚接触者1名(前日比-7)、経路調査中6名 (同-8)である。経路調査中の6名は1週間前の11月8日から1名の減である。
経路不明者の7日間平均は15名と前日と同じ、1週間前より2名の増である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 15 前週比 111%
1週間前 14 前週比 86%
2週間前 16 前週比 82%
3週間前 19 前週比 56%
4週間前 35 前週比 55%
5週間前 63 前週比 52%
6週間前 121 前週比 60%
7週間前 202 前週比 44%
8週間前 454 前週比 93%
と数字上では直近で増加に転じているが、陽性者は2桁であり前週比にあまり意味があるとは思えない。
また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
11/15より遡る7日間 前週比 +11%
11/14より遡る7日間 前週比 +13%
11/13より遡る7日間 前週比 +9%
11/12より遡る7日間 前週比 +13%
11/11より遡る7日間 前週比 +29%
11/10より遡る7日間 前週比 +6%
11/9より遡る7日間 前週比 -1%
11/8より遡る7日間 前週比 -14%
とこちらも数字上は増加に転じているが、同上と言える。

検査者数(最新11月14日) : 7日間移動平均では8月下旬には17,000名近くまで上昇した以降は減少し、直近では6,000名を割っている。ただし陽性者の減少に比べると検査数の減少は緩やかである。陽性率の7日間移動平均は検査数の減少が緩やかであることもあり、0.3%まで下がった。

発症者数(最新11月14日)
発症者グラフは発症日と報告日の時間差があるためグラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図1

補正係数表08

補正値は発症日から報告日までの時差の分布を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも時差が短ければ予測数は過大となり、時差が長ければ過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・発症日別の陽性者数は8月10日に3,834名のピークを示した後減少に転じ、直近では10名近くまで減って来ている。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し7月下旬の1.6をピークに減少に転じ8月10日前後に1.0を割った。その後9月14日の0.55を底に、9月26日に0.65、10月4日に0.55と上下動を繰り返した。直近では計算上は増加傾向にあるが、値は安定しおらず、また2桁と言う現状の陽性者数から算出されるRtが感染実態を反映しているかは不明と言える。
 
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新11月14日)
・11月14日は465件であった。
・7日間平均は394件と400件を割り第3波以前のレベルまで下がった。また11月3日から微増傾向にあったが再び減少を始めた模様である。

重症者推移

重症者数は10名と前日と同じ。年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。

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40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

報告日別の陽性者累積カーブを見ると直近ではほぼ水平になっている。累積の死亡者数も水平に近づいている。
11月15日付の死亡報告は無かった。報告される死亡者数を1週間単位で見ると、今回は9月18日には136名と年始のピークに匹敵する数まで上がったが、直近は2名と減少している。

年代別推移

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・陽性者の減少に伴い年代感の差異は小さくなって来ている。
・11月9日時点の65歳以上の感染数の移動平均は4名で、8月26日に203名と年始(265名)の80%近い値に達した後は減少している。
・11月7日の65歳以上の感染数は2名(前日比-1)であった。

グーグルモビリティ(最新11月11日) との相関

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グーグルモビリティに11月11日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。
・10月24日の週の人流は前週10月17日の週より僅かに上がっている。
・10月31日の週の人流は11月3日の影響で職場、前週10月24日の週と比較して職場、乗換駅は減少し、小売・娯楽は上昇した。
・11月7日の週の人流は、10月24日のレベルにほぼ戻った。
・Rt週間平均は9月19日の週から増加に転じているが。陽陽性者数が少ないため、感染実態を反映しているかは不明である。

第1波、第2波、第3波、第4波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第5波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめ、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波から第4波までは、多少の相違はあるが、概ね同様な傾向が見られた。第4波と第5波を比較すると、11月15日で第5波の期間日数が151日間となり、第4波の86日間の175%となった。この間の総感染数は第4波の310%に達したのに対して死亡者数は899名と第4波の213%に留まっている。ただし、この比率の差は死亡に繋がらない若年層の感染が増えたためであり、死亡数としては第4波の2倍を超えている。また70代以上については、感染数は131%死亡数は150%と共に全体に比べれば抑えられていると言えるが、陽性者数や死亡数を1日あたりで見ると第4波とほぼ同じとなっている。
年代別の構成比では高齢層が減って、替わりに40代から60代が増加した。これは『ワクチン接種の推進で高齢層の感染が抑えられた』効果とも言えるが、若年・中年層の感染の増加に引き連られる形で総数は増加した。また50代以下の死亡者が増えた点も含めて、高齢層への重点配分の功罪については今後の評価が待たれると言える。

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